ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「幸せのちから」

2007年02月01日 | 映画関連
趣味の一つが映画鑑賞で、これ迄に数多くの作品を観て来た。読書傾向が濫読派ならば、映画に関しても”濫観派”と言って良く、ホラー物以外は食指が動くままにジャンルを問わず観まくっている感じだ。そして困った事に、所謂B級作品”や”ニッチ作品”と称される物も結構好物で、堪らなく愛情を覚えてしまったりする。邦画で言えば「宇宙からのメッセージ」(出演者”は”豪華!)や「北京原人 Who are you?」、「シベリア超特急シリーズ」(欽ちゃんをも軽く凌駕する滑舌の悪さと、蛭子能収大先生だってこれ程酷くは無いだろうと思わせる演技力を、スクリーンに撒き散らしている”主演”の水野晴郎大先生の素晴らしさ!)、洋画で言えば「死霊の盆踊り」や「BLUE」*1(デレク・ジャーマン監督が、自身の生命をも奪う事になったエイズをテーマにした作品。テーマの重さは伝わって来るのだが、何しろ最初から最後迄の約70分間、画面に映っているのは青一色のみ。其処にナレーションや音楽が被せられているという、かなりの異色作。)等が好き。

そして今気になっている作品の一つが、GWに公開予定の「ゲゲゲの鬼太郎」。ウエンツ瑛士君が鬼太郎を演じる実写版で、映画館内に貼られているポスター類を目にする度に「早く観たい!」という思いが募っていたのだが、不覚にもツバサ様の記事を拝読する迄、公式サイトに予告動画がアップされている事を知らずに居た。こちらのTRAILER(特報)をクリックして戴くと予告動画が見られるのだが、予想していた以上に期待させる内容。ウエンツ君の鬼太郎姿もなかなか様になっているが、特筆したいのは室井滋さん演じる所の砂かけ婆が絶品!又、目玉のおやじの声をアニメ版と同様に田の中勇氏が担当し、御馴染みの主題歌が使われているのも嬉しい。(どうやら今回はウエンツ君が歌っている様だが、個人的にはオリジナルの熊倉一雄氏バージョンで御願いしたかった。)一般上映が待ち遠しい。

話はガラリと変わるが、前評判の高かった映画「幸せのちから」を公開初日に鑑賞。その惹句が「全財産21ドルから立ち上がった父子の、実話に基づいた感動作。」と在る様に、ホームレスの日々から這い上がって億万長者となった実在の人物クリス・ガードナー氏の半生を描いた実話との事。

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恵まれない家庭環境で育ったクリス・ガードナー(ウィル・スミス)。彼は骨密度を測る医療機器のセールスマンをしているのだが、大量に仕入れた機器は高額故にサッパリ売れず、やがて一文無しの身に。家賃や税金が払えなくなり、家計を支え続けて来た妻リンダ(タンディ・ニュートン)は彼に愛想を尽かし、5歳の息子クリストファー(ジェイデン・クリストファー・サイア・スミス)と共に家を飛び出してしまった。しかしクリスは妻の元を訪ね、クリストファーを連れ戻す。28歳になる迄実父と会えなかった彼としては、どんな事が在っても息子だけは自分の手で育て上げたいという強い気持ちが在ったのだ。

毎朝、息子を保育所に送り届けてから医療機器のセールスに励む彼だったが、売上はサッパリで、遂には家賃を滞納していたアパートから追い出され、駐車違反の罰金も払えず、留置所に入れられたりしてしまう。そしてそれ以降は駅のトイレで寝泊りしたり、教会の無料宿泊施設に並んで一夜のベッドを確保するクリス父子。

或る日セールスの為通りを歩いていたクリスは、赤のフェラーリから颯爽と降りる高級スーツの男に見とれ、思わず声を掛けてしまう。「仕事は何を?どうすればそうなれるんだい?」その男は株の仲買人で、彼曰く「学歴が無くとも、証券会社の養成コースを受講すれば正社員の道が開ける。」と。成績はクラスで1番だったものの高校卒業で社会に出たクリスは、「これで自分の人生が変わる。」と養成コースを願書を提出するのだが・・・。
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定員20名の養成コースに参加出来たものの、コースを完了する迄の長い期間は一切無給の上、その中から正社員に選ばれるのはたった一人という厳しい現実。愛する息子の為に、何とかどん底の生活から這い上がろうと必死のクリス。毎日のコースが終わると相変わらず医療機器のセールスに奔走し、その後は駅のトイレや教会の無料宿泊施設でクリストファーの面倒を甲斐甲斐しく見ながら、寸暇を惜しんで勉強する彼の姿に、思わずほろっとしてしまった。

「不幸な人間には、更にこれでもかという程の不幸が覆い被さって来る。」というのは現実社会でも良く在る事だが、クリス父子の場合もその例に違わない。不幸の中にも一筋の光明や人の優しさが盛り込まれるのがこういった作品では常だが、そういった所も無い。最初から最後の数分迄、父子の強い絆や情愛は痛い程伝わって来るのだが、不幸で在り続ける展開。余りにも哀し過ぎて、途中で教会が登場した際には、「○○の教えを信じた御蔭で、自分は成功への道を歩み出せました。」といった某プロ野球監督のCMの様な展開になるのだろうか?と真剣に思った程。(幸○の科学の様に、宗教アニメを製作&一般上映している組織も在る事だし。

この作品を観た新聞記者が、「名作『自転車泥棒』のシーンを彷彿とさせる作品。」と評していたが、これは結構当たっているかもしれない。父子の深い情愛、生活苦からもたらされてしまった哀しい現実等は、「自転車泥棒」と重なる部分が在る。

又、クリストファーを演じた子役はウィル・スミス氏の実子という事だが、表情の変化が豊富で且つ非常に自然なのが良い。愛くるしい表情のクリストファーが涙を浮かべるシーンでは、思わず抱き締めたくなる程だった。

ストーリー的には然して起伏は無く、貧しい日々を淡々と描いている。その辺はやや物足りなさを感じたが、最後に幸せを掴み取った父子の姿には自然と頬が緩んでしまった。同伴したおねえちゃんは「観て良かった!」とかなり感動していたが、自分の総合評価はどうしても拭えなかった物足りなさをマイナスして、星3.5個としたい。

*1 「BLUE」と言えば、渡辺真知子さんの曲「ブルー」が好き。他にも「迷い道」や「かもめが翔んだ日」、「たとえば...たとえば」、「唇よ、熱く君を語れ」等、彼女の曲には心に沁みる名曲が多い。又、”彼女の時代”が来て欲しいもの。

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7 コメント

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初めまして (kenko)
2007-02-01 11:16:11
Cnoteのkenkoと申します。
TBありがとうございました。
ウィル・スミスとその息子君の自然な演技はとても素晴らしくて感動しましたが、
同じく私も、ストーリー的に少し物足りないものを感じました。
やっぱサクセスストーリーだと分かってしまっているから?でしょうか。

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私も (マヌケ)
2007-02-01 23:49:35
B級作品、ここ最近で記憶にあるのは「少林サッカー」「東京ゾンビ」「ゾルタン星人」「エビボクサー」「ドッジボール」・・・「東京ゾンビ」などはそのタイトルからは分かり様がないのですが、格闘技映画でした。 「ドッジボール」においては「挫折して落ち込むくらいなら目標など持たず気楽に生きたい」などという少しヒネタ主人公のセリフに笑えました。 デブのジャック・ブラックがプロレスのファイトマネーで貧しい子供に施しを行うメキシコ版タイガーマスク、ナチョスなんとかも見に行こうかどうしようか真剣に迷いました。 「ダークマン」を製作したサムライミがB級の定義は概ね予算であって脚本やストーリーはB級と言えどもAクラスに匹敵するものが多いと語ってました。 予算の関係でサムライミ自身が移動撮影のカメラをアシスタントとともに手で押したり、そういうところをB級と言うんだと。 B級映画ばんざい!
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自転車泥棒? (帆印)
2007-02-01 23:50:49
この映画は、ちょうど高校1年生の頃。
遊びつかれて帰宅後、お決まりの夜更かし深夜放送でなんかやな感じだなぁ。下らないと思いつつ、見入ってしまった映画だ。当時の高校は毎日日記を書くという習慣のある学校で、思わずその映画の感想を書いて、初めて担任にAをもらったことがある。その映画を見終わってから、土曜の夜にバイクで走り回ることを、おのずから少なくなったのが、俺の人生かな。
イタリア映画の名作だね。それに似ている映画であるならば、この映画を見に行って俺の人生もまたかわら・・・ねえよなぁ。
10代の頃はご多分に漏れず俺も多感だったのだ。(笑)
おひさぁ、お元気ですか。相変わらず内容が濃いですね。私のほうはポンコツPCを弄りすぎてブログのほうはおろそかになりましたが、まあ新しいPCに生まれ変わりました。なんか、こんなことにはまりそうな自分が怖い。PCを直すなんて一生できないと思ってましたが、意外と楽ですね。お勧めです。
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>マヌケ様 (giants-55)
2007-02-02 01:18:48
書き込み有難うございました。

B級作品、良い所を突いて来られますねえ。「ゾルタン星人」以外のタイトルを判ってしまう自分も自分ですが(笑)。

B級作品と言ってもマヌケ様の書かれておられる様に、「予算面が潤沢では無いという境界線だけでB級と称されていて、内容面では超大作を凌駕する作品。」も在るんですよね。出演者の名前だけに頼っていたり、一寸したブームに乗っかって製作しただけの様な”やっつけ仕事”的な作品は、ハッキリ言ってB級の称号を与える事すら自分は嫌です。又、仮に駄作で在ったとしても、其処に製作者の熱い”何か”が見られる作品で在れば、自分は良い意味でB級作品と呼びたいです。
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Unknown (晃弘)
2007-02-03 15:40:29
こんにちは(^_^)
この映画を見て感動しました。
途中でストーリーの流れがうまくつかめないところがあったものの、
「幸せ」について考えるきっかけになりました。
ルービック・キューブや電話番号の暗記など、
ちょっとしたことから幸運を引き込んでいったところも、
実話というのが信じられないほど素晴らしいストーリーでした。
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>晃弘様 (giants-55)
2007-02-03 17:22:20
書き込み有難うございました。

最近は作品内容も良く判らないまま、インスピレーションだけで映画を見に行く事が結構在り、実はこの作品も「どん底の生活から大成功を収めた人物の実話らしい。」位しか知らずに見に行ったんです。

それだけが理由では無かったとは思うのですが、目の前でルービックキューブを完成させた事が、成功を引き寄せるファースト・ステップになったとも言え、人間の運命ってどんな事で変わって行くのか判らないものだなあと感じました。クリスの場合は勿論頭脳の明晰さ(電話番号を覚えるシーンでは、てっきり忘れてしまって就職がおじゃんになってしまうという展開なのかと踏んでいました。)も然る事乍ら、人の縁が人生をプラス方向に導いて行った気がします。

良い作品なのは間違いないですね。

今後とも何卒宜しく御願い致します。
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こんにちは (カオリ)
2007-02-18 13:21:21
単なるサクセスストーリーと取っている人が多いと思うんですが、この映画のポイントはもっと違うところにあるんじゃないかと。
貧乏って、貧困って、こういうことで、それは今の日本だってそうだよと思いました。
TBさせてくださいね!
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