中国では紀元前403年に晋が韓・魏・趙の三国に分裂して以降、紀元前221年に秦の始皇帝が国土統一を果たす迄の183年間を戦国時代と称されている。そんな戦国時代の世に、思想家の墨子が率いた集団が在った。「博愛主義」、「反戦」を掲げるその思想家集団は「墨家」と呼ばれた。
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中国の戦国時代、戦国七雄と呼ばれる「秦、韓、魏、趙、楚、斉、燕」の七ヶ国が、国土統一を目指して果て無き戦いを繰り広げていた。
時は紀元前370年頃、趙との国境に位置する燕の粱城は、今正に趙の大軍によって攻め込まれる状況に在った。10万人の趙軍に対し、梁城の全住民は僅か4千人。この圧倒的に不利な状況下、梁城の城主・梁溪(ワン・チーウェン氏)は墨家に最後の望みを託す。当時の墨家は始祖・墨子の気高き思想から離れて腐敗し、権力と結び付く事で生き残る道を取っていたのだ。そんな墨家に梁渓は救援部隊の派遣を要請したのだが、頼みの救援部隊は未だ来ず、梁渓は降伏の決断を下す。
しかしその直後、墨家の革離(アンディ・ラウ氏)が単騎で梁渓の元に駆け付けて来た。墨子の教えを貫こうとする彼は、墨家の総意に逆らって梁城の窮地を救いにやって来たのだった。梁渓から兵に関する全権を与えられた革離は、早速城を守る準備に取り掛かる。趙軍の指揮官・巷淹中(アン・ソンギ氏)はそんな革離を好敵手と見做し、やがて総攻撃を開始する。
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酒見賢一氏の歴史小説「墨攻」を原作とし、日・中・韓の三国が合作した映画「墨攻」を鑑賞。「墨攻」は漫画化もされているそうだが、原作共に自分は未読。歴史物が好きなので観に行った作品だが、正直それ程期待はしていなかった。「荒唐無稽で勧善懲悪的な内容なのだろうな。」という思いが在った為で、「それならばそれで、娯楽作品として楽しめれば良いか。」という感じだった。
しかし、豈図らんや骨太にして現実的な内容に、グイグイ引き込まれてしまった。「日和見的で暗愚な城主。」、「始祖・墨子の志を心に秘め、己の信じる”正義”を貫こうとするものの、非道な現実を前に悩み苦しむ革離。」、「世間知らずで在るが故に当初は革離に激しい敵愾心を燃やすものの、やがてその人となりを深く知り、彼に敬意を持つ様になる城主の息子・梁適(チェ・シウォン氏)。」等、役者個々がそれぞれの役どころを良く理解した上でしっかりと演じ切っている。
最後に在るのは、ハッピー・エンドでは無い。その逆の哀しい結末が待っていたからこそ、人類が歩んで来た”争いの歴史”の儚さや虚しさがより胸に迫って感じられた。
総合評価は星3.5個としたい。
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中国の戦国時代、戦国七雄と呼ばれる「秦、韓、魏、趙、楚、斉、燕」の七ヶ国が、国土統一を目指して果て無き戦いを繰り広げていた。
時は紀元前370年頃、趙との国境に位置する燕の粱城は、今正に趙の大軍によって攻め込まれる状況に在った。10万人の趙軍に対し、梁城の全住民は僅か4千人。この圧倒的に不利な状況下、梁城の城主・梁溪(ワン・チーウェン氏)は墨家に最後の望みを託す。当時の墨家は始祖・墨子の気高き思想から離れて腐敗し、権力と結び付く事で生き残る道を取っていたのだ。そんな墨家に梁渓は救援部隊の派遣を要請したのだが、頼みの救援部隊は未だ来ず、梁渓は降伏の決断を下す。
しかしその直後、墨家の革離(アンディ・ラウ氏)が単騎で梁渓の元に駆け付けて来た。墨子の教えを貫こうとする彼は、墨家の総意に逆らって梁城の窮地を救いにやって来たのだった。梁渓から兵に関する全権を与えられた革離は、早速城を守る準備に取り掛かる。趙軍の指揮官・巷淹中(アン・ソンギ氏)はそんな革離を好敵手と見做し、やがて総攻撃を開始する。
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酒見賢一氏の歴史小説「墨攻」を原作とし、日・中・韓の三国が合作した映画「墨攻」を鑑賞。「墨攻」は漫画化もされているそうだが、原作共に自分は未読。歴史物が好きなので観に行った作品だが、正直それ程期待はしていなかった。「荒唐無稽で勧善懲悪的な内容なのだろうな。」という思いが在った為で、「それならばそれで、娯楽作品として楽しめれば良いか。」という感じだった。
しかし、豈図らんや骨太にして現実的な内容に、グイグイ引き込まれてしまった。「日和見的で暗愚な城主。」、「始祖・墨子の志を心に秘め、己の信じる”正義”を貫こうとするものの、非道な現実を前に悩み苦しむ革離。」、「世間知らずで在るが故に当初は革離に激しい敵愾心を燃やすものの、やがてその人となりを深く知り、彼に敬意を持つ様になる城主の息子・梁適(チェ・シウォン氏)。」等、役者個々がそれぞれの役どころを良く理解した上でしっかりと演じ切っている。
最後に在るのは、ハッピー・エンドでは無い。その逆の哀しい結末が待っていたからこそ、人類が歩んで来た”争いの歴史”の儚さや虚しさがより胸に迫って感じられた。
総合評価は星3.5個としたい。

墨攻は原作を読みましたが映画は観ておりません。 儒家と並んで実は墨家という思想と戦略に長けた集団が存在していたのは事実だそうですが、歴史の研究者はあまりのもすごい集団だったことから存在を疑ってもいたようです。 ただ、あの秦の始皇帝すら兵馬俑の発掘で初めて存在が確認されたというくらいですし、司馬遷の書記にも墨家について書き記したくだりがあるそうです。 その後儒家は生き残りましたが墨家は歴史から突然姿を消してしまいました。 小説からしますと任と義を尽くす思想の流れが人間の欲により途絶えたように思われます。 大国を支配することで戦乱を平定しようとする大任とそのために飲み込まれる小国を見捨ててしまうという不義を仕方なしとするのかそれでも小さきものを助ける任を成すのかのせめぎ合いでした。 最期はあっけなかった。
諸文献に記されてはいるものの、荒唐無稽な作り話として一笑に付されていた事柄が、時を経てそれらしい証拠が見付かり出した事で「もしかしたら・・・。」なんて事は歴史学の世界では全く無い事では無いですよね。マヌケ様も記されている司馬遷が編纂した「太史公書」、即ち後の世で「史記」と呼ばれる書物の中で秦の始皇帝の陵墓に付いて記していますが、これなんかも到底信じられる内容では在りませんでした。何しろ「陵墓内には水銀が流れる川や海が在り、機械の力でそれが流れる様になっている。天井には太陽や月等(宝石?)が飾られ、到る所に人魚の油で点された蝋燭が置かれ、これは永遠に萌え続けている。」なんて書かれていては、そりゃあ荒唐無稽な作り話と考えられてしまっても致し方無い事。
しかし実際に巨大な陵墓が見付かったばかりか、兵馬俑坑から大量の水銀が検出される等、あながち全くでたらめな話では無かったという風に言われ出しています。トルコのアララト山ではあのノアの方舟の痕跡が発見されたなんて話も在りますし、こういうのは歴史の浪漫を感じさせます。
先日の記事でも取り上げた大泉滉大先生(http://www14.big.or.jp/~hosoya/who/o/oizumi-akira.htm)の父上・大泉黒石氏は、一時期文壇で脚光を浴びるも、忽然と文壇から去ってしまった謎多き作家とも言われていますが(笑)、墨家という存在もそういった謎多き集団とも言えるのでしょうね。
アニメの記事を見させていただき元気がでました。
中国の城と日本の城の違いがわかりますね。 中国の城は城壁で町ごと囲んだもので城の中で一般市民も生活を営んでおり、ここが敗れて敵に攻め入られたら市民は奴隷と化してしまいます。 そのために兵隊とともに戦ったようですね。 城攻めというと日本の場合は兵糧攻めを思い浮かべますが中国の場合は城内に田畑があり家畜が飼育されているのでその規模も異なっていたようです。 城を攻めるのに何年も費やされたりしたようです。 気分転換に映画も観てみようかと思ってます。 ところでファビオラというマフィアによって自治された都市国家?のような町がリオデジャネイロにはあるそうですが、政府よりも高い資金力で軍隊よりもすぐれた装備の民兵がいて発電所などの自前のインフラもあるそうです。 まるで要塞都市といいますかマフィアの城のような場所だそうです。
日本でも「城下町」なんて表現は在りますが、別段城壁で囲まれている(城と一体化した存在)では無いので、中国の城とは内容を異にしている点は在りますね。
一寸話が逸れてしまいますが、かなり以前に中国の福建省を訪れた際、円楼と称される円形の囲い(建物)の中に一族郎党が共に生活している「客家(はっか)」を目にしました。話には聞いていたものの、実際に目にするとその独自文化に圧倒されました。
未だ懐具合に余裕が在った十数年前、プライベートでアフリカを旅した事が在ります。その際に確か30分程だったと思いますが気球に乗りました。長い列を作って大草原を行進するヌーの姿は圧巻でした。その当時でも結構な費用でしたが、良い経験になるのは間違い無く、機会が在れば是非御薦め致します。
私は本だけ読んでいたので、随分違和感を感じたのですが、コミックはそういうつくりだと聞いて、そろそろコミックも読もうかな、と思ってます。
とにかく主人公がかっこよく、アンディ・ラウと同年代の自分ですが、かなりミーハー、入ってます。
『イリヤッド』というアトランティスを探す荒唐無稽のコミックがあるのですが、作り話なのですが、妙に説得力がありまして、引き込まれてます。始皇帝の陵墓の中の探索まで書いてしまっているのですが、コレも妙に説得力ありまして、信じてしまいそうです。漫画は偉大なり。
アンディ・ラウが渡部篤朗にみえました。
本当に「骨太にして現実的な内容」でした。
終わり方もよかったです。
原作も読みたくなりました。
原作ではヒーローは死にますが、漫画では守り抜いて、第二部で始皇帝の野望に立ち向かいます。文庫版がブックオフで入手をできますからお勧めです。原作が好きですが漫画も好きです。
キリストより先に博愛を説いた墨家!
彼らは平和主義でしたが、軍事顧問であり、義勇兵士として、大国の侵略に立ち向かいました。単なる平和主義者でないから、思想が絶滅されても残っているのです!
9条を護れば、日本は侵略されないとする平和教徒に読んで欲しいものです!
自分達が戦意を捨てれば、平和が保たれると考える事にネトウヨみたいな(私みたいに身体で民族活動をした右翼は全員がネトウヨ嫌いです!)
批判をする気持ちはありません!
でも彼らがアホなのは、「自分達が平和を求めれば他国や他人が賛同してくれる!」と「勝手」に信じている事です。
それは自分の「押し付け!」
難民キャンプで手足を失った子供を見た事のある私には、銃を持たない捨てれば平和で虐殺もない…そういう主張はナンセンス!
因みにそのキャンプは、帰国後に反対勢力から虐殺されて消滅したと報道で観ました!
兵士が護れば、銃と弾薬が彼らにあれば、ムザムザと皆殺しされなかったはず!
最近、トランプの「米軍撤退」で一番に焦ってるのって、「平和主義」な方達ですね!
日本人が戦闘するのは許さないけど、「米軍」には護って欲しいのですね(笑)
本当の平和主義なら、だまって殺されろよ!
それがアンタらの望んだ「平和」だろ!