ば○こう○ちの納得いかないコーナー

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18年後に約96万人不足する可能性が在るとか

2022年07月30日 | 時事ネタ関連

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医療福祉100万人不足 厚労白書判明 2040年、人材確保課題」(7月26日、産経新聞

令和4年版厚生労働白書の全容が26日、判明した。「社会保障を支える人材の確保」をテーマにしており、令和22(2040)年には1,070万人の医療・福祉分野の就業者が必要と見込まれているのに対し、確保が見込まれるのは974万人に留まり、100万人程度の人材不足が生じるとの推計を明らかにした。

白書は「人材確保は、令和の社会保障に於ける最重要課題の1つ。」と指摘。今年から団塊の世代昭和22年~24年生まれ)が75歳を迎え始め、令和7年に毎年約200万人が75歳以上になると見込まれる。局面は「高齢者の急増」から「現役世代の急減」に変わり、既に減少に転じている現役世代人口は、年以降更に減少が加速するとしている。

白書によると、平成30年時点では医療・福祉就業者数は826万人だったが、今後の医療や介護ニーズ等を踏まえた白書の推計では、令和7年には940万人、令和22年には1,070万人が必要になる。

其の、地域偏在
による深刻な医師不足の解消を始め
看護師離職防止や復職支援、介護職員や保育士処遇改善を通じ、如何に需給均衡図るかが課題となっている。

又、持続可能な社会保障制度に向けた人材確保やサーヴィス改革の方向性として、「健康寿命延伸」、「就業者の処遇改善」、「多様な人材の参入促進」等を挙げている。白書は、近く開かれる閣議に報告される見通し。
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大学時代に法学専攻していた事も在り、「司法試験」に関しては詳しい積りだ。自分が大学に通っていた頃、其の合格率は2%前後だったと記憶している。詰まり、「100人受けて、3人は合格しない。」という、最難関レヴェルの試験だった。なので、10年近くも受験し続けている人というのも、そう珍しくは無かった。

然し、「従前日本司法制度裁判期間の長さ、弁護士費用の高さ、裁判所行政寄りのスタンス等の要因により、国家が国民に充分な的解決を供給していなかった。国民への充分な司法サーヴィスを提供する為には、裁判の効率化や法曹界の人員拡充等が必要。裁判員制度も導入される事だし、司法制度改革が急がれる。」という考えから、2002年に「法曹3千人計画」が閣議決定され、2006年から新しい司法試験制度にと変わった

2006年から2011年迄は「制度移行期」とされ、「旧司法試験制度」と「新司法試験制度」が併存。受験者は原則として、何方か1つの制度を選択し、受験するスタイル。此の期間の合格率は2006年:約4.82%、2007年:約7.52%、2008年:約9.03%、2009年:約9.44%、2010年:約9.97%、2011年:約23.61%という推移辿る。恐らくは新司法試験制度を選択する受験生の数が増えた事で、合格率がどんどん上がって行ったのだろう。そして、昨年(2021年)に関して言えば、合格率は約41.5%という事で、「100人受けて、41人は合格する。」という状況に。「合格率は2%前後」という時代を知っているだけに、隔世の感が在る。

1950年には、「5,827人」だったと言う我が国の弁護士人口。其れ今は4万人を超え、「2038年には、6万人近くになる。」という推計も在る。

こんなにも弁護士が増えてしまった事で、「弁護士過剰問題」が発生している。昔は弁護士と言えば「高給取りの代表格」だったが、今や弁護士の数は余剰状態で、弁護士の1年当たり所得中央値は約400万。弁護士の半数が、平均的サラリーマンを大きく下回る収入で働いている。との事。「弁護士が活躍出来る“市場”は横這い状態で、今後、爆発的な需要は見込めないのに、弁護士の人数だけは増えて行く。」というのだから、司法試験に受かっても弁護士にならない人が出て来ているのも頷ける。弁護士の数が爆発的に増えた事で、全体的な質の劣化も指摘されている。

話を今回のニュースに戻すが、「18年後には、医療・福祉分野の就業者が、約96万人不足する可能性が在る。」というのは憂慮すべき事だが、だからと言って無闇矢鱈と増やすのでは、「弁護士余剰問題」の轍を踏む事になろう。「其の質を保った(又は向上させた)上での増員方法は?」、そして「不足が続いても、何れは余剰に転じて行くだろうから、其の際にはどう対処して行くか?」等、政府は長期的なヴィジョンを持って検討して欲しい。


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2 コメント

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Unknown (悠々遊)
2022-07-30 17:04:10
こんにちは
法律に詳しくない人間の口出しすることではないのかもしれませんが・・・。
司法試験の合格者が増えても、そのほとんどが弁護士になるというシステム自体に欠陥があるのでは?
裁判所が行政寄りになるというのは、総理大臣(行政)が最高裁長官(司法)を指名し、最高裁長官が以下の裁判官を選ぶという現システムである以上、避けられないことだと思っています。
司法試験の合格者が増えても、裁判は相変わらず年単位の遅々とした進行状態なのは、裁判所の人員に対し事件の数が多いという事だと理解していますが、裁判官を含む裁判所員(公務員)を増やし、裁判の進行を迅速かつ正確・円滑に進めるよう改善方策がとられているとは聞かない。
また、弁護士費用については、どれぐらいが妥当なのか一般にはわからず、相談料だけで30分単位数千円~数万円とか風聞で聞く程度。
民事で裁判沙汰になって負ければ相手方への支払いに加え弁護士費用に裁判費用にと、どれぐらいかかるか不安で泣き寝入り案件も多いのではないかと想像。
これらの事を思うとアメリカのような訴訟社会には程遠い日本の現状では、喰っていけない貧乏弁護士が増えるのは必然かも。

医療・福祉関係については、医者不足よりも看護師や介護士の不足の方がより深刻になるのではと心配です。
その最大原因は労働条件と賃金が釣り合っていないのではないかという事。日勤に夜勤と続く労働環境、命の現場という精神的ストレスに対し、十分報われるだけの賃金かどうか。弱者を助けたいという使命感だけで支えられる職場ではないように思います。
こんなことを言うと「高賃金に釣られてくるような人材にロクなものはいない」という声も聞いたことがあり、それもまた一面の真実かもしれないけれど、低賃金で彼らの善意と使命感をすり減らす言い訳にしてはいけないとも。
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>悠々遊様 (giants-55)
2022-07-30 20:28:36
書き込み有難う御座いました。今回は、此方にレスを付けさせて貰います。

学生時代、社会科の授業で習った「三権分立」。「司法、立法、行政の三権が其れ其れ独立し、互いに牽制し合う事で、権力の一点集中を阻止する。」という建前ですが、実際には行政の力が増大化し、司法も立法も其の言い成りになっている。

刑事事件に関して言えば、「公判前整理手続」(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AC%E5%88%A4%E5%89%8D%E6%95%B4%E7%90%86%E6%89%8B%E7%B6%9A)というのが在り、刑事裁判の充実&迅速化)を図っています。唯、其れでも、日本の裁判は結審する迄長期に亘りますね。

アメリカの様な訴訟社会とは異なっている日本では、仰る様に抑々の「パイ」が小さく、貧乏な弁護士が増加する土壌に在るのは確かかと。

医療や福祉の現場のみならず、“厳しい労働環境の下、必死で頑張っている人間”に関しては、適正な対価が支払われるべき。又、そういう労働環境も改善されないと駄目。唯、一方で、此れもどんな業界にも言えますが、怠惰で在る者は、其の例外で在るべき。
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