ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「すべての若き野郎ども」

2008年11月01日 | 書籍関連
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16歳の千葉恭平は、暴走族「阿修羅会」の特攻隊長。そして中肉中背の恭平に対し、15歳で優に180cmを超える長身の寺木達夫。
喧嘩には自信を持っていた恭平だったが、或る日偶然出逢った達夫に呆気無く倒されてしまう。自称「生涯戦績:317勝無敗」の達夫は、犯罪発生率ワースト・ワンのこの町、四月町の天下統一を目指すと口にし、それに共感した恭平は彼の“舎弟”となる。

五つの暴走族、地元のヤクザを向こうに回し、二人は旋風脚と皿割りで連戦連勝。ところが、そんな二人の前に伝説の男“ウルトラセブン”が立ちはだかり・・・。
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みなさん、さようなら」で幻冬舎主催の第1回パピルス新人賞を、そして「ブラック・ジャック・キッド」では新潮社主催の第19回日本ファンタジーノベル大賞・優秀賞を受賞した久保寺健彦氏。その第3作目が、上記した概要の「すべての若き野郎ども」で在る。「第3作目」と記したが、これは出版されたのが第3作目という事で在り、実はこの作品が彼のデビュー作に当たる。2007年にTBS講談社主催の第1回ドラマ原作大賞・特別賞を受賞した作品で、つまり彼はこれ迄に出版された3作品で全て、何等かの文学賞を受賞している事になるのだ。

4つの章で構成されているのだが、最初の章は「帰ってきたウルトラセブン」。暴走族を相手に一人で立ち向かい、完膚無き迄に叩き潰したという伝説を持つ、謎の男・ウルトラセブン。その呼称も然る事乍ら、そう呼ばれる事になった理由が余りにも馬鹿馬鹿しく、文章を目で追っていて苦笑してしまう。全体的にそんな軽いタッチで、話は進んで行く。

「みなさん、さようなら」及び「ブラック・ジャック・キッド」では、映画「スタンド・バイ・ミー」を見終えた際の感覚、あの何とも言えないほろ苦さを感じたのだが、今回の「すべての若き野郎ども」は映画「グローイング・アップ」シリーズに似た、少年達の“青さ”が伝わって来る。しかし最後の最後は、やはり「スタンド・バイ・ミー」のテイストになっているのが心憎い。

過去の2作品は、共に「星3つ」というのが自己評価。ハッキリ言って「平均レベル」という評価なのだが、不思議にその文章には魅かれてしまう。今回の総合評価も星3つだけれども、やはり文章には魅せられた。不思議な作家だ。

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4 コメント

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ふーむ (Spa supernova)
2008-11-01 14:54:31
「全ての若き野郎ども」ですか…

きっと

http://jp.youtube.com/watch?v=XT54T42ldec

この歌の邦題から取ったんだろうな。
有名な歌です。

http://en.wikipedia.org/wiki/All_the_Young_Dudes_(song)
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>Spa supernova様 (giants-55)
2008-11-02 00:05:23
書き込み有難う御座いました。

今夏に読んだ小説「ゴールデンスランバー」(http://blog.goo.ne.jp/giants-55/e/3f3b1986f4e38a70c9d573b1edb052fb)のタイトルは、ビートルズの曲「ゴールデン・スランバー」に因んで付けられたそうですが、この曲自体を知らない程の洋楽音痴。今回のタイトルも、元になった曲が在ったとは全く知りませんでした。

有名な歌との事で、「それを知らない自分は相当ヤバイなあ。」と改めて思った次第です。
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伊坂を読まれましたか (マヌケ)
2008-11-07 12:34:13
不思議な作家ですか。 なんだか惹かれます。 子供が遊び飽きたゲームソフトやトレカを売るというのでリサイクル本屋に行きました。 買い取り価格が決まるまでしばらくかかるので店内をブラブラしましたところ、新品同様の小説が結構たくさんありまして、300円から750円くらいで売られています。 中には作家のサイン入りのものもあって、こんなの愛着があっただろうにと思いながら、それを買っちゃいました。 片山恭一さんのサイン入り。 小説が300円でリサイクル販売されている一方、ゲームソフトやレアもののカードは高値で買い取られているようで、息子の手にした現金はなんと7千円以上。 本の買取は10円から100円とのこと。 最近、キョンキョンが表紙の雑誌が目に止まり、「トウキョウソナタ」という小説と映画の特集と知りました。 でもって、まず原作を買い、映画を見て、そのときの予告編で今度は「天国はまだ遠く」という映画に興味がわき、原作を買い、ついでに「卵の緒」という同じ作家の小説も買い、自分はどうもどこかで誰かが意図した消費行動そのままのパターンなのだなと思ってしまいました。
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>マヌケ様 (giants-55)
2008-11-07 12:45:05
書き込み有難う御座いました。

本が大好きな人間にとっては古本(と言っても、その殆どが新しいのですが。)が安価に購入出来るのは嬉しい反面、叩き売りみたいになっているのは哀しくも在りますね。読む側がそうなのですから、必死で書き上げた作家にしたら堪らないでしょうね。作品は作家にとって、自身の子供の様な存在でしょうから。

伊坂作品は「アヒルと鴨のコインロッカー」が「?」という感じで、途中で読むのを止めてから、ずっと敬遠していたのですが、「ゴールデンスランバー」がなかなか面白かったので、過去に遡って読んでみようかなと思っております。
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