一昨日&昨日と「青春の門 -筑豊編-」が放送されていた。五木寛之氏原作のこの作品を最初に知ったのは、今から25年近く前に映画化された際だった。松坂慶子や、”清純派だった”頃の杉田かおるの濡れ場が見られるという、極めて不浄な下心で映画館に足を運んだのだが、予想以上に生唾を飲み込んでしまうシーンが多く、「これは『青春の門』ではなく、『性春の悶』だ。」と妙に納得したものだった。
しかし、そういったエロスも然る事ながら、大正から昭和初期にかけての筑豊炭田(福岡)を舞台にしたこの作品には、貧しいながらも必死で生き抜いている当時の庶民の姿が如実に描かれており、「生きている」事の実感が、今よりも力強く得られていた時代だったのではないかという気がした。「子供から大人に成長して行く過程の、何とも言えないほろ苦さ」を思い知らされたり、当時の在日朝鮮人が置かれていた環境をこの作品で初めて知る等、自分にとって何とも言えない心の疼きを覚える作品の一つである。*1
そんな”貧しき時代”を描いた作品が放送された昨日、農林水産省が「仮に農作物輸入が完全にストップした場合に想定される献立例(国内生産のみで2,020kcal/日を供給する場合)」を発表した。
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(朝食)
御飯1杯 / 粉吹き芋1皿 / ぬか漬け1皿
(昼食)
焼き芋2本 / ふかし芋1個 / 林檎4分の1個
(夕食)
御飯1杯 / 焼き芋1本 / 焼き魚1切れ
この他に、「うどん 2日に1杯」、「味噌汁 2日に1杯」、「納豆 3日に2パック」、「牛乳 6日にコップ1杯」、「卵 7日に1個」、「食肉 9日に1食」。
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農水省が掲げる食料自給率目標45%を達成した場合ですら、この様な御寒い状況なのだとか。因みに、想定している2,020kcal/日は、2003年度の摂取カロリー水準よりも568kcal少ない数値だという。
天然資源に乏しい国情故に、モノ作りに注力し、輸出で外貨を稼いで世界の大国の一つとなった我が国。同じモノ作りであっても、農作物生産に関しての政策には一貫性を欠き、自給率は落ち込む一方。そんなツケが、不測の事態が起きた場合には、自らの首を真綿で絞めるが如く効いて来る事になるというのは全く以って皮肉である。
北朝鮮の食糧事情に比べればまだましなのだろうが、表面上は繁栄を享受している我が国も、その足元は非常に心許ない”砂上の楼閣”の如き状況。「青春の門」の時代と”本質的な”貧しさは何等変わっていないのかもしれない。
*1 「青春の門」で印象に残っているシーンの一つに、主人公が亡くなった母親の遺骨をかじるというのが在る。概して「日本人は骨に執着する。」と言われるが、そんな一端を思わせるシーンで、強烈に脳裏に焼き付いている。
今回のドラマは、残念ながら部分的にしか見られなかったのだが、全てに於いて松坂慶子ヴァージョンに及ばない気がした。
しかし、そういったエロスも然る事ながら、大正から昭和初期にかけての筑豊炭田(福岡)を舞台にしたこの作品には、貧しいながらも必死で生き抜いている当時の庶民の姿が如実に描かれており、「生きている」事の実感が、今よりも力強く得られていた時代だったのではないかという気がした。「子供から大人に成長して行く過程の、何とも言えないほろ苦さ」を思い知らされたり、当時の在日朝鮮人が置かれていた環境をこの作品で初めて知る等、自分にとって何とも言えない心の疼きを覚える作品の一つである。*1
そんな”貧しき時代”を描いた作品が放送された昨日、農林水産省が「仮に農作物輸入が完全にストップした場合に想定される献立例(国内生産のみで2,020kcal/日を供給する場合)」を発表した。
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(朝食)
御飯1杯 / 粉吹き芋1皿 / ぬか漬け1皿
(昼食)
焼き芋2本 / ふかし芋1個 / 林檎4分の1個
(夕食)
御飯1杯 / 焼き芋1本 / 焼き魚1切れ
この他に、「うどん 2日に1杯」、「味噌汁 2日に1杯」、「納豆 3日に2パック」、「牛乳 6日にコップ1杯」、「卵 7日に1個」、「食肉 9日に1食」。
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農水省が掲げる食料自給率目標45%を達成した場合ですら、この様な御寒い状況なのだとか。因みに、想定している2,020kcal/日は、2003年度の摂取カロリー水準よりも568kcal少ない数値だという。
天然資源に乏しい国情故に、モノ作りに注力し、輸出で外貨を稼いで世界の大国の一つとなった我が国。同じモノ作りであっても、農作物生産に関しての政策には一貫性を欠き、自給率は落ち込む一方。そんなツケが、不測の事態が起きた場合には、自らの首を真綿で絞めるが如く効いて来る事になるというのは全く以って皮肉である。
北朝鮮の食糧事情に比べればまだましなのだろうが、表面上は繁栄を享受している我が国も、その足元は非常に心許ない”砂上の楼閣”の如き状況。「青春の門」の時代と”本質的な”貧しさは何等変わっていないのかもしれない。
*1 「青春の門」で印象に残っているシーンの一つに、主人公が亡くなった母親の遺骨をかじるというのが在る。概して「日本人は骨に執着する。」と言われるが、そんな一端を思わせるシーンで、強烈に脳裏に焼き付いている。
今回のドラマは、残念ながら部分的にしか見られなかったのだが、全てに於いて松坂慶子ヴァージョンに及ばない気がした。
僕が子供の頃も、今ほど豊かではなかったとは言え、あれほどの食事を強いられる事はなかったですね(^^;。
お米の自給率も、僕が子供の頃には100%だったものが、輸入解禁されてからは、あんなに下がってたんですね。
昔、社会科の授業で、「日本は食料自給率が低いから、外国の言う事を聞かないといけないんだ」、なんて言ってた先生がいました。
当時、食料自給率が100%だったのは、確かアメリカとフランスだけ。
「だからフランスは、アメリカに対しても毅然とした外交に出られるんだ」とか…。
主人公が亡くなった母親の骨をかじるシーン。
少し前に放映された「弟」では、石原裕次郎が死んだ父親の骨をかじるシーンがありましたね(こちらはノンフィクションなのでしょうけど)。
コメントいただきました件ですが、スカッシュとラケットテニスは違うらしいのですがどう違うのかは僕には分かりません。
食糧自給率の記事は面白く読みました。
じつは今春より中学生になる娘がおりますが、私立のために、すでに三月上旬に出校日があり、数学をのぞく4教科に宿題が出ています。そのなかに新聞記事を読んで、「論旨をまとめる」「大人の意見を聞く」「自分の意見をまとめる」という課題がありました。(国語)
そこで、娘はこの食糧自給率の記事を選び、以下のような意見にまとめました。
「米や芋しか食べられず、お肉が9日に1回しか食べられないのはショックだった。和食に欠かせない大豆や小麦の国産量をもっと増やす努力が必要。それだけではやはり足りないので、輸入相手国との外交を上手にやっていくことが必要。自分の食生活を振り返ると、とてもぜいたくで無駄が多いので、改めたいと思う。」
いかにも新・中学生らしい意見です。でも、「大人の意見」として、私はちがう見解を持ちました。
『なぜ、今この記事が出るのか。』ということです。この記事を表面的に見れば、娘の言うように自給率を上げる努力の必要性を感じます。しかし、娘も感じたように、卵は7日に1回、食肉にいたっては9日に1回しか食べられないという、数字のほうがインパクトがありました。
米や芋しか食べられないから、食生活のレベルダウンを心がけようということを提唱したいのでしょうか。輸入に頼る食生活への警鐘を鳴らしたいのでしょうか。しかし、現実には米国に、BSEの安全性も確立されていないのに、牛肉を輸入しろと相当な圧力をかけられています。米国の我慢はもう限界とまで記す新聞もあるくらいです。
「輸入に頼るな」ではなく、「ね、ホラ。輸入しないと国民の皆さんの大好きなお肉が9日に1回しか食べられなくなるんですよ。それでもいいんですか?」と、暗に輸入解禁もしかたなし、と思わせるような数字のトリックになっているように、ひねくれたおばさんの私は思えてしまうのです。
吉野家の牛丼食べたいでしょう。焼肉の食べ放題も食べたいでしょう。もう肉なしの生活なんて考えられないでしょう。だから、潔癖なこと言ってないで、輸入解禁しましょうよ。こっちは米国に迫られて大変なんですから。世論から動いてください。追い風になりますし。なにせ、9日に1回ですよ…
農水省のとっても意図的な発表のように思える私は、妄想的おばさんでしょうか。(笑)
牛肉輸入解禁の下地作りという意見に納得しました
マスメディアの偏重ぶりが目立つ昨今、それを利用しようとする為政者は存在し得るでしょう。報道を鵜呑みするのではなく、”先ずは疑ってかかる”という姿勢は必要だと思いますし、tyuio様の御考えは決して妄想の一言で片付けてしまう必要はないと思います。
魚介類なんてほとんどが外国の海の産。肝心の主食を減反させ、今じゃペットボトル一本分のお米が水よりも安いと言うのですから。農家の方の気力も萎えるというもの。
安心して安全な食料を確保するのは、消費者個人の財力次第なんて、おそろしい事です。
東京のオフィスビルの地下に農場ができた、というニュースで首相がはしゃいでいましたが、せっかくあった日本の農業をダメにしたのは・・・・。ねえ?
私の職場にも農産事業部なるセクションがありますが、今や農業に従事する人々の平均年齢は65才を越え、後を継ぐ人間も殆どいないのが現状となっています。農業と一言で言っても、そのノウハウは、本を読んで身につくような習い事とは違い、一長一短で出来るものではないのに、国はどう考えているのでしょうね、....勿論、現在でも県ごとに農業試験場などがあり種苗関係の研究は、世界でもトップクラスの技術は保持してますが、一刻も早く農業の現場のあり方を見直すべきだと思います。....ついでに捕鯨も再開してはどうかと考えます。何せ、このままではイワシがいなくなってしまいますよ....海洋食材の安定を図る意味でも
まずは捕鯨学校の再開を提言したいですね。(^^)