「子供の頃夢中になって見ていた刑事ドラマ『Gメン’75』の全作品をDVDコレクションした『Gメン’75 DVDコレクション』。」を定期購読しており、当ブログでも過去に何度か記事にしている。今回の記事も、先日発売された第34号の内容にインスパイアされて書く事に。
第34号に収録されているのは第97話~第99話で、今回取り上げるのは第99話「安楽死」(1977年4月9日放送)。
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安楽死:人又は動物に対し、苦痛を与えずに死に到らせる事。一般的に、終末期患者に対する医療上の処遇を意味する。安楽死に到る方法として、「積極的安楽死」と「消極的安楽死」の2種類が在る。
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安楽死を扱った作品は、数多く存在する、小説で言えば森鴎外の「高瀬舟」が、漫画で言えば手塚治虫氏の「ブラック・ジャック」(の中の幾つかの作品)が、そしてTVドラマで言えば「赤い激突」が、個人的には印象に強く残っている。
で、第99話「安楽死」の中では、丹波哲郎氏演じる黒木警視が“海外に於ける安楽死事情”を語る場面が登場。其の中で語られた1人がカレン・アン・クインランさん。第34号では、彼女に関する詳しい補足説明がされている。
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アメリカのニュージャージー州で暮らしていたカレンさん(当時21歳)は1975年4月、友人の誕生パーティーで飲んだ御酒と、常用していた精神安定剤「ヴァリウム」の作用によって意識を失った。彼女の脳は「回復不能」と判断され、人工呼吸器と経管栄養のチューブが繋がれる。約半年後には「持続的植物状態」との診断が出て、両親は所謂「安楽死」を希望したが、担当医は此れを拒否した。
其の後、両親は州の高等裁判所に、カレンさんの「尊厳を持って死ぬ権利」を求めて訴えを起こすが、此処でも両親の願いは聞き入られなかった。ところが最高裁判所が一転、条件付きで、訴えを認める判決を出した(1976年3月)。其の条件とは、「カレンさんの父親に『医師を選ぶ権利』を与え、選ばれた医師が『人工呼吸器を外すべきだ。』と判断した場合に、外す事を認める。」という物。又、其の場合、父親も医師も、民事・刑事の法的責任には問われないとされた。
此れに伴い、カレンさんの転院が決定。人工呼吸器は外される事になる。付け加えれば、其の後もカレンさんは自力での呼吸を続け、1985年に肺炎で亡くなる迄、9年間も生き続けたのだが、判決が報道された際、日本でも「尊厳死」という表現が多用された。「尊厳死」という言葉が定着したのは、此の判決が切っ掛けだったと言って良い。
(中略)
人工呼吸器が(「段階的」にでは在ったそうだが)外された後、カレンさんが奇跡的に「自発呼吸」を取り戻した事で、両親は、其れ以上の訴えを起こさなかった。其処にこそ、生命に対する「尊厳」の本質が在ったのだ。人工呼吸器に繋がれた「生」は望まなくても、「持続的植物状態」自体が変わらなくても、両親は「自発呼吸」する娘の「生」を尊重した。
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安楽死に関しては、賛否両論在るだろう。以前にも書いた事だが、「生きたくても、(病で)急死する事になった父。」を持った身としては、“安直な死”を認めたくは無い。だが、末期癌でのたうちまわり乍ら亡くなった祖母を見た身としては、「生き永らえる術が無く、苦しみ乍ら死を迎える“だけ”ならば、安楽死を認めて欲しい。」という気持ちが在る。