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静岡県浜松中央署管内で小学4年生の村木千夏(むらき ちなつ)ちゃんが誘拐された。犯人は、千夏の母・清美(きよみ)に身の代金1億円を持って、浜松駅からタクシーに乗車する様命じる。静岡県警は総力戦で臨むが、身代金は奪われ、千夏は無残な遺体となって発見された。県警の日下悟(くさか さとる)警部補は、千夏への仕打ちから、村木家に強い恨みを持つ者の犯行ではないかと推理していた。
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小説「人さらい」(著者:翔田寛氏)は、2015年に上梓された同氏の作品「真犯人」の続編。「真犯人」には総合評価「星4.5個」と、非常に高い評価を付けたけれど・・・。
既視感の在るストーリー。犯人の設定も動機も、過去に読んだ事が在る様な感じなのだ。身の代金が奪われた際に用いられたトリックは悪く無いが、全体的に目新しさの無いストーリー展開で、先が読めてしまった。
又、御都合主義的な設定には鼻白んでしまった。詳細を記すのは控えるが、或る人物と或る人物とが知り合う切っ掛けというのも然る事乍ら、「“仇”を探し出す為に“職場”を変え、“或る行為”をし続けた結果、“偶然”に仇を見付け出した。」というのは、“執念”という言葉では片付けられない、御都合主義的な感じがしてしまう。
因果応報と言ってしまえば其れ迄なのだろうけれど、後味の悪さだけしか残らない作品だった。前作の「真犯人」が非常に良かっただけに、がっかり感は強い。
総合評価は、星2.5個。