不動産リースバック

最初に断っておくが、今回の記事は特定の企業を批判したい訳では無く、飽く迄も一般論として書く物で在る。其の事を踏まえた上で、読んで戴けたらと思う。

「老人ホームに入居する場合、『現在住んでいる自宅を売却し、入居したい老人ホームに諸々の費用を払い込んでも、手元にそこそこ御金が残るし、月額費用は年金で賄える金額だから大丈夫。』と“安直”に考えて決断するのは、非常に危険だなあ。」と、昔からずっと思っていた。「老人ホームを運営する企業が倒産したら、払い込んだ費用は戻って来ない可能性が高い。自宅を既に売却しているので、住む場所を失ってしまい、路頭に迷い兼ねないから。」というのが理由だ。何年か前から、其の危険性が指摘され始め、「矢張りなあ。」と。

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・リースバック：「現在所有している物品（主に固定資産等）に相当する物を他に売って、其処からリースするという金融取引。」を言う。こうした取引の対象になる物は不動産等の固定資産や、飛行機や列車等の資本財等。

・不動産リースバック：リースバックの中でも、不動産を対象とした物を「不動産リースバック」と呼ぶ。不動産リースバックには、持ち家をリースバック業者に売却して、資金を調達し乍ら、リースバック業者から以前の持ち家を賃貸する事で、住み続けるサーヴィスも在る。
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「不動産リースバック」という制度がＣＭ等でアピールされ始めてから、随分経つ。「住んでいる住宅を売却しても、売却後に買い主と賃貸契約を結び、毎月決まった賃料を支払えば、売却した住宅に住み続ける事が出来る。又、売却した住宅を買い戻す事も出来る。」という不動産リースバックも在る。個人的には「金銭的に困っている方に、我々はこんなにも尽くして上げるんですよ。」という企業側の“親切さアピール”を感じてしまうのだが、制度の危険性を感じている。

「売却時の自宅評価額は低く抑えられるだろうし、逆に買い戻す際の金額は高くなるのではないか？」、「決められた賃料が、相場よりも高く設定される可能性は無いのか？」、「長生きしたら、売却額が尽きてしまい、賃料が払えなくなってしまう。そうなると、住む場所を失ってしまい、路頭に迷うのではないか？」等の懸念が在るので。実際、そういう可能性を“非常に小さな字”で表示しているＣＭも見受けられる。

此方を見ると、他にもデメリットが在る様だ。そういうデメリットを納得した上で不動産リースバックを利用するならば良いのだけれど、安直に飛び付いてしまうのはどうかと思う。矢張り世の中、そう旨い話は無いのだ。