内閣府大臣政務官に就任した今井絵理子議員が先日、台風15号で大きな被害を受けた千葉県を訪れた。「国会議員になって以降、“目立った活動”は“不倫”だけ。」という彼女が、内閣府大臣政務官に就任したというのは驚きの思いしか無いけれど、“派閥順送り人事”の結果と言われている。“政治の劣化”が更に進んだ感じがして頭が痛くなる。
で、そんな彼女が被災地で記者団の取材を受けていたのだが、「女性視点の防災も、とても重要な課題だと考えている。」という発言をしていた。「“女性視点の防災”って何だよ!?」と思ってしまった。「判る様で、全く意味不明な発言。」で在り、恐らくは「何か聞かれたら、取り敢えず“女性視点”と付けて答えなさい。」とでもアドヴァイスされているのだろう。
彼女に限らず、「言語明瞭意味不明」な政治家というのは昔から居た。竹下登元首相なんぞもそんな1人で、そういう発言が非常に多かった。「明言しない事で、言質を取らせない。」という目論見も在ったのだろうが。
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「熱い迷言? 小泉節、良く聞くと意味不明・・・ 『言いそうな事』盛り上がるネット」(9月23日付け東京新聞[朝刊])
父親譲りの熱の籠もった演説で知られる小泉進次郎環境相だが、「良く聞くと、意味が通らない発言が目立つ。」とツイッター上で話題になっている。「赤を上げて、白を下げないと、どうなると思いますか?そう、赤と白が、上がるんです。」といった小泉氏が「言いそうな事」を想像した投稿が相次ぎ、面白さを競い合う「大喜利」状態だ。
「年末年始。年の瀬。師走。こういう言葉を聞く度にね、何時もこう思って来ました。もう直ぐ新年だな、と。」、「皆さん、私は、皆さんに、12時の7時間後は7時で在り、19時でも在るという事を真剣に御伝えしたい。」。此れ等はハッシュタグ(検索目印)「#進次郎さんにキリッと朗読して欲しいコメント」を付けたツイートの一部だ。「最高!」、「声を出して笑ってる。」等の感想も寄せられている。
小泉氏は11日の環境相就任後、発言が報じられる機会が増加。福島県いわき市で17日、記者団に東京電力福島第1原発事故による汚染土の最終処分場に付いて問われた際には、「30年後の自分は何歳か、発災直後から考えていた。健康で居られたら、(県民との)其の30年後の約束を守れるかどうかの節目を見届ける事が出来る政治家だと思う。」と答えた。
此の発言を捉えて「30年後、私は何歳になっているんだろうか。此れ、誰にも判らないと思いますよ。」との書き込みも。「本家程、意味不明の事を言ってる人は未だ居ない!本家強いな!」と面白がる人も居た。
政治アナリストの伊藤惇夫さんは、「話術は優れているが、中身は空疎だ。原発事故の汚染水に付いても謝罪はしたが、国や環境相として、今後どう対応するかが発言からは判らない。」と指摘。「国会答弁等で、真価が問われるのは此れからだ。」と注目する。
「小泉進次郎の話す力」の著作が在るハリウッド大学院大の佐藤綾子教授(パフォーマンス心理学)は「話し方が回りくどくなるのは、足を掬われない為の防衛反応だ。用意して臨む会見では明瞭に話すが、突然の質問の場合、真意を明らかにしない姿勢は、大臣になっても変わらないだろう。」と話している。
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以前にも書いた事だが、「日本の政治の劣化が酷くなったのは、小泉進次郎大臣の父・小泉純一郎氏が首相になった頃から。」だと思っている。都合の悪い質問に対しては話を逸らしたり、「其れがどうした!何が悪い!!」と開き直る不誠実さが目立つも、「そういうのが面白い。」と考え違えた愚かな国民が少なからず支持した事で、「真面目に答えず、平然と誤魔化すというスタイル。」が、日本の政界では“一般化”してしまった。安倍晋三首相なんぞは、其の最たる例と言って良いだろう。
「次の首相に相応しい人は?」といったアンケートでは、上位に選ばれる小泉大臣。其れが自分には、不思議でならなかった。過去に何度も書いている様に「『大衆受けする事は言うけれど、“言うだけ番長”で何も出来ていないし、何よりも自分達の身を切る事は一切言わない。』という、中身の無い狡い男。」だからだ。彼が言って、実際に成し遂げた事は無いし、話術は優れているのかも知れないが、“受け狙い”が前面に出ていて、中身が空疎。人の心の中に染み込む様な田中角栄元首相の演説とは大違い。
大臣として海外でスピーチに臨んだ際には、案の定“中身の在る具体的な話”は全くせず、受け狙いの話で「場内に笑いが起こりましたね。」と得意気に語っていた彼。ニューヨークで22日開かれた環境保護団体のイヴェントでは、「気候変動の様な大きな問題に取り組む際には『楽しく。』、『格好良く。』、『セクシーで。』なければならない。」と意味不明な発言をし、翌日、「セクシーで。」の真意を記者から問われると、「説明する事自体、セクシーでは無い。野暮な説明は要らない。」と答えた小泉大臣。いわき市の件と同様、御得意の誤魔化し手法だ。
表面的なイメージだけで彼を支持している人達には、彼の言動をもっと掘り下げて分析して貰いたい。「面白いから。」とか「格好良いから。」といった“アイドルを追っ掛ける様な感覚”で政治家を選んでいたら、日本はどんどん駄目になって行くだろう。