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「葉を食べられた植物 香りで虫撃退」(4月29日付け東京新聞【朝刊】)
害虫に葉を食べられてしまった植物が特定の香りを放出し、周りの植物は其の香り物質を、虫の成長を妨げる化合物に変えて、虫から防御を図っている事を、京都大と山口大のチームが突き止め、28日付けの米科学アカデミー紀要電子版に発表した。
此れ迄、葉を食べられた植物の近くに在る別の植物が、自らを防衛し様と反応する事は知られていたが、詳しい仕組みは不明だった。チームの高林純示京大教授(化学生態学)は「植物同士のコミュニケーションの仕組みを、より明確にして行きたい。」と話した。
チームは、蛾の幼虫にトマトの葉を食べさせ、其の際に放出された香り物質を、幼虫に食べられていない別のトマトの葉に浴びせた。此の葉を食べた幼虫の生存率は、香り物質を出したトマトの葉に比べて約2割下がり、害虫を減らすのに役立っていた。
チームは、葉に含まれる7千以上の成分を調査。香り物質を浴びせられたトマトの葉では、「青葉アルコール」と呼ばれる化合物の量が著しく増えている事を確認。
青葉アルコールが葉の中で糖と繋がって、幼虫の成長を抑える別の化合物になり、生存率を下げている事を明らかにした。
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「利他的行動」という用語が在る。「人を含む動物が、他の個体等に対して行う、自己の損失を顧みずに、他者の利益を図る様な行動。」を指すが、「親が自らを犠牲にして、危険から子供を守った。」り、「危険が迫った際、“集団”を守る為に我が身を投げ出した。」りといった事柄も当該。「植物にも、そういった“行動”が在るのではないか?」という話は知っていたけれど、具体的な研究結果として示されると、中々興味深い物が在る。