ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「ビブリア古書堂の事件手帖Ⅲ ~扉子と虚ろな夢~」

2022年06月15日 | 書籍関連

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春の霧雨が、音も無く降り注ぐ北鎌倉古書纏わる特別な相談を請け負うビブリア古書堂に、新たな依頼人の姿が在った。

或る古書店の跡取り息子の死により、遺された約千冊の蔵書高校生になる少年が相続するだった形見の本を、古書店の主でも在る彼の祖父は、在ろう事か全て売り払おうとしていると言う。

何故-不可解さを抱え乍ら、ビブリアも出店する即売会場で説得を試みる店主達。そして、偶然依頼を耳にした店主の娘も、静かに謎へと近付いて行く。
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三上延氏の小説ビブリア古書堂の事件手帖シリーズ」は、「古書に関して並外れた知識を持つ古書店の店主・篠川栞子(しのかわ しおりこ)が、客が持ち込んで来た古書に纏わる謎を、アルバイトの五浦大輔(ごうら だいすけ)と共に解き明かす。」という内容。第7弾は恋人同士という関係だった栞子と大輔が、第8弾では結婚していて、娘の扉子(とびらこ)が登場。そして、今回読んだのは第10弾の「ビブリア古書堂の事件手帖Ⅲ ~扉子と虚ろな夢~」で在る。

今回の話は、古書即売展が舞台。昔、実際に足を運んだ事が在るが、堅い本だけでは無く、漫画雑誌映画パンフレット等も取り扱われており、掘り出し物捜しが楽しかった。作品内で取り上げられる“本”は映画パンフレット「怪獣島の決戦 ゴジラの息子」、樋口一葉の「通俗書簡文」、そして夢野久作氏の「ドグラ・マグラ」。因みに「ドグラ・マグラ」は小栗虫太郎氏の「黒死館殺人事件」、中井英夫氏の「虚無への供物」と並んで、日本探偵小説三大奇書と呼ばれている

三上氏は古書店に勤務した経歴が在るそうだが、古書に関する知識は生半可じゃ無い。「ビブリア古書堂の事件手帖シリーズ」では毎回、古書に関する蘊蓄に圧倒されるが、今回も例外では無かった。


人間が持つ悍ましい悪意が「ビブリア古書堂の事件手帖シリーズ」では描かれる事が在るけれど、今回もそういう物が在った。特に、最後の最後に明らかとなる或る人物の目論見は悪意に根付いているとしか思えず、ぞっとさせられたし。

残念に感じたのは、「古書店の跡取り息子が、彼の息子に託した思いというのが、今一つ伝わって来なかった。」事。其れに、息子の母(=古書店の跡取り息子の妻)の言動が、必要以上エキセントリックな感じになってしまった気がする。

総合評価は、星3.5個とする。


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