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非正規雇用の日本語教師の金井夕香子(かない ゆかこ)は、オンライン授業中に中国人留学生・通称“坊っちゃん”の机に暗号が書いて在るメモを見付け、画面キャプチャを撮る。フリーターの彼氏・大原啓治(おおはら けいじ)に「ネット銀行のパスワードではないか?」と言われ、試しに打ち込んでみると、ログインに成功。残高は3億円だった。桁違いの金銭感覚を持つ坊っちゃんなら、少し位引き落としてもバレないだろうと、2人は30万円の窃盗に成功する。
然し数日後、夕香子の部屋に、何故か現金3億円が届いた。そして、坊っちゃんから「金を返せ。」とメールが届く。然も、啓治の友人の婚約者が拉致されてしまい、2人は返金し様とするが・・・。
まさかの展開の連続の末、夕香子達が辿り着いた結末とは!?全く新しい3億円誘拐事件が登場!
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本江ユキさんの「坊っちゃんの身代金」は、第20回(2021年)「『このミステリーがすごい!』大賞」の“隠し玉”に選ばれた小説。大金持ちの息子で、大金にも執着していない“坊っちゃん”に目を付け、軽い気持ちで彼から30万円を盗み取ったカップルが、とんでもないトラブルに巻き込まれて行くというストーリー。
30万円を盗み取ったカップルもそうだが、登場人物達の言動が“余りに馬鹿過ぎる”し、不快さを感じてしまう事も屡々で、“このミス”の隠し玉に選ばれた作品で無かったならば、途中で読むのを止めた事だろう。
キャラクター設定の駄目さに加え、ストーリーも全く駄目。捻りが全く無い展開で、“先”が略完璧に読めてしまったし、結末も“尻切れ蜻蛉感”しか無い。「良くもまあ、こんな作品を隠し玉に選んだなあ。」と、呆れ返ってしまう許り。
申し訳無いけれど、読むのは時間の無駄。総合評価は、星2つとする。