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「『美容室』の倒産急増、前年比1.5倍で過去最多ペースに 『赤字』経営が4割、コスト高と節約志向が打撃」(9月3日、帝国バンク)
美容室の淘汰が加速している。2024年に発生した美容業(美容室)の倒産(負債1,000万円以上、法的整理)は、8月迄に139件発生した。2023年の同期間に比べて約1.5倍と成った他、年間で最多だった2019年(166件)を大きく上回る勢いで推移している。此のペースが続いた場合、通年の倒産件数は過去最多を大幅に更新し、初めて年間200件台に到達する可能性が在る。
美容室の倒産が急増した背景には、新規開店が続いた事による店舗間競争の激化が挙げられる。加えて、円安や原材料高の影響によるシャンプーを始めとした美容資材の価格高騰、スタイリスト等の獲得難を背景とした人件費等の各種コストアップが追い打ちと成った。
こうしたコスト高を理由に、各美容室では施術費用の値上げ等を行っているものの、値上げをしても利益が「不変・減少」と成ったケースが8割を占める(日本政策金融公庫調べ)等、施術費用の引き上げが難航し、不安定な経営が続いている美容室も少なく無い。
2023年度に於ける美容室の業績を見ると、損益面で「赤字」と成った企業は4割を占めた。又、物価高による家計の節約志向に加え、女性のヘア・スタイルの流行が洗髪し易いショートカット系へとシフトし、「カットは好調だが、パーマネント等、高単価の施術メニューが厳しい。」といった声も聞かれた。実際に、支出額ベースでは、カットに比べてパーマネントの減少傾向が見られた。
足元では、顧客離れを懸念して値上げを見送る美容室も多く、相次ぐコスト増に耐え切れない美容室の市場からの退場が、更に進む可能性が在る。
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大昔は、近所の“床屋”で散髪して貰っていた。然し、料金の高さから、所謂“10分間カット”と呼ばれる安いヘアカット専門店に通う様になったのだが、更に激安な“美容室”を近所で見付け、其処に通う様になって久しい。カットのみとはいえ、尋常では無い安さがとても有難かったのだが・・・。
半年位前だったか、其処のスタッフが別の客と話しているのを耳にした。「時間を限定しているとはいえ、此れだけ安いカット料金だと、正直厳しさを感じている。多くの御客様が利用して下さっているので、何とか今の料金を維持したいんだけど・・・。」というスタッフの言葉に、「経営的にも大変なんだなあ。」と思った物。
10分間カットですら、昔と比べると結構な値上がりをしている。なのに、激安料金を維持して来た其の美容室の心意気には、頭が下がる思いだった。
其の美容室が、料金値上げに踏み切ったのは最近の事。「4割以上の値上げ」というのは、数字的には相当な物だが、其れでも「一般的には、可成り安い部類に入る。」だろう。とは言え、貧乏人の自分なので「美容室に行く頻度を、少し下げ様かなあ。」と思ったりもする。
今回の記事で、美容室の倒産が急増している事を知った。一昔前で言えば、「パチンコ店やクリーニング店は不況知らず。」という感じが在ったが、今や閉店が珍しく無くなっている。そんな中、美容室は“雨後の筍”の如く新規開店が続いている印象が在ったので、倒産急増というのは意外な感が在ったのだけれど、「新規開店が続いた事による店舗間競争の激化」というのは「成る程。」と。そして、美容資材の高騰等が加われば、倒産急増も当然なのかも。
美容室を巡る経営環境の悪化が更に進み、通い慣れた美容室が新たな値上げに踏み切らない事を願っているが・・・。