287段の石段を登りきると、上図の長い参道に出ました。奥に内船寺の本堂以下の建物群が見えました。上図の撮影位置が、原作コミック第13巻29ページ4コマ目で各務原なでしこが「到着っ!!」と石段を登り切ったポーズを決めた場所とみられますので、姉の桜さんは寺の裏手の駐車場から山門の前を通ってここまで歩いてきたことになります。かなり距離がありますが、妹がちゃんと来るか様子を見に行ったのでしょう。
そして「あんた本当に体力ついたわね」とさりげなく言いますが、このあたりにも妹思いの姉の心情が察せられます。
9時11分、参道を進んで山門前の石段に近づきました。既視感を覚えてコミック第13巻を開き、30ページの第71話の扉絵のアングルだと知りました。山門横に大きく枝を拡げる老木が、春には見事な桜の花を咲かせるわけです。各務原姉妹の桜めぐりはここからスタートしているわけです。
山門は、珍しいことに唐破風形式に造られています。日蓮宗の古刹にはかなり見られる屋根形式ですが、本来は皇族や貴族等の特権階級専用の格式を示す屋根形式なので、鎌倉期より起こった新仏教の一派たる日蓮宗がいかに既存の権威や格式を否定していったかがしのばれます。
現在の建物は江戸期の再建になるものですが、鎌倉期建治三年(1277)の創建時からこのような姿であったのかは、寺の案内説明にも言及がありませんので、よく分かりません。
朝の静寂に包まれる境内に、襟を正して進み、とりあえず上図の本堂に向かって一礼しました。私の実家の宗派は曹洞宗で本山が越前の永平寺ですので、宗旨も教義も全く異なる日蓮宗の寺院にあっては余り踏み込まずに、謹んで一礼するにとどめています。以前の巡礼にて奥之院まで行った、身延山の久遠寺においても同様でした。
第一、ここ内船寺は観光寺院ではなく公開もしていないようなので、あまり境内地に入ってウロウロするのもよくありません。すぐに辞して山門の外に退きました。
日蓮宗サイトの内船寺の案内情報はこちら。
山門前から裏手に通じる道に少し進み、振り返って門脇の枝垂桜を再び見ました。参道の真上に枝が広がっているので、満開の時期には大勢の花見客が下をくぐるのでしょう。
裏手の参拝駐車場に行きました。原作コミック第13巻29ページ3コマ目のアングルです。各務原桜がここに愛車ラシーンを停めて境内地に向かったのでした。
参拝駐車場を抜けて北の出入口を通りました。上図の寺号標が、寺の裏口であることを示しています。各務原姉妹が再び車に乗って、次の桜の名所へ向かったのも、ここを通ってのことでした。
そのまま道なりにぐるりと谷地を囲むように左へ廻り、少し降りていくと、左手に上図の分岐がありました。この分岐が、各務原姉妹が次に向かったうつぶな公園への進入口にあたります。
進入口の案内表示板です。「うつぶな公園」と書かれた木製の表示板は、原作コミック第13巻31ページ1コマ目の描写そのままですが、下の「マレットゴルフ場」の看板は真新しい感じで、作中にも描かれる元の看板が小さくて目立たなかったために、大きな現在のものに交換されたのでしょう。
ところで、マレットゴルフって何だろう、と思いました。それで公園への坂道を登りつつタブレットで検索し、日本の福井県で考案されたスポーツで、ゲートボールのスティックとボールをそのまま使い、ゴルフのようにプレーする競技であることを知りました。最も盛んにおこなわれている地域は長野県で、老若男女問わず大勢のプレイヤーがいるそうですが、関西では見た事も聞いた事もありません。いわゆるご当地スポーツの一種なのだろう、と思いました。 (続く)