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現代ビジネスOPEN!! どりこの探偵局


佐藤優「深層レポート」「封印された橋洋一証言」(※『現代プレミア』より)
>>>第1回から読む

弱みの握り方
『外務省ハレンチ物語』に書いた国会議員に対するアテンドについて筆者が説明し、外務官僚がどれほど「怖いこと」に手を染めているかを話題にしたときのことだ。橋氏が、ちょっと驚きの証言をした。「実は私にもその種の経験がある」と語ったのだ。その経験とは、海外での「アテンド」。外務省の職員は政治家や他省庁の幹部などを、海外で接遇する機会が多い。そしてそれは、弱みを握る大いなるチャンスなのである。

***

佐藤 そのアテンドがくせもので、いかがわしい場所に連れて行ったりする。それで翌日、「先生、昨夜はハッスルされましたねえ」と意味ありげに微笑むわけです。政治家や他省庁の連中をどこに連れて行ったかという、A4判の便宜供与報告書があって、大臣官房総務課がそれを一括管理してます。もちろん財務省の役人のもありますよ。
橋 そうやって情報を「握る」わけね。実は、私も似たような仕事をしていた時期がある。審議会の委員をしている学者やメディアの記者を海外に連れて行くと、たいていハメを外して、弱みを握れるんですよ。
佐藤 ハメを外すんじゃなくて、外させるんです、仕事だから。怖いですよぅ(笑)。ところで、財務省はどんなメディア対策をとっているんですか。
橋 財務省の連中は、マスコミは全部飼いならせると考えているでしょうね。外交もそうかもしれないけど、マスコミの人は専門知識がない。そこに付け入る余地があって、コントロールできるという自信がある。
佐藤 つまり、情報をエサにするわけですね。在外公館にいると、ときどき本省から政局動向レポートが回ってくる。これ実は外務省が外務省担当の記者に書かせていて、裏金から30万円ぐらい払っていると聞きました。これを一回やってしまった記者は黒い友情から抜け出せなくなる。財務省と比べると、汚いオペレーションでマスコミを巻き込むのが外務省です。私がロシア大使館時代にやったのは偽造領収書の作成。大使館のゴム印を押すんですけど、これは登録されている公印ではなく、悪事に使うためのものなんです。このゴム印を大使館のレターヘッドが入った領収書に押して、取材でやってきた記者の連中に渡すんです。
橋 金額が自由に書き込める白紙の領収書ですね。
佐藤 こんな話もあります。あるロシアスクールの先輩が記者と一緒に韓国に行ったとき、女性がニワトリの卵を産むショーをやっている、かなりいかがわしいクラブに案内した。そこでみんなで記念撮影をする。先輩曰く、「その写真が役に立つ」と。写真を撮られたことが、記者にとっては弱みになるわけです。やはり外務省はまともな組織じゃないですよね。
橋 外務省は特におカネが使える役所だからね。
佐藤 人間を根源的に信用していないから、「暴力装置的なもので脅し上げるしかない」という発想がありますね、あの人たちには。
橋 暴力装置と言えば、財務省の場合は税金ですね。最後の最後には税金で脅し上げる。税金にはみんな弱くて、そこを握ればゲームオーバーですよ。脱税事件は国税、地検、警察が一体になってやりますから、戦っても勝ち目はない。どんな政治家でもやられる。外務省は下半身の証拠を握るのかもしれないけど、財務省は税金で押さえちゃうわけです。私も財務省批判をしているから、親類縁者までみんな厳しくチェックされて結構大変ですよ。


***

 この最後の発言は重要だ。橋氏は、自分がどう見られているかをよくわかっていたし、身辺についても十二分に注意していた。自分が所属していた官僚組織の怖さを身をもって知っていた。これほど慎重な橋氏が、窃盗事件をなぜ起こしたのか。筆者にはその動機がどうしても腹にストンと落ちないのである。

外務省のタブー 
 既に述べたように、橋氏は埋蔵金を表に出すことによって、結果的に財務官僚の能力問題に疑問を投げかけた。これが財務省にとって本当のタブーだった。実は外務省にも、絶対に触れてほしくないタブーがいくつかある。能力については、外務官僚の語学力が低いということだ。それとは別に外務官僚だけがもつ「第二給与(在外手当)」の問題だ。これが外務官僚の巨額蓄財の原資になっている。

***

佐藤 外務省の本俸は、他の役所と同様に人事院が決めています。でも在外手当は人事院ではないんですよ。
橋 ああ、在外公館の給与の話ね。
佐藤 いくら出すかは外務人事審議会が決めている。外務公務員法に基づいて設置されている審議会で、独立した機関という建前だけど、以前は外務省の事務次官経験者もメンバーだった。世間の目が厳しくなったのでいまは入れていませんが、依然として外務省が選んだ内輪の関係者だけでやっている。完全なお手盛りで、外務官僚の第二給与になっています。たとえばロシア大使館の50歳の公使の1ヵ月の在外手当はいくらだと思います? ちなみに統計上ではロシアの給与所得者の1ヵ月の平均給与は3万円ぐらいです。
橋 ちょっと想像がつかないな。
佐藤 配偶者手当などを含めれば月80万円になります。
橋 年間1000万円くらいか。
佐藤 ただし、これとは別に住居手当が毎月100万円程度つく。こうした手当の金額を決める基礎データは何かといったら、在外公館が送ってくる資料だけなんです。これもお手盛り。
橋 財務省も在外公館ではいいポストをもらっているから、在外公館に行くと金持ちになって戻ってくる(笑)。
佐藤 そうでしょう。何しろ在外手当は経費にもかかわらず精算しなくていい。だから、残ったカネを持ち帰ってくる。
橋 たしか所得税法から外れていて、課税されない。私は在外公館勤務の経験はないけど、オイシイという話はよく聞くね。しかも在外公館で真面目に仕事をしている人は少ないでしょう。現地の情報収集や分析で、主要省庁は在外公館を頼りませんよ。たいていの役所には海外留学組がいるから、言葉もできる。財務省は海外との交渉に外務省が入ってくるのはむしろ鬱陶しいという感じだし、経産省だってJETRO(日本貿易振興機構)を使ってやっている。


***

 外務省が強調する外交一元化が実質的に崩れていることは、橋氏の指摘を待つまでもなく、公然の秘密だ。


「第5回」に続く


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総合評価★

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酒類Alcoholビールテイスト


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※ 著者 マーティン・フリッド氏のインタビュー記事が 『ニッポン 消費者新聞』(6月15日付)に掲載されました。記事はこちら

 

 




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食品添加物 未使用         
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※コメントは選者ご本人によるものです

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情報化の時代は、言い換えれば情報操作の時代でもある。アメリカが真実を隠す理由

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デイビッド・ハルバースタム/浅野輔訳
サイマル出版会/1984年
アメリカにおいてスポーツは一大産業であり、そこにはさまざまな思惑が渦巻いている

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デイビッド・ハルバースタム/土屋政雄訳
ティビーエス・ブリタニカ/1987年
冷戦下、アメリカをはじめとする西側諸国はモスクワ五輪をボイコットした。そして4年後……

ベトナムの泥沼から
デービッド・ハルバスタム/泉鴻之、林雄一郎訳
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南ベトナム滞在15ヵ月の記録。視る角度が少し違うだけで戦争の見方はこうも変わるものなのか

覇者の驕り―自動車・男たちの産業史〈上〉 (新潮文庫)
覇者の驕り―自動車・男たちの産業史〈下〉 (新潮文庫)
デイビッド・ハルバースタム/高橋伯夫訳
新潮文庫/1990年
青息吐息の米自動車産業。内部崩壊のメカニズムはこの時点で既に著者が明らかにしている

さらばヤンキース〈上〉―運命のワールドシリーズ (新潮文庫)
さらばヤンキース〈下〉―運命のワールドシリーズ (新潮文庫)
デイビッド・ハルバースタム/水上峰雄訳
新潮文庫/1996年
メジャーリーグの花形球団ヤンキース。「奢れる者は久しからず」との格言が頭に浮かぶ

男たちの大リーグ (宝島社文庫)
デヴィッド・ハルバースタム/常盤新平訳
宝島社文庫/2000年
ジョー・ディマジオにテッド・ウィリアムズ。誇りを賭けた男たちの戦いの物語

敗れざる者―ジョージ・フォアマン自伝
ジョージ・フォアマン/安部譲二訳
角川春樹事務所/1996年
屈辱的な敗北と衝撃的なカムバック。ボクシングは人を宗教家にも哲学者にもするものだ

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"クラッシー"フレディー・ブラッシー、キース・エリオット・グリーンバーグ/阿部タケシ日本語版監修
エンターブレイン/2003年
吸血鬼と恐れられた男は、いかにして希代のエンターテイナーへと変身を遂げたのか

ビンラディン―アメリカに宣戦布告した男
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毎日新聞社/2001年
世界の憎悪を一身に集めるテロリストにして、一部からは熱狂的な支持を受けるカリスマの正体

チャンピオン―ジョー・ルイスの生涯 (シリーズ・ザ・スポーツノンフィクション)
クリス・ミード/佐藤恵一訳
東京書籍/1988年
史上最強のボクサーは黒人ゆえにさまざまな差別を受ける。舞台はシカゴ。オバマ大統領にも一読を薦める

スポーツの危機 上―どこが間違っているか
スポーツの危機 下―どこが間違っているか
ジェームズ・ミッチェナー/宮川毅訳
サイマル出版会/1978年
スポーツはあまりにも肥大化し、商業主義の手先となってしまった。この先、どこへ向かうのか

FAへの死闘―大リーガーたちの権利獲得闘争記
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ベースボール・マガジン社/1993年
権利は与えられるものではなく奪うものである。メジャーリーグ選手会はいかに戦ったか

ザ・ファイト(新装版)
ノーマン・メイラー/生島治郎訳
集英社/1997年
世に"キンシャサの奇跡"と呼ばれるボクシング界きっての名勝負が鮮やかに蘇る

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デヴィッド・ヤロップ/二宮清純監修/小林令子訳
アーティストハウス/1999年
巨大市場と化したワールドカップ。女王陛下の国が生み出したフットボールは死んだのか

タリバン―イスラム原理主義の戦士たち
アハメド・ラシッド/坂井定雄、伊藤力司訳
講談社/2000年
物事を疑わない原理主義ほど恐ろしいものはない。イスラム原理主義の実態と本質

チャンピオンを売れ!―スポーツをビジネスに変えた男
アンドレ・ジャン・ラフォリ/榊原晃三訳
河出書房新社/1988年
言葉がなくても感動は伝わる。それゆえスポーツは巨大な産業となった

スカウト―トニー・ルカデロ最後の旅 (シリーズ・ザ・スポーツノンフィクション)
マーク・ワインガードナー/富永和子訳
東京書籍/1992年
「才能」を求めて旅する生活の何と豊かなことか。華やかなメジャーリーグの裏庭にもドラマはある


この項了


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