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出会えて良かった
附録の王者「軍艦三笠の大模型」
ルポライター 宮島英紀
子どものころから宝探しが大好きだった。
大人たちに見つからぬよう倉庫や屋根裏、空き家やスクラップ工場などへともぐりこみ、ガラクタのなかから、数知れぬほどの“秘宝”を蒐集したものである。
ホコリをかぶった書物や写真、古銭やガラス玉、正体不明の機械部品などを“発掘”するたび、学校で級友たちに見せびらかした。
はげしく傷つき、泥や油にまみれて使い物にならなくなった品々にも、かつては人々の活動を支えた栄光の時代があったはずである。
人間に見捨てられ、朽ち果てようとするガラクタたちの愚痴や自慢話が聞きたくて、ボクはせっせと“発掘”に勤しんでいたのだろう。
取材・執筆を生業としているいまも、色あせたり、ホコリをかぶったりした品々への愛着は変わらない。
この2年間ほど、ボクは講談社が昭和5年末から昭和19年にかけて、大々的に販売していた「どりこの」について“発掘調査”をつづけながら、そのリポートをブログで連載してきた。
「どりこの」とは、ブドウ糖を主体とする滋養飲料で、国内だけでなくアメリカやカナダにも輸出された大ヒット商品だ。
しかし、いまはその商品名さえ知る者は少なく、歴史の地層深くに埋没しようとしている。「どりこの」とはいったい如何なる飲み物で、誰が発明し、どんな経緯で出版社である講談社が発売することになったのか?
そもそも「どりこの」というこの奇怪なネーミングは何を意味しているのか?
さまざまな謎を解き明かすべく、講談社の書庫や保存資料室に入り浸る日々をつづけてきたが、その“発掘調査”の過程で、ボクはまたまた“秘宝”を発見してしまったのである……。 つづく
写真の模型は一部に加工と塗装を施してありますので、実際の商品とは多少異なります。
「完全復刻『少年倶楽部』附録大模型 軍艦三笠」
■講談社 価格:3675円(税込)
■ISBN 978-4-06-216254-8
■箱入り・シュリンクパック
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