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7月18日 奈良県大会 3回戦
天理 15-0 十津川 (5回コールド)

レポート 氏原英明
 
 きょうは奈良大会の4試合を観戦。
 7月13日にも取り上げた奈良大付が敗れるなど、一発勝負の怖さが顔を出し始めてきた3回戦の熱戦である。
 そんな中で、きょうは優勝候補の筆頭格・天理を取り上げたい。

 天理はこの春のセンバツ大会に出場したが、1回戦で敗退した。
 早稲田実の前に、持ち前の攻撃力を発揮できずに大会を去った。その成長ぶりが気になる存在である。
 この日の対戦相手は2回戦でシード校の法隆寺国際を破った十津川。奈良県最南端にある小規模校である。
 注目は、そんな小規模校が強豪校の天理とどういう試合をするかだった。小規模校の大金星など、夢物語は膨らんでいたかもしれない。

 しかし、いざ試合が始まってみると、天理の圧勝。1回表、1死満塁の好機をつかむと5番・大西が左翼スタンドへ本塁打を叩きこむなど5点を先取。2回には主砲・西浦の本塁打で2点。3回にはまた大西が満塁本塁打を放つなど、5点。4回に3点を取って、試合を決めた。
 終わってみれば15-0の圧勝で5回コールド勝ち。圧倒的な力を見せつけた。

 センバツ以降、打線が湿りがちで頭打ちを危惧されていたが、ここへきて覚醒した形だ。
 1番・徳山から、2番・原田、3番・中村と走れて確実性の高い選手が好機を演出し、大西・西浦が破壊力を見せる。下位打線も充実し、破壊力は抜群だ。
 なかでも、2回に2点本塁打を放った西浦の成長ぶりに感心するばかりだ。

 西浦は昨年秋から主軸に座り、近畿大会や神宮大会でサヨナラ安打を放つなど、勝負強い選手として注目されてきた。
 しかし、センバツでは、その力を発揮することはなかったし、それまでもサヨナラ安打は打つものの、安定して結果を残すことができていなかった。
 体にパワーを感じるのだが、それが打席で生かされない。むしろ、力で打ってやろうという力みが感じられ、彼の良さが消され続けてきた。

 それがこの大会に入って、1回戦から力みが消え、柔らかさと懐の深さを感じるようになったのである。
 2回に放った本塁打は力で打ったものではない。体の回転で軽く払ったもので、弾丸で左翼スタンドに突き刺さった。これは昨秋の彼のバッティングには見られなかったものである。

 「自分の間合いで打てるようになってきました。今までは良くなかったですけど、自分のイメージするプレースタイルと近づいてきたかなぁという感じはあります。だいぶ、積極的にやれているんで」。
  とは西浦本人である。
 穏やかな性格が彼のプレーを大人しくさせていたのか、というのが今になって気付いたことだ。
 彼は取材中で何度も「積極的に」という言葉を使い、内面からの成長を感じているようだった。
 
 コーチにも、彼の成長を聞いてみると、こう話してくれた。
 「今までは僕らが指導をすれば、なんでも聞き入れるという感じだったのですが、いまはそういうことはない。自分の中に芯みたいなものができたんでしょうね。積極的になったのも、そうした自信が出てきたんでしょう。西浦は冬場からも振り込んできましたから、その成果がやっとでてきたと思います」

 この日は4度打席に立って3安打1四球。1回戦は3打数2安打、2回戦は5打数4安打と、彼の勢いはとどまる気配はなさそうだ。
 目標とする選手は西武ライオンズ・浅村栄斗選手という。
「守備についても、バッティングについても、攻めるプレーが目についていたので」
 というのが大きな理由だそうだ。浅村に近づくこと、それは昨夏、浅村が果たした全国制覇であることを、本人はもちろん分かっている。


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