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7月28日 大阪府大会 5回戦 
関大北陽 6-4 浪速

レポート 氏原英明

大会を通してみる楽しみとしてあるのが、大会の中に成長していく選手を発見できるところである。
序盤戦は活躍できず、そのことで、印象を薄くしていたのが、戦いを経ていくにつれて、成長に気づいたりする。

指揮官の中には
「練習より、練習試合。練習試合より公式戦。場が大きくなればなるほど選手は成長していくんです」
と話す人もいるくらいだ。

きょうは、以前にも書いた関大北陽の2年生右腕・畑瀬の成長ぶりについて触れたいと思う。

 2回戦の大阪戦で畑瀬を見たとき、個人的には好きな選手という印象を持ったが、そう活躍したわけではなかった。その時のブログで、僕はこう書いている。

「135キロ台中盤ほどのストレートとカーブ、スライダーが特徴の本格派。
 球速はさほどないが、肘がしなっているからスピード以上のキレを感じる。投球フォームも見た目に、バランスがとれていて、見栄えは抜群だ。」(7.22update『関大北陽 「2強」の壁を破るか』)

 その印象は今も変わらない。しかし、その時は、新納監督の方針もあり、登板中に何度も怒鳴られ、輝きを失っていた。
マウンド上でも、ベンチ裏でも自信なさげにしていたのを覚えている。

実はあのあと、こんなことがあった。

試合後の新納監督をつかまえて、挨拶にいった。そして、「畑瀬くんを見にきた」と伝えると、新納監督は、畑瀬を呼びよせて、こういったのだ。

「畑瀬!こうやってな、お前を見に来てくれている人がおるんや。わかるか。だから、もっと自信をもってやれよ!」

 新納監督の期待がうかがえたし、彼の何よりの成長の課題は自信の芽生えだということが、このときのやり取りで見てとれた。

 そして、きょう、5回戦・対浪速戦。畑瀬は先発マウンドに立った。
1回表に2点のアドバンテージをもらった畑瀬は、1回裏を2三振の見事な立ち上がり。3回までを無失点で抑え、試合を作った。
2回裏のピンチで三振を取った際には、マウンド上で吠えていた。2回戦の試合後、あれだけ自信なさげにしていた畑瀬が、である。

3-0の4回裏、浪速の猛反撃を受けてしまう。二塁打と犠打、犠飛で1点を失い、2さらに2連打を食らったところで、新納監督は左腕の山口にスイッチした。
しかし、前回と違ったのはここから。新納監督は2回戦で畑瀬を替えた時、ベンチに下げてしまったが、きょうは左翼に残したのだ。

試合はその後、山口―笛吹とつなぎ、失点を計3点で食い止め、攻撃面では計6得点を奪い、9回を迎えていた。勝利目前までこぎつけていた。

ところが、9回裏、最後の攻撃に浪速ナインの気持ちが一つになる。先頭の1番・井上、2番・松岡と連続安打で出塁、マウンド上の笛吹を攻め立てた。スタンドの応援も重なりあって、関大北陽は受けに立ってしまった。
すると、ここで、新納監督は畑瀬の再登板を指示したのである。若き2年生右腕にこの試合を託したのだ。

「心の準備はできていた」
という畑瀬はこの窮地にも、冷静だった。
3番・近藤を三振に切って取ると、序盤に見せたようにマウンド上でほえた。続く打者を右翼フライ。5番・辻野に右翼前適時打を打たれるも、6番・磯谷四球のあと、7番・西尾の代打納家を遊撃ゴロに打ち取り、試合を締めた。

もうそこに、以前の表情をする畑瀬の姿はなかった。自信を手にした2年生右腕の表情があった。
大会の中で成長を見せている、高校野球観戦はだから、やめられない。今後もさらなる成長を見せてほしいものだ。

 また、前回のブログでは「第2勢力」について書いたが、きょう、南港球場で行われた3試合は第2勢力たちの熾烈な争いが繰り広げられていた。
 先述したように、第1試合では関大北陽が浪速に勝ち、第2試合では履正社が大産大附を破った。第3試合では上宮太子が、完全試合男・田中大輔率いる近大付を圧倒して勝ち、ベスト8へコマを進めた。
 舞洲球場では金光大阪が、4番・陽川の活躍でサイクル男の西田哲朗はいる関大一を破り、NO1野手対決を制した。第2勢力たちはさらに絞られ、次なる舞台へと向かう。

 準々決勝の組み合わせでは、明日、PL学園が5回戦を突破すれば、大阪桐蔭との二強対決が実現することになっている。
 そして、履正社は上宮太子と、関大北陽は金光大阪と対戦。大会もいよいよ大詰め。どこが覇権をとるのだろうか。

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