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現代ビジネスOPEN!! どりこの探偵局



『公安検察』
~私はなぜ、朝鮮総連ビル詐欺事件に関与したのか~

緒方重威著

7月31日緊急発売 講談社 1700円(税別)   


 2009年7月16日。元公安調査庁長官である緒方重威氏に、東京地裁は懲役2年10月、執行猶予5年の有罪判決を言い渡した。天皇の認証官である高検検事長まで務めた検察の最高幹部に有罪が言い渡されるという、司法の歴史において前代未聞の出来事となった――。
 朝鮮総連本部ビルの売却話に乗じて、総連から4億8400万円を騙し取ったとして「詐欺」の罪に問われた緒方氏。しかし、朝鮮総連サイドにカネを騙し取られたという意識のない「被害者なき犯罪」に、エリート検事はいかにして巻き込まれていったのか。
 過激派が暴れ回った学生運動華やかなりし時代、「東アジア反日武装戦線」による連続企業爆破事件の捜査、そしてよりによって天皇をターゲットにした列車爆破計画の存在、そしてオウム真理教に対する破防法に基づく団体規制請求の取り組み……。父子二代にわたって公安部門担当の検事として奉職した緒方氏が、「公安検察」の歴史を振り返りながら、ともに詐欺罪で起訴された不動産ブローカーに甘い蜜を吸わされ、一気に絡め取られる様、そして、朝鮮総連の不動産案件に関与していく様を自身の反省と共に記していく。
 これは数多ある刑事被告人による検察批判本とは一線を画した自省録である。検察組織のエリート中のエリートで、王道を歩んできた緒方氏ゆえの脇の甘さを、自身の記録と記憶によって、現役検事さながら徹底的に明らかにしていく。一審有罪判決を受けた緒方氏が、すべてを思い切って告白している点が最大の見所である。リスクが高いことを承知しておきながら、なぜ緒方氏は朝鮮総連の案件に関わろうとしたのか――。北朝鮮外交が袋小路に入った現状にあって、緒方氏の意図と思いは、彼の国との関係を考える上で新たな視座を与える。

 

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緒方 重威(おがた・しげたけ

1934(昭和9)年、愛知県生まれ。
早稲田大学第一法学部卒。23歳で司法試験に合格し、検事任官。 札幌地検、東京地検などを経て、公安調査庁調査第二部長として在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の捜査を担当する。
最高検察庁公安部長、公安調査庁長官を経て、1995(平成7)年に天皇の認証官である仙台高検検事長に。 広島高検検事長を最後に定年退官し、弁護士となる。
2005(平成17)年、瑞宝重光章を受章。
2007(平成19)年、朝鮮総連本部ビル売却を巡る詐欺事件で東京地検特捜部に詐欺容疑で逮捕、起訴された 




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保阪正康

ノンフィクション100冊選考にあたり
奇妙なアンバランスを抱えたリスト

 私にとって、ベスト・ノンフィクション(厳密に言えば非ノンフィクションもあるのだが)とは、記憶に残る作品という意味だ。一時期、明治・大正の作品を集中的に読んだことがあるが、記憶に残る作品はそれほど多くはなかった。確かに陸羯南(くがかつなん)、中江兆民、矢野龍渓、それに木下尚江、横山源之助などの著作もあげたかったが、私の関心事である昭和史のノンフィクションを中心にリストをつくってみた。
 ここにあげた昭和史関連の著作は、その視点、構成、記述などでなんらかの形で記憶に残っている。たとえば森本忠夫の『特攻』などは、まるで著作自体が墓碑銘の如くである。堀栄三の『大本営参謀の情報戦記』は、大本営にもこういう参謀がいたのかと驚かされる内容だ。和田洋一(私の恩師だが)の『灰色のユーモア』は戦時下に特高警察の取り調べを受けたときのやりとりが何よりも面白い。私の考えでは、ただ一つでもいいから心に止まる何かがあれば、それがベストなのである。逆に言えば、いくつも心に残ったり、無数の教えを受けた著作はベストとはならない。なぜならそれは自分の骨肉の一部となっていて、傍観者然として論じることができないからだ(もっともそういう書は少ない)。
 外国人作家の作品については、青年期に読んで忘れられない作品(『世界をゆるがした十日間』『カタロニア讃歌』など)と、こういうテーマをこのような手法で書きたいとの思いのある作品(『死よ驕るなかれ』『現代史(上・下)』)をあげた。トルーマン・カポーティの『冷血』なども印象に残っているが、あのような手法では書けないと思うので省いた。私はアメリカ文学に関心を持っているが、たとえばスタインベックが採りあげたテーマは日本的ノンフィクションになると考えている。
 こうしてベスト100を並べてみると、私の関心は奇妙なアンバランスを抱えていることに気づく。あえて自己弁護風に言えば、だからジャーナリズムの世界で棲息できるのかもしれない。



保阪正康のノンフィクション100選:ベスト10
※コメントは選者ご本人によるものです

ある昭和史―自分史の試み (中公文庫 M 24-2)
色川大吉
中公文庫/1978年
満州事変から太平洋戦争、〈戦争〉を挟んで自らの人生の歩みと心情を綴っているのだが、この書は自分史、時代回想記の範となる書だ。「この本のどこかに読者がいる。あなたがいる」との姿勢に共鳴を覚える

宇宙からの帰還 (中公文庫)
立花隆
中公文庫/1985年
20世紀を代表するノンフィクション作品。日本からこのような作品が生まれたことを誇りとする。宇宙飛行士たちの宇宙体験は私たちの心底に眠る地球の生命体としての本能に気づかせてくれる

あるおんな共産主義者の回想 (1982年)
福永操
れんが書房新社/1982年
思想に殉じるとはどういうことか。一途に思想に入りこんでいく女性の姿に、戦慄さえ覚えるが、理屈より直観を大切にしての思想運動は20世紀の反体制運動のある一面を代弁しているのではないか

昭和史発掘〈1〉 (文春文庫)
昭和史発掘〈2〉 (文春文庫)
昭和史発掘〈3〉 (文春文庫)
昭和史発掘 (4) [新装版] (文春文庫)
昭和史発掘 (5) [新装版] (文春文庫)
昭和史発掘 <新装版> 6 (文春文庫)
昭和史発掘 (7) [新装版] (文春文庫)
昭和史発掘 <新装版> 8 (文春文庫)
昭和史発掘 <新装版> 9 (文春文庫)
(全9巻)
松本清張
文春文庫/2005年
二・二六事件に関するあらゆる資料を揃え、それをもとにこの事件の本質を浮かびあがらせる。著者は同時代人として、この事件の入り組んだ層を理解したうえで、独自の視点を打ちだしている。基本的文献である(新装版)

旅人―ある物理学者の回想 (角川文庫ソフィア)
湯川秀樹
角川ソフィア文庫/1960年
科学者には感性が大切だということを教えてくれる。精緻な文体で、自らの半生をえがいているのだが、「私は孤独な散歩者だった」という表現が胸を打つ。常に読み返したくなる貴重な書でもある

戦艦大和ノ最期 (講談社文芸文庫)
吉田満
講談社文芸文庫/1994年
日本の象徴ともいうべき戦艦「大和」は、昭和20年4月の沖縄特攻に出撃するが、その途次、アメリカ軍の猛攻撃を受けて沈没する。乗り合わせていた学徒兵が見た極限の人間模様とは何だったのか。重い告発だ

灰色のユーモア―私の昭和史ノォト (1974年)
和田洋一
理論社/1974年
著者は、戦時下に治安維持法違反で逮捕された京都の大学教員。特高刑事の取り調べに困惑しながら答える著者の言は、まさにブラックユーモアである。治安維持法の不気味さがよくでている

カタロニア讃歌 (ちくま学芸文庫)
ジョージ・オーウェル/橋口稔訳
ちくま学芸文庫/2002年
スペイン戦争に共和国政府側の義勇兵として参加したジャーナリストのドキュメントだが、その政府側にもさまざまな考えや対立があり、結果的に反政府のフランス軍に敗れる。その内部抗争も明かしている

現代史〈上〉
現代史〈下〉(上下)
ポール・ジョンソン/別宮貞徳訳
共同通信社/1992年
イギリスの歴史家であり、ジャーナリストでもある著者は、客観的、実証的に20世紀の全体図をえがいている。アインシュタインやフロイトから始まる20世紀の意味がよく説明されていてわかりやすい

世界をゆるがした十日間〈上〉 (岩波文庫)
世界をゆるがした十日間〈下〉 (岩波文庫)(上下)
ジョン・リード/原光雄訳
岩波文庫/1957年
ロシア革命を実際に目撃したアメリカ人ジャーナリストの歴史的ノンフィクション。レーニンを中心とする革命勢力がどのように権力をにぎっていくか、世界で初めての共産革命の内実がわかる


「和書その1」に続く
保阪正康

○ノンフィクション作家
Profile
ほさか まさやす
1939年生まれ。同志社大学卒。「昭和史を語り継ぐ会」主宰。2004年、一連の昭和史研究によって、菊池寛賞受賞。昭和史研究と並行して、医療問題の取材にも取り組んでいる。『大学医学部の危機』(講談社文庫)、『あの戦争は何だったのか 大人のための歴史教科書』(新潮新書)、『〈敗戦〉と日本人』(ちくま文庫)、『昭和陸軍の研究(上・下)』(朝日文庫)など著書多数

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7月20日 神奈川県大会 3回戦 (大和引地台球場)
平塚学園 6-1 逗子
 
レポート 小関順二

 神奈川大会の名簿には毎年、地区別に分かれて学校が紹介されている。主な甲子園出場経験校とともに、その地区を紹介していこう(*印は甲子園大会優勝経験校)。

◇川崎地区
 *法政二、桐光学園

◇横浜地区
 *横浜、*桐蔭学園、慶応、武相、横浜商大高、横浜商

◇湘南地区
 *湘南、日大藤沢、藤嶺藤沢

◇北相地区
 *東海大相模

◇西湘地区
 平塚学園

 これ以外にも横須賀地区(逗子、三浦市を含む)があるが、甲子園出場の経験がないのであえて紹介しなかった。

 5年前、この横須賀にある湘南学院という学校にMAX147キロを記録する本格派、三田智仁が出現し、彼を雑誌「アマチュア野球」(日刊スポーツ出版)に紹介したとき、こんなことを書いた。

「過去50年間、横須賀地区の高校が夏の神奈川県大会でベスト4に進出したのは、86年の津久井浜高だけ。ベスト4どころかベスト8でさえほとんど記憶にない。1勝すればよくやった、2勝したら大騒ぎ。野球王国・神奈川にあって、それくらい脇においやられた地域が横須賀である」

 しかし、今は湘南学院が他の15校を引っ張ってくれたおかげで、昨年の南神奈川大会では横須賀総合、横須賀、横須賀工が4回戦に進出し、横須賀総合はベスト8まで勝ち進んでいる。
 1県1校選出の'07年も紹介すると、4回戦に三浦学苑、追浜、久里浜の3校が進出している。横須賀出身の僕の常識では、こんなことはあり得ない。
 しかし、確かに横須賀の学校は近年、頑張っていて、その充実ぶりはこの日見た平塚学園対逗子戦を見ても感じることができた。

 6回が終わった時点で平塚学園が2対0でリードしていたが、勢いはむしろ逗子のほうにあった。5回と6回の守りではこんなシーンもあった。

 1死一塁で茂垣翔也は投手前にバントをするが、これを逗子の高橋和弘(投手)がダッシュして捕ると、躊躇なく二塁に投げて一塁走者を封殺。さらに一塁に残った茂垣を高橋がけん制で殺し、結局打者3人でこの回を乗り切ってしまった。

 6回には1死三塁で、打者は3番の青木建斗というピンチ。
 青木は高々とライト定位置の辺りにフライを打ち上げ1点は仕方ないと誰もが思った瞬間、2年生の井上健五はレーザービームとはいかないが、正確にホーム返球して間一髪のタイミングで補殺を記録。
 '98年の西神奈川代表、平塚学園を窮地に追い込んだ。

 昔の横須賀・逗子・三浦地区を知る人間にはこういうプレーの1つ1つが信じられない。相手が何にもしないのに勝手に崩れて、いつの間にかコールド負けしているというのが昔の横須賀・逗子・三浦地区の野球だった。
 時代は確実に流れている。
 ひょっとしたら数年後、横須賀・逗子・三浦地区から甲子園出場校が出ているかもしれない。
 今日の逗子戦はそう思えるくらいインパクトがあった。

 さて、この試合で目立ったのは平塚学園の国本将希(二塁手・右投左打)だ。
 ヘッドがトップで投手のほうを向くが、それ以外の悪癖はほとんど見当たらない。さすが1年夏の大会で4番を打った経験の持ち主だ。 
 1、2球のうちに打って出る積極打法が持ち味で、1回は捕手寄りでボールを捉えて左中間にタイムリー二塁打、8回は初球ストレートを引っ張って一塁ベース右を難しいバウンドで抜くタイムリー二塁打と、チームに貴重な得点をもたらしている。
 7回には先頭打者で中前打を放っているが、これが半端な当たりではなく、“火の出るような当たり”と形容しても大げさではない打球だった。
 他の選手とは違う次元にいる選手だと思った。

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『検証甲子園2009』のすべての記事は、『現代プレミアブログ』の姉妹サイト『検証甲子園2009by講談社』http://www.plus-blog.sportsnavi.com/koshien2009/で読むことができます。



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