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医療大麻は本当に効くのか? 

2019年06月23日 | 一般情報・疫学・レビューなど

一般のニュースで医療大麻をまとめて説明した記事があったので紹介します。

記事では2014年のコクランレビューを引用しててんかんに対する効果に信頼できる結論はないとの評価を紹介していますが、私自身も数年前まで同様に考えていました。

ここ数年、査読の厳しい医学誌にも、カンナジビオールの有効性を報告した論文が掲載され、米国FDAが承認したことで、ドラベ症候群等の発作コントロールが困難な難病等には、副作用もあるものの、スチリペントールのような他のキードラッグと同等程度には有効性がある薬剤と認識するようになりました。

下記、記事の概要になります。詳細は記事原文を参照して下さい。

医療大麻は本当に効くのか? 緩和ケア医が解説。

 

医療大麻が話題

医療大麻の研究は進んでいる

大麻の中には様々な成分が含まれる。

テトラヒドロカンナビノール(THC)やカンナビジオール (CBD)等で、最近はそれらの成分ごとに研究されている。

2019年6月現在、アメリカ食品医薬品局(FDA)は、大麻由来の医薬品1種類と大麻関連の医薬品3種類を承認している

同国では、小児期に発症する難治性のてんかんであるレノックス・ガストー症候群や乳幼児期に発症する同じく難治性てんかんのドラベ症候群に、CBDが成分のEpidiolex (エピディオレックス)が承認されている。

他に、THCの合成薬であるドロナビノールを含むMarinolとSyndros、同じくTHCの合成薬であるナビロンを含むCesametがHIV/AIDS患者の食欲不振等の治療や、がん化学療法による吐き気や嘔吐の治療、神経の痛み(神経障害性疼痛)の治療等に用いられている。

そのうちCBDは、レノックス・ガストー症候群やドラベ症候群で、科学的根拠の高い結果を出しています<Effect of Cannabidiol on Drop Seizures in the Lennox-Gastaut Syndrome.><Trial of Cannabidiol for Drug-Resistant Seizures in the Dravet Syndrome.>。それもあって承認されています。

また、アメリカやカナダでは、人間の身体のオピオイド受容体という部分に作用して薬効を示すオピオイド薬の乱用が大変な問題になっている<'They're quicker than we are': Inside the fight against the opioid crisis>。【注;日本でのオピオイド薬の状況とは全く違うため、日本に当てはめないことも重要なので、念のために付記しておきます】

CBDはオピオイド薬の依存に奏効する可能性があり<参考;Early Phase in the Development of Cannabidiol as a Treatment for Addiction: Opioid Relapse Takes Initial Center Stage>、研究の必要性が言われている。依存症の治療に使用することが考えられているよう。どうやら、大麻等が作用するカンナビノイド受容体は、オピオイド薬が作用するμ(ミュー)受容体やκ(カッパ)受容体とも関係しているよう。

このように、少しずつ様々な事実が明らかになり、実際に効果を示すことが検証されている薬剤が出て来ているのが、医療大麻関連の分野。正確には、大麻由来の成分に、そのような物質があるということがわかって来た、と言える。

しかしまだまだ研究途上 大麻関連薬の評価の確立はこれから

だったらどんどん医療用として解禁すれば良いか、というとまだまだ検証はそこまで進んでいません。

さらに、先ほどのEpidiolexにおいても、嗜好で薬剤を用いている群(依存発生のハイリスク群)における研究でも、治療量ならば依存のリスクは低かったと報告されている<Abuse potential assessment of cannabidiol (CBD) in recreational polydrug users: A randomized, double-blind, controlled trial.>。

ただ、日本の日常診療の場において依存性もある鎮痛薬が、厳密で慎重な医学的評価が不足しているにもかかわらず処方されているケースもある。また以前の向精神薬リタリンのように不適切な処方がされるケースもあるため、不正に入手しようとすることを予防する策は重要となる。

 

現段階の医療大麻でわかっていることのまとめ

これまで見て来たように、大麻そのものもともかく、大麻の成分から作った薬剤は有望なものが出て来ている。

したがって、大麻由来の医療薬は、科学的な検証を経た上で、効果が証明されたものは今後日本に登場してくる可能性がある。

神経疾患を皮切りに、今後の展開は期待される。

研究が進み、有望な薬剤が上市され、管理のもとに正しく使用されて中毒や依存にもならず、病気で悩んでいる方たちがその苦痛から解放されることを願ってやまない。

 

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