goo blog サービス終了のお知らせ 

胃生検の小部屋 Cottage for Gastric Biopsy

胃生検からはじまる消化管病理の美しい世界

特殊型胃癌(2) リンパ球浸潤癌

2010-10-10 | 胃癌全般
先ほどの症例の粘膜内病変部です。EBER-1 ISHですが、陰性領域があります。意味深です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

特殊型胃癌(1) リンパ球浸潤癌

2010-10-10 | 胃癌全般
 胃癌取扱い規約では高頻度に出現する腺癌を一般型とし、その他を特殊型としてきました。1999年発刊の第13版では腺扁平上皮癌、扁平上皮癌、カルチノイド腫瘍とその他の癌が記載され、その他の癌として小細胞癌、未分化癌、絨毛癌とα-fetoprotein産生胃癌があげられていました。第14版では、特殊型はカルチノイド腫瘍、内分泌細胞癌、リンパ球浸潤癌、肝様腺癌、腺扁平上皮癌、扁平上皮癌、未分化癌となっています。その他の癌としては絨毛癌、癌肉腫、浸潤性微小乳頭癌、胎児消化管上皮類似癌と卵黄嚢腫瘍類似癌をあげられています。発生頻度や用語などを再考し、Epstein-Barrウイルスと関連するリンパ球浸潤癌を低分化腺癌充実型から特殊型のひとつとして独立させた結果であると思われます。また取扱い規約では「一般型の胃癌の一部に特殊型の組織像がみられるものは、その旨を診断に付記する」ことになっています。内分泌細胞癌、肝様腺癌を含むα-fetoprotein産生胃癌、扁平上皮癌や浸潤性微小乳頭癌では分化型癌成分がみられることが一般的であり、分化型癌がそれらの前駆病変と考えられています。
 某誌の来月号は特殊型胃癌の特集号です。

【写真】リンパ球浸潤癌の1例
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

聖母病院(ソウル)、低異型度癌、超高分化腺癌

2010-06-27 | 胃癌全般
 The Catholic Univ. of Korea Seoul, St. Mary's Hospitalに行ってきました。「mild dysplasiaという生検病理診断で切除してみると20%弱の頻度で浸潤癌がある。どうしたことか?」という質問を複数の東西の臨床医から受けました。海外でも英米でいうところのsevere dysplasiaが十中八九adenocarcinomaであることは皆さんよく承知されています。しかし所謂mild dysplasiaが浸潤癌であったら困ります。
 さて、写真は胃型(腺窩上皮型)低異型度癌(超高分化腺癌)です。生検診断と内視鏡診断で手術となりました。英米だったらmild dysplasia(米国のあるグループならfoveolar adenoma?)と診断するかもしれません。細胞異型は乏しく、表層や深部への分化傾向もみられます。なんと右写真(VB-HE)のように粘膜下層に浸潤し静脈侵襲を示していました。
 早期胃癌症例が圧倒的に多い日本と韓国が共同してこのような症例を呈示していかなければなりません。頑張ります。
 但し、腺窩上皮過形成や幼若再生上皮を低異型度癌と過剰診断しないよう注意したいです。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Group分類、胃癌取扱い規約 (2)

2010-03-26 | 胃癌全般
ある病院の院内メールで通知された内容です。

関係各位

 この度、胃癌取扱い規約が改訂され第14版が発刊されました。これは、食道癌と大腸癌の取扱い規約と最新のTNM分類との整合性が図られています。当院病理でもできるだけ規約に準じて消化管腫瘍診断を行ってまいります。
 なお、胃生検診断に関して、新しいグループ分類を平成22年4月1日の検体受付分から記載いたします。「診断」そのものにはこれまでと何ら変更はありませんが、「所見」欄に原則としてGroup分類を併記する形をとりたいと思います。このGroup分類はこれまで当院で記載してきましたVienna分類の概念を取り入れたものでありますので、同時にVienna分類の記載をやめることにします。

          記
Group X :生検組織診断が出来ない不適材料
Group 1 :正常組織および非腫瘍性病変
Group 2 :腫瘍性(腺腫または癌)か非腫瘍性か判断の困難な病変
Group 3 :腺腫
Group 4 :腫瘍と判定される病変のうち,癌が疑われる病変
Group 5 :癌
(詳細は胃癌取扱い規約第14版をご参照下さい。特にGroup 2についてはご注意下さい。くれぐれも数字が一人歩きしないように留意していただきたいと思います)

病理検査室GIチーム

【写真は残雪の皇居前広場からみた丸の内ビル街】
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Group 2

2010-02-18 | 胃癌全般
 今後、「Indefinite for neoplasia, Group 2」と判定するであろう胃生検です。Deeper sectionsも作製しましたが、よくわかりませんでした。腸上皮化生の間に違和感のある変性腺管があり、壊死物質を貯めています。これだけでpositiveとする勇気は私にはありません。内視鏡的にもぱっとしません。(私の施設でも来年度からGroup分類採用の予定です)
 以下、Group 2の説明です。

Group 2:腫瘍性(腺腫または癌)か非腫瘍性か判断の困難な病変
 このGroupには次のような症例が含まれる。このGroupに含まれる診断をする場合は、臨床医に対しては判断の困難な理由を明らかにし、付記することが望ましい。
(1) 異型細胞は存在するが、組織量が少なく細胞異型からでは腫瘍性病変としての判断が困難な病変(臨床的な再検査を行い確定診断が必要)。
(2) 異型細胞が存在するが、びらんや炎症性変化が強く腫瘍か非腫瘍かの判断が困難な病変(臨床的に消炎後再生検を行なうか十分な経過観察が望まれる)。
(3) 異型細胞が存在するが、病理組織の挫滅や傷害が強く腫瘍か非腫瘍かの判断が困難な病変(臨床的な再検査を行い確定診断が必要)。
また、このGroupの診断をつける場合、病理側としては、まずは深切り切片の作製、細胞増殖能やp53蛋白免疫染色などの追加検討を行なう。さらに同一症例の再生検にて本Group診断が続く場合には、専門家への病理コンサルテーションを行うことをすすめる。
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

壁深達度、TNM分類第7版、胃癌取扱い規約第14版、新旧比較

2010-01-19 | 胃癌全般
 TNM分類が色々と改訂されました。胃癌取扱い規約第14版にも反映されるようです。病理医としては今まで通り壁深達度を判定しますが、T分類も記載(入力)する場合には注意が必要です。以下、新旧比較させてみました。実際的には出版されたものを参照して下さい。

胃壁深達度【胃癌取扱い規約第13版, 1999年】
T1:MまたはSM
T2:MPまたはSS
T3:SE
T4:SI
TX:不明

壁深達度【胃癌取扱い規約第14版(予定)、TNM分類第7版, 2010年】
TX:不明
T0:癌がない
T1
  T1a:M
  T1b:SM
T2: MP
T3: SS
T4
  T4a: SE
  T4b: SI

*T1bは、その浸潤の深さにより2分類する。粘膜下組織への浸潤が粘膜筋板下端から0.5mm未満のものをT1b1、それ以深をT1b2とする。
**他臓器とは、肝、膵、横行結腸、脾、横隔膜、腹壁、副腎、腎、後腹膜腔を指す。漿膜浸潤が大網・小網に波及する場合はT4bとはしない。横行結腸間膜への浸潤は、間膜内の血管または間膜後面まで波及する場合にT4bにする。

【写真:のぞみ193号は2月10日まで限定的に500系運用になっています】
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Group分類、胃癌取扱い規約

2010-01-03 | 胃癌全般
 本年も胃生検の小部屋をご贔屓に、どうぞよろしくお願いいたします。近々、胃癌取扱い規約改定第14版が発刊されると思います。病理でもっとも着目されるであろう、新Group分類について触れてみたいと思います。2009-3-9にも同様の投稿をしています。実際的には今後発刊されるものをご覧下さい。
(新WHO分類も今年中に出るという噂です)

原則
 胃の内視鏡的生検材料を対象とし、ポリペクトミー材料、内視鏡的粘膜切除材料、内視鏡的粘膜下層剥離材料や外科切除材料は除外する。
 Group分類は上皮性のもののみに用い、非上皮性のものには用いない。
 このGroup分類は病変の診断(疾患)区分を明確にすることを目的とするものであるため、生検診断の際には診断名を記載し、それに各Group分類を併記することを原則とする。

新分類と臨床的対応
Group X:生検組織診断が出来ない不適材料
 上皮成分が採取されていない標本。採取されていても挫滅や熱凝固で組織診断ができない組織検体。
Group 1:正常組織および非腫瘍性病変
 正常組織、化生性粘膜、炎症性粘膜、過形成粘膜などが含まれる。びらんおよび潰瘍、過形成性ポリープなどに再生性・反応性異型が認められても、非腫瘍性と判断される組織は本群に含まれる。
Group 2:腫瘍性(腺腫または癌)か非腫瘍性か判断の困難な病変
 このGroupには次のような症例が含まれる。このGroupに含まれる診断をする場合は、臨床医に対しては判断の困難な理由を明らかにし、付記することが望ましい。
(1) 異型細胞は存在するが、組織量が少なく細胞異型からでは腫瘍性病変としての判断が困難な病変(臨床的な再検査を行い確定診断が必要)。
(2) 異型細胞が存在するが、びらんや炎症性変化が強く腫瘍か非腫瘍かの判断が困難な病変(臨床的に消炎後再生検を行なうか十分な経過観察が望まれる)。
(3) 異型細胞が存在するが、病理組織の挫滅や傷害が強く腫瘍か非腫瘍かの判断が困難な病変(臨床的な再検査を行い確定診断が必要)。
また、このGroupの診断をつける場合、病理側としては、まずは深切り切片の作製、細胞増殖能やp53蛋白免疫染色などの追加検討を行なう。さらに同一症例の再生検にて本Group診断が続く場合には、専門家への病理コンサルテーションを行うことをすすめる。
Group 3:腺腫
 腺腫と判断されるもの。この群の中には細胞異型および構造異型の点で幅のある病変が含まれるが、良性腫瘍と判断されるもの。
Group 4:腫瘍と判定された病変のうち、癌が疑われる病変
 腫瘍性病変と考えられるが腺腫か癌か鑑別ができない病変。
Group 5:癌
 癌の組織型を付記する。2種類以上の組織型が存在する場合、その組織型を優勢像から列記することが望まれる。

【写真は外科・病理 胃癌取扱い規約改定第9版が出た頃の石北本線常紋信号所です。クッシー少年作です。】
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする