ガエル記

本・映画備忘録と「思うこと」の記録

とはいえ、好きなキャラってなに?

2018-12-02 07:20:04 | 思うこと
2018年書籍ベストセラーランキングベスト10に小説が1冊も入っていませんでしたね。私自身が小説をまったく読んでいないので何も言えません。

キャラクターの造形、という点で言えば1位2位のマンガ作品もいわゆる創作マンガ、ではないので創作されたキャラクターは今年の書籍ベストセラーには皆無だったということですね。

若い頃は何よりも小説が好きでした。フィクションの登場人物に憧れていました。今読むのは歴史文献だとか科学ものとか評論だとかノンフィクションばかりです。キャラクターといえるのは歴史ものの実在していた人物に代わってしまったということですね。

キャラクターがうんぬん、とかいう文章をここのところ書き続けていたのに現実ではあまり好きになっていないということです。だからこそ書きたくなったのもありますが。

ちょっと前にNHK「チコちゃん」で「年を取ると脳のブレーキがかからずすぐ泣いてしまう」というのがありましたが、あれはやや疑問です。確かにある面ではすぐ泣くのですが、若い頃のようには感受性が働きません。泣くにしろ誰かを好きになるにしろ経験値が邪魔をして創作ものを読んでも「これはあれの真似だ」とか「やりすぎでしらける」とか「あの時のアレのほうがよかった」とか余計な邪魔が入って感動しにくいのです。若い頃は素直に泣けたのに、年をとるといちいち勘繰ります。

同じように、若い頃に好きになったもののようには年を取ってからは好きになれないのですね。なので好きな人はいつまで経っても昔好きになった人のまま、ということは多くの人にあると思われます。
もちろんこれも絶対ではないし、年を取ってから好きになるとそれこそ歯止めがきかないほど好きになってしまうのかもしれません。しかし個人差があるとしか言えません。

私にとってはアニメ「カムイ」がその人ですが、彼以上にかっこいいキャラクターが今後登場するとは思えません。美しくて賢くて強くて孤独。最高のキャラクターなのです。犬とか鷹とか熊とかしか愛し合えないのが悲しいですが。そこもステキなのです。

次に好きなのが百鬼丸です。近々リメイクされるようですが、見るのが怖いです。美術的には良さそうですが、肝心の百鬼丸はどう見ても昔のイメージとは異なって倒れそうです。なんか、線が細くてこれは違う、とびびってます。絶対がっかりしてしまいそうです。手塚治虫さんのキャラクターはとても男性的なところが魅力なのですがなぜか他人がアニメ化すると女性的になってしまって謎です。ブラックジャックもブッダもアトムもなぜかみんななよなよしてしまう奇妙さをどうにかしてほしい。
リメイクは元々と変えようとする意識が働くのでキャラに繊細さを出してしまうことが多くなり、それが間違っている気がします。

現在でもオリジナル作品だとそういうなよなよさはあまりないのでリメイクされる作品の特徴ともいえます。作品の魅力は繊細さではなく、単純な力強さにあると思います。

「少女革命ウテナ」見続けていますが、見るほど面白く感心しています。ウテナは年を取ってから好きになったキャラの一人ですね。
これも原案のマンガがあってのアニメですが原案とされるほど中身が変わったことが魅力なのだと思います。少女とはなにか?を表現するのにこのキャラクターを選択したのは素晴らしい視点でした。

今連載中のマンガでは「ゴールデンカムイ」が最高に面白く、人気も高いのですがこの人気の高さも「いかにも人気の出そうなキャラ設定」から飛び出したところにあるのではないかと思っています。
今でも未来でもなく明治時代末というこれまでにあまり舞台設定になかった時代をとりあげ、いままでタブーとされていたアイヌを大胆に描き、アイヌ少女を今までになく明るく強いヒロインにしたこと、主人公・杉元が彼女に対し守るという立ち位置じゃなく逆に教えられ尊敬語で話していること、そういうところに魅力があります。
「進撃の巨人」にしてもそれまでにない価値観が多く演出されているのを感じますし、よくいう「こういうものが人気が出るよ」といった考え方は通用しないのだと思えます。
小さな人気くらいは集まるかもですが。

タイトルにした「好きなキャラってなに?」をどうまとめるか、ですが(笑)

好きなキャラ、というのはその時自分が求めている「こうあって欲しい」でもその「こうあって」というのがなにかを表現できないでいる、時に心に響く言葉を言い、行動してくれる、そんなキャラを好きになってしまう、のだと思います。

それは時代に合ったものであるほど多くの人の共感を呼びます。
それがなんなのか、というのは凄く難しいですね。

ベストセラー2位の「大家さんと僕」はそれこそ時代に合った作品だったのですね。
年をとってもこのようにありたいと思える可愛らしい大家さんと今どきの結婚しない男のほのぼのエッセイマンガ。
創作キャラではなく実在だからこその魅力でもあるのでしょうけど現代人の願望が現れています。



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