1年間待ちました。今では数少ない定期購読本です。
以下ネタバレです。ご注意を。
非常に困難な一巻でした。
超絶な能力を持ったアイドルとして皆に認知され神のお告げを果たしたジャンヌ・ダルクの苦悩を細かく描かれていくのを追うのは難業ですらありましたが、執筆する山岸氏の労苦ははかり知れません。
以前はジャンヌ・ダルクという女性に対しあまり興味が持てなかったのです。神の声を聞いた少女が男の世界である戦闘の指揮を執り勝利を収めた後、敵軍に捕らえられ裁判にかけられ魔女とされて火あぶりの刑になる。魔女とされたのは男装をしていたからとか、捕らえられて強姦されたとか、それがまだ子供と言ってもよい10代の少女であることも含めなんとも惨たらしい。
男装をしていたから火あぶりになったというのなら、ジャンヌが男性であったら、若き英雄として畏敬の念を持たれたものを女性であったから許されない、というのではあまりにも悔しい。
今でも立場を越えた活躍をする女性をジャンヌ・ダルクに例えることがあるけど、その結末が男性と同等の栄光であることはやはり難しいように思える。特にジャンヌと同じような少女期に活躍する女性は。
美貌に恵まれている場合はさらに困難であると思う。
女性の苦しみを描き続けてきた山岸凉子。彼女の思う女性の苦しみの多くは男性の視線からくるものであるように思える。私自身は彼女ほどそこに固執しなくてもいいのではないかと考えるのだけど、「男性は若く美しい女性を求めている」ということに過剰に反応してしまう山岸マンガの苦悩にやはり共感しているのだろう。
ジャンヌ・ダルクはまさにそういった男性の願望であり同時に「女ごときが」という嫉みの対象でもある。ジャンヌの運命がどうなっていくのか、結末の事実はすでに判っていることだけど、山岸マンガがどう描いていくのか、やはりもう5巻の発売が待ち遠しい。
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