春に会いに

目覚ましをセットしないで寝てしまった。
当然酔っぱらって、特に飲み過ぎて。
梅にブラックニッカを入れた梅ウイスキーの虜になって。
お客さんに出すのはもったいないからやめることにする。
明るくて気が付いたのは、除雪隊が来る30分前だった。
でも朝日だけは撮った。
凍み渡りのおじさんがこちらを見ていた。
林も幾分膨らみだした。
芽が大きくなってきたのだろう。
雪のしわが朝日で浮かび上がり、土の匂いと霜の匂いが混ざって胸に入る。
思い出したぞ、子供の頃の凍み渡りの朝の風景。



市場の帰りにちょっとだけ立ち止まった。
川面が光って小川が現れて、雪の膨らみは初恋の彼女の胸。






城山の霧。
体重と日差しのせいでぬかってしまい人の足跡を歩いた。
崖で遮断された林を見つけた。
あまり人が訪れないところに行ってみよう。


マンサクと猫柳が揺れているところにフキノトウを採りに行った。
焼き芋の丸い小石を拾ってあおさの味見、久しぶりの汐のしょっぱさ。
もう少し待てば日が海に沈む。
でも見ていられないわけがあった。
浦佐の裸押し合いに行かなければいけない。


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