風色明媚

     ふうしょくめいび : 「二木一郎 日本画 ウェブサイトギャラリー」付属ブログ

大の苦手「シール」書き

2007年11月16日 | 仕事場
昔、日本画を軸装に仕立てることが主流だった頃。
画題は桐箱の蓋の表に、落款は蓋の裏に書いていました。

で、額装が主流となった現在はどうしているかというと
額の裏側に画題・落款を書いた「シール」というものを添付することが慣習になっています。
慣習であって義務ではないですから添付していない場合もあります。
シールは通常、画家本人が書きます。




額縁の裏側に、こんな具合に貼ってあります。
これはシールを直接糊付けしているのではなく
透明フィルムを上に被せ、フィルムだけを裏面に接着しているのです。
ですからシールは透明フィルムの窓に入っているだけです。

シール用の紙は画材店で入手できますが、どのようなものでも構いません。
普通は鳥の子紙のような厚手の紙で、枠や罫線が印刷してあります。


私は「シール」を書くのが大の苦手なのです。
1枚書くのに実働時間一分ほどで済むのですが、絵を描く時の百倍は緊張します。
今日も、最近仕上がった9点のシール書きをしました。
墨で文字を書く間、息詰まるような時間が流れます。
1枚でも相当のプレッシャーがかかりますから、これだけ書くとダイエットにいいかもしれません。
字が下手なのは構わないのですが、書き間違えたり、あまりにも形が醜かったりすると書き直します。
今日は幸いにも書き直さずに済みました。




私のシール用紙は既製品ではなくて自分で選んだものです。
表具材料専門店で襖の上張り用の紙を買ってきて自分で作ります。
地模様が漉かれていたり、截金(きりがね:金属箔を細く裁断したもの)が少し散らしてあるものもあります。
普段あまり人目に触れないですし、あってもなくてもいいものなのですが
少しはオリジナルの味を…と、つい考えてしまいます。

私は絵に押す印章には印肉を使わず絵具を使いますが
シールの落款に押す場合は、オーソドックスに印肉を使います。
印章は自分で彫ったものを使っています。
それについてはまた改めてお話しようと思っています。

-------------- Ichiro Futatsugi.■



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