風色明媚

     ふうしょくめいび : 「二木一郎 日本画 ウェブサイトギャラリー」付属ブログ

2013年 8月3日 土曜日

2013年08月03日 | 仕事場
■シエナのドゥオーモの夜景(20号)

シエナの街にはかつて何度となく足を運んでいますが、当時はこの正面壁を描こうとは夢にも思わず
スケッチも詳細な写真もなく、参考資料を求めてあちこち探しまわりましたが…見つけられませんでした。

聖母像の細部が分からない!

シエナはイタリアを代表する観光地の一つですし、ドゥオーモはイタリアン・ゴシックを代表する建築の一つです。
ですから、正面壁全体を撮った画像はネットなどにたくさんあるのですが
いずれも聖母像は小さく写っていて拡大に耐えられず、しかも白い大理石が災いして日光で白く飛んでしまったものばかり。
もちろん私は正面壁の説明図を描いているわけではありませんし、聖母像は20号の中では10cm程度の大きさですので
どうしても分からない場合は他の彫刻を参考にして自分で作ってしまうしかないな…と考えていました。

その矢先、いつもコメントをくださるBBさんより正面壁の写真を送りましたとコメントが!
ひゃあ!ありがとうございます!

欲しかったものが、向こうから、絶妙のタイミングでやってくることがあります。
もちろん、欲しいものを引き寄せるためには、こちらも描いているものに対して執念とも言えるほどの強い思い入れがなければ何もやってきません。

絵の神様 「ほぉ~、強い思い入れがあるのだな?」
私 「はいっ!」
絵の神様 「それなら、最近シエナに行って見て来たのだな?」
私 「ギクッ! 昔、何度も行っていますが…」
絵の神様 「昔だと? 最近は行ってないのか!? この横着者がぁ!」
私 「ひぇぇ~! すみませ~ん!」
絵の神様 「お前の生徒達にバラしてやろうか? 日頃偉そうなことを言っているお前のグータラな本性を!」
私 「あわわ、それだけはご勘弁を! どうかご内密に!」





BBさんよりいただいた写真を参考に、消えかかった細部を一通り描き起こした状態です。
空間や雰囲気などは意識せず、とりあえず形を描き起こしただけです。

まずは色鉛筆で下描き程度に描いてから絵の具をかけていくのは、いつもの通りです。
全体に暗い青系で仕上げる予定ですので、インディゴやブラックの色鉛筆で形を起こし
その上に、コバルトブルー・アイボリーブラック・代赭などを混ぜた微粒子の絵の具で描いています。





細部の描き起こしが一段落し、全体に岩絵の具を一色かけた状態です。
色は藍群青(11番)のみです。
幅10cmくらいの刷毛で、塗ってはぼかし、塗ってはぼかしを繰り返して、少しずつ重ねて行きます。
月だけは、白亜(石灰岩が風化した土)で下塗りした後、方解末(11番+13番)に少量の藍群青を混ぜたものをかけています。

私がイメージしている画面の基本はできてきたように思います。
が、トロっとしたような、ホワッとしたような、月の光を浴びた聖堂の雰囲気はまだ不足しています。
ここまでは、シエナのドゥオーモの夜景であることを説明することが主体でした。
ここからは、私の心の内にある聖堂の姿を描き出していかなければなりません。


今回は、予定外にシエナに時間を費やしてしまいましたので
バラとタンポポの小品は、また次回に。

-------------- Ichiro Futatsugi.■


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4 コメント

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Unknown (BB)
2013-08-04 09:06:43
『あっれ~~。確か 我が家の撮った写真に
シエナの聖母像があったかもぉ~?』
っと気軽にお送りしました写真が
二木様に喜ばれたこと、(たとえ,絵の神様に怒られようが…。)

いつも,お役に立てたらと
余計なお世話に突っ走って 
あげくの果てに 不発に終わる事が多いBBですが、
今回は、BBの人生始まって以来のびっくりと 
お役に立てた嬉しさと、
これを記事にしてくださった恥ずかしさで 
穴があったら~~です。
よって、ありがとうございました。
のコメントで
今日は逃げ帰りますぅ~。
返信する
Unknown (二木一郎)
2013-08-04 21:21:25
BBさん、こんばんは!
お世話になりました! ありがとうございました!

実際にドゥオーモを見上げても、聖母像は小さくて細部ははっきり見えないだろうと思います。
聖母像をどのように描くにせよ、一応実物の様子を知っておくことは大切ですので、写真を送っていただいて、本当に助かりました。

絵の神様には「自分の目で見てこい!」と怒られてしまいましたが、シエナは遠いですからねぇ…。
口うるさい小姑みたいな神様で、ほとほと閉口しています。
返信する
Unknown (shinkai)
2013-08-05 15:15:36
こんにちは!

傍から様子を伺っていても、BBさんから写真を送って頂けたのは良かったですねぇ!
描くのに、張りきって気合が入ったのが良く分かりますし、想像できます。
納得して描く、分かっていて省く、という事の大事さはまさに描く者にとっては大事ですものね。

月夜の雰囲気が、ぼわんと月の光が広がる様が想像できそうで、予感出来ます!
こんな月夜を背景の聖母像、とても楽しみです。


「口うるさい小姑みたいな・・」  まぁさか、誰かを頭に置いてはおられないでしょうねぇ!


返信する
Unknown (二木一郎)
2013-08-05 22:29:37
shinkaiさん、こんばんは!

「口うるさい小姑みたいな…」が、誰かさんのことかも…ですって? ぎゃはは!
誰かさんというのが誰を指すのか私には分かりませんが
shinkaiさんが想像なさっている誰かさんのことではありませんので、どうぞご心配なく! がはは!

我が師匠より遥かに厳しい絵の神様がいて、私の描くものを逐一監視しているのです。
この神様は少し性悪で、いつも無理難題を吹っかけてきては
私が四苦八苦しているのを見て笑っているのです。
くそぉ~!負けるもんかぁ! いつか見返してやるぅ!

絵を描く人には、それぞれ一人ずつ絵の神様がついている…ような気がしているのです。
毎日、神様と大喧嘩しながら絵を描いているのです。

大丈夫ですよ! 猛暑で頭がおかしくなったわけではありませんので。 
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