THE BOOKハンター!

~〈本の虫〉の痛快読書日誌~

「映画の中で出逢う『駅』」(臼井幸彦/集英社新書)

2006年05月30日 | Weblog
 映画を発明したルイ・リュミエールが作品「列車の到着」の中でフランスのラ・シオタ駅を使用して以来、今日まで世界中の駅は映画の舞台装置として重要な役割を果たしてきた。「カサブランカ」では失意の旅立ちの場、「ハリー・ポッターと賢者の石」では新たな人生のスタート地点として……。(本書カバーより)  

 「映画の中の本屋と図書館」という本を先日読みましたが、それに類似した本が今月刊行されました。今度は、映画の中の「駅」について書いた本です。
 本書は、鉄道マンである作者が歴史を踏まえながら、東京駅、グランド・セントラル駅など名だたる駅から北海道の増毛駅といったローカルな駅まで、日本と欧米の駅の構造的特徴や魅力を名作映画の中から紹介しています。数年前に新しくなった小倉駅を含め、国内外の駅舎や映画の名場面の写真も豊富に掲載されていて、ビジュアル面でも楽しめます。
 日本の駅舎は戦後、無味乾燥的な建物が増えていったといいますが、海外でも効率化を優先して、複合施設と合併した駅の高層ビル化が進んでいると作者は嘆きます。しかし、最近は日本でもデザインを重視した美しい駅舎も増えているともいいます。
 また、複合映画館が入った駅ビルが増加。駅が舞台となった映画を駅で楽しむようにできるようになる時代を、作者は喜んでいるようです。
 私は大学時代や旅行時にJRをよく利用していましたが、これまで駅の魅力についてあまり考えたことはありませんでした。しかし、本書を読んで、「駅」に対しての見方が大きく変わりました。


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