THE BOOKハンター!

~〈本の虫〉の痛快読書日誌~

「うたの旅人」(朝日新聞be編集グループ編/朝日新聞出版)

2009年07月28日 | Weblog
 人は誰にでも忘れられないメロディー、思わず口ずさむ歌詞があります。
 本書は、「川の流れのように」「千の風になって」から「赤とんぼ」「第九」「なごり雪」まで、人々の心に残る名曲が生まれた場所と人を訪ねる写真紀行。古今東西の名曲に触れながら、「旅」と「詞」の楽しみを味わえる朝日新聞の土曜版「be」に連載されている「うたの旅人」の単行本化です。私はリアルタイムで連載を読んでいたので、今回書籍化されることを知って、さっそく買って読みました。
 21曲にまつわるストーリーを収録。中には私の知らないものもありましたが、記者の緻密な取材で明かされる数々のエピソードに胸が打たれました。今回改めて読むと、違った発見や感動がありました。
 「うたの旅人」はテレビ番組にもなり、BS朝日で毎週金曜夜10時からオンエアされています。

「脱線者」(織田裕二/朝日新書)

2009年07月24日 | Weblog
 織田裕二さん主演の最新映画「アマルティ」が全国で好評公開中です。これも「Hachi」と同様、フジテレビが開局50周年を記念した制作したもので、日本映画としては初のオール海外ロケ(イタリアが舞台)の超大作です。
 それにあやかって読んでみたのが、この本。織田さんがこれまでのプライベートや仕事でのエピソードを赤裸々につづりながら、困難な時代に生きる若者たちに「後悔しない生き方」などを指南したエッセイ集です。
 「踊る大捜査線」の青島、「世界陸上」のナビゲーターなど、織田さんの熱血キャラがすっかり定着していますが、本書を読めば、それとはまったく異なる織田さんの「素顔」を知ることができます。
 この本に地球で出会って、本当にヨカッタ~!!



「HACHI 約束の犬 公式ストーリーブック」(Tokyo1週間 編/講談社)

2009年07月24日 | Weblog
 渋谷の忠犬ハチ公の物語が「HACHI約束の犬」としてハリウッドで映画化。いよいよ8月8日(土)から公開されます。フジテレビの開局50周年記念作品だそうです。
 物語の見どころをたっぷりと紹介する本書には、映画シーンの写真が満載。ハチのお迎えマップ、登場人物の相関図、名作「ハチ公」にまつわる豆知識なども掲載。主演俳優リチャード・ギアのインタビューも収録しています。
 私はどんな風にアレンジされているのだろうと思っていましたが、舞台をアメリカに置き換えただけで、ほぼ原作通りの作品でした。この1冊を読めば、映画のストーリーがよく分かり、映画館にを実際に行ってみたくなりました!

「小説 吉田拓郎 いつも見ていた広島 ダウンタウンズ物語」(田家秀樹/小学館文庫)

2009年07月11日 | Weblog
 今週8日、歌手の吉田拓郎さん(62)さんが風邪の悪化と慢性気管支炎のために大阪公演とその後の予定をキャンセルしたというニュースが報じられました。「最後の全国ツアー」とされていただけに、拓郎ファンはさぞや落胆したことでしょう。
 私はその頃、ちょうど拓郎さんの青春時代を綴った小説を読んでいました。それがこの本です。本書は、かつて人気歌手へのインタビュー記事や歌手にまつわるエッセイや小説などを音楽雑誌に数多く発表していた、知る人ぞ知るビッグライターの初の自伝的長編小説です。 

 本書は、若き日の拓郎さんをメインに書かれた小説ですが、彼の仲間たちや彼らを支えていた人たち一人一人に光を当てて、その人となりを丁寧に描き出し、読み応えのある「青春群像小説」になっています。
 1970年半ばに生まれた私は当時の学生紛争やフォークソングブームについてリアルには知らないものの、フォークソングに親しんできました。その中でも「結婚しようよ」「洛陽」「夏休み」など、プロデビューして日本の音楽シーンに革命をもたらした拓郎さんの名曲は大好きで、ベストアルバムを買っているほどです。
 本書に書かれているのは、フォークブームに乗ってアメリカの人気曲をカバーして歌っていた拓郎さんの姿で、私の知らない拓郎さんの「青春時代」を垣間見ることができました。
 日本にアメリカからフォークソングが輸入され、若者の間でフォークブームが巻き起こり、ブームにかげりが見え始め、自分たちの新しい音楽を生み出していく……。本書は、日本の音楽史としても読める1冊です。

「イエスはなぜわがままなのか」(岡野昌雄/アスキー新書)

2009年07月03日 | Weblog
 先日読んだ「イエスの身体」がやや難解で偏った内容だったので、キリスト教について書かれた入門書的な本を読んでみました。本書は、フェリス女学院の院長が、哲学者・クリスチャンの立場から分かりやすく聖書やキリスト教の本質について解説したものです。
 私は今回初めて知りましたが、新約聖書にはイエスの理不尽な行動やエピソードがいくつも載っているとか。「それに対してクリスチャンは、どう納得しているのか?」という疑問に、著者は持論を展開しています。
 後半は、キリスト教の基礎知識がまとめられています。また、旧約聖書と新約聖書の内容、プロテスタントとカトリック、牧師と神父の違い、洗礼の方法など、キリスト教に関する豆知識が「コラム」で解説されています。

(本書の内容)
 第1章 イエス様、それは理不尽すぎませんか?―新約聖書には意外なエピソードがいっぱい(空腹のあまり、イチジクの木を呪って枯らす;豚を集団自殺させる;動物を鞭でたたき出し、市場をめちゃくちゃにする;「わたしは平和ではなく剣をもたらすために来た」;「おまえなんか生まれてこなければよかった」;理不尽なイエス像がもたらすもの)

第2章 言葉が招く、聖書への大いなる誤解―キリスト教に対する誤解の元は?(罪は悪ではない;教会は建物でも組織でもない;祈りは願いではない;真実は事実ではない)

第3章 「信じる」という感覚―信仰は非日常的な感覚?(信じるのはなぜか;信じたら何かいいことがあるのか;「復活」はなぜ重要なのか;世界にはなぜ残酷なことがあふれているのか;神とは何?