THE BOOKハンター!

~〈本の虫〉の痛快読書日誌~

「ドイツ・クリスマスの旅」(谷中央・長橋由理/東京書籍)

2010年12月18日 | Weblog
 もうすぐ待ちに待ったクリスマス。クリスマスを祝う行事は、ドイツによって始まったことをみなさんは御存じですか? 私も最近まで知らず、クリスマスに関する本を読んで知りました。

 今では世界的にどこも似ているものの、ドイツでは11月最後の日曜日からクリスマスの準備が始まり、アドヴェンツクランツの4本のロウソクの1本に火を灯します。街の広場にはクリスマスマーケットと呼ばれる出店が立ち、人々が集まってきます。この本の筆者は約20年前(東西ドイツ統一直後)にドイツを初めて訪れた時に偶然、このクリスマスマーケットに出合い、その華やかさや歴史に見せられ、それ以後、毎年この時期になるとドイツ各地のクリスマスマーケットを見て回るようになりました。本書は、そんな筆者がこれまで現地で見聞きしたクリスマス・マーケットの魅力やクリスマスの祝い方について、豊富なカラー写真と文章で紹介した、見るだけでもワクワクして楽しい1冊です。

 ページをめくるたびに、本の中からクリスマス・シーズンを楽しむ子どもたちやクリスマスの準備をしている大人たちの声や市場で交わされる人々の掛け声が聞こえてきそうな感じがしました!

 「本当のクリスマス」を味わいたい人にオススメです。

「クリスマス・バス マートルばあさんとおんぼろバスの二人」(メロディーメカルーソン/バベルブレス)

2010年12月09日 | Weblog
 物語の舞台は≪クリスマス谷≫という米国北西部の町。この町でたった1つの宿を経営するイーディスは、今年のクリスマス休暇に子供たちが誰も帰ってこないことに落胆しますが、教会員に老いぼれ扱いされるようになった牧師である夫チャールズによる“人を招くこと”を勧める聖句を引用した説教を聞き、ある考えを思い立ちます。それはクリスマス休暇中に見知らぬ人たちを宿に泊らせ、夫婦と一緒にクリスマスを楽しく祝うことでした。

 「クリスマス」という特別な時間を心豊かに過ごすとはどういうことなのか? 牧師夫人イーディスの葛藤と奮闘を通して、ときにコミカルに、ときにしんみりと伝わってくる珠玉のクリスマス・ストーリー。「マートル」という変わり者の年老いた女性客が現れ、いたるところで人々とトラブルを起こし、作者は、イーディスは心をひっかけ回され、身も心もヘトヘトになるのですが、最後にマートルがみんなに大きな「プレゼント」を与える結果になるのです!

 全米ロマンス作家協会が優れたロマンス作品に贈るRita賞などを受賞した現代のクリスマス・ストーリーの名作。「本当のクリスマス」を味わいたい人にオススメです。この作品は「大人向けの童話」に分類されていますが、子ども(小学高学年~)でも理解できますので、クリスマス・プレゼントしても最適かも?