THE BOOKハンター!

~〈本の虫〉の痛快読書日誌~

「倚りかからず」(茨木のり子/ちくま文庫)

2007年04月14日 | Weblog
 戦後の新しい時代を懸命に生きる女性たちの心情を描いた作品を多く作った詩人の茨木のり子さん(1926~2006)の遺作集というべき本が今月、ちくま文庫から発刊されました。私はきょう、偶然店頭で発見! 彼女の名と「ラスト・メッセージ」という帯の文句に惹かれて、思わず手にとって買いました。そして帰宅後、一気に読み終えました。
 茨木さんの詩は高校の授業やその後に入っていた文学サークルで私もいくつか読んでいました。彼女の詩には女流詩人の石垣りん(故人)さんと同様、すべての詩に作者の凛とした強い考え、「体制」側に対する鋭いアイロニーが盛り込まれています。同書は近年の彼女の作品(未発表の3作を含む)が収録されていますが、時の話題をする鋭い観察眼で見たものが目立ちます。
  自分の正論を頑として貫き通す詩人が少なくなった今、茨木さんのような詩人を失ったことは残念でなりません。