THE BOOKハンター!

~〈本の虫〉の痛快読書日誌~

「ヤマザキパンはなぜカビないか 誰も書かない食品&添加物の秘密」(渡辺雄二/緑風出版)

2008年05月28日 | Weblog
 私たちの身の回りに氾濫する加工食品には多種多様な食品添加物が使われています。また、お弁当や惣菜には防腐効果という名目で様々な恐ろしい添加物が使われています。
 本書は、ミリオンセラー「買ってはいけない」の筆者がこうした食品や添加物を1つ1つ取り上げ、自らの実験データをふんだんに紹介しながら「添加物の危険性」を明らかにし、食品業界のタブーを破った1冊。私はこの本を今回読んで、以下に不断な逃げに食べている商品が有害添加物で毒されているのかを知らされました。
 「品質改善と風味の向上のため」に臭素酸カリウムを使用し続けるヤマザキパン(実験では開封から2週間経っても全くカビが生えませんでした)のほか、コンビニ弁当や駅弁、回転寿司などのネタ、輸入果物、ハムやウインターなど……、発がん性添加物漬けの食べ物は数え始めるとキリがないようです。
 食品は本来、安全して食べられることが前提なのですが、大量生産、利益追求のもとで企業モラルが低下している中、私た地が安心して食べられるものがますますなくなってきているような気がします。
 巻末には、食品添加物の分類表が付いており、食品に使われた添加物の正体と危険度が分かるようになっています。

「松本清張への召集令状」(森史朗/文春新書)

2008年05月25日 | Weblog
 一家7人を支える中年版下職人であった34歳の松本清張に、意外な「赤紙」が届きました。30代以降の男性になぜ召集礼状がきたのか? 町内の軍事訓練への参加を怠っていた者に対する「故意的な懲罰」だったことを知った清張は帰還後、自分を戦地に送った人物を執念で探し出し、出征兵を決める国家組織の「不正なカラクリ」をあぶり出し、その怒りの叫びを数々の作品に託します……。
 本書は、文藝春秋社の雑誌編集者として松本清張の自宅に通い続けた作者が、当時の私的メモを交えながら、2年間の軍隊生活を体験した清張の「深い心の傷」、国家体制に対する思いに迫った究極の作家論。新たな「松本清張」像を鮮やかに浮かび上がらせた面白い1冊です!

「夕闇の川のざくろ」(江国香織/ポプラ文庫)

2008年05月19日 | Weblog
 先月創刊された「ポプラ社文庫」の中に入っていたのが、江国さんのこの本です。
 物語の主人公は、孤独で嘘つきな女性「しおん」。「人なんてもともとほんとじゃないのよ」と言う彼女は台所で料理をしながら、自分の生まれのこと、恋人のことなど、次々と架空の物語を紡ぎ出します。そばにいる幼なじみの「私」が彼女の話に耳を傾けるという素朴なストーリー。
 印象深いフレーズと守屋恵子さんの豊富なカラー挿絵が響き合う、大人のための絵本。不思議で、ちょっと不気味な物語でした。
 江国さんはこの物語に、どんなメッセージを込めているのでしょうか……?

「テレビ、このやっかいな同居人」(阿久悠/朝日文庫)

2008年05月15日 | Weblog
 テレビがこの世に登場してから半世紀。本書は、テレビ番組を自ら創り、テレビをよく知り、テレビをこよなく愛した故・阿久悠氏が熱誠こめてメディアの光と影を冷徹な眼でつづったエッセイ&インタビュー集です。
 テレビの本質、その魅力と悪魔性を衝きつつ、共生する術を探っていて、21世紀へ発信すべく遺されたメッセージとして読みとれます。
 昭和から平成にかわった1990年代からの原稿が多いため、取り上げられている時事的なテーマは今読むと古く感じますが、番組のレベルが著しく低下したテレビ業界への痛烈な批判などは今の時代にも言えることで、「テレビの功罪」を浮かびあがらせています。

「大切なことは60字で書ける」(高橋昭男/新潮新書)

2008年05月07日 | Weblog
 私はこの春から某通信教育の「文章講座」に入会し、基礎から文章の書き方を学び直スことにしました。はじめは、初級・6カ月コースから。好きな時に課題を提出できる、無理のないカリキュラムが気に入りました。
 そんな中で見つけたのがこの本。ユニークなタイトルに引き付けられて、さっそく読んでみました。
 作者は、工業翻訳家を経て、テクニカルライティングの専門家になり、現在は企業や大学などで数々の講座を担当している方です。
 「人に伝わる」文章を書くには、美文名文は不要。日常生活でほんとうに「使える」文章、メッセージが「伝わる」文章を書く秘訣は「短く書くこと」だと作者は力説します。本書では、夏目漱石からジョン・レノン、ファストフード店のマニュアルまでさまざまなテキストや文章の「ひな形」を使って、「使える」文章の書き方を楽しく学ぶことができます。
 ジョン・レノンの「イマジン」や槇原敬之の「世界で一つだけの花」の歌詞のエッセンスを60字以内にまとめる練習など、要約の仕方も丁寧に教えてくれます。