THE BOOKハンター!

~〈本の虫〉の痛快読書日誌~

「トリックスターから、空へ」(太田光/楓書店)

2006年12月31日 | Weblog
 「憲法九条を世界遺産に」(光文社新書)がベストセラーになり、テレビでも政治的な発言を強めている漫才コンビ・爆笑問題の太田光が、憲法や自分自身の思い出や趣味、日本の将来、時事問題などについて赤裸々に語ったエッセイ集です。
 雑誌の連載を単行本(発売元はダイヤモンド社)まとめたもので、1編1編が短いので、読みやすかったです。自分の考えと比較しながら読み進めると面白みが倍増し、彼の"思想世界"へぐいぐいと引き込まれていきます。
 この本を読んで、テレビを通して見ていた「太田光」が日ごろ何を考えているかがよく分かりました。大晦日に良い本を読みました。

「千の風になって CDブック」(新井満/講談社)

2006年12月19日 | Weblog
 2年前に出版された「千の風になって」は、喪失の悲しみを癒し、生きる勇気と希望を与えてくれる“死者からのメッセージ”に多くの人々が共感して、ベストセラーになりましたが、私はこれまで読んだことがありませんでした。
 しかし、先日、NHKで放送されたこの本をテーマにしたドキュメンタリーを見て、たちまちこの詩への共感を覚え、さっそく本屋さんで探してみました。
 そして、特別編集盤CDがセットになっているものを購入。諸説はありますが、誰が書いたのかはっきり分からない、わずか12行の詩に、芥川賞作家で作曲家の新井満さんが曲をつけて、自ら歌って、朗読しています。
 人間は完全に死ぬことはなく、魂として永遠に生き続ける――。大切な人を亡くしたことのある人(私も父を亡くしていますが)にとって、この詩が伝えるメッセージには強く胸を打つものがあります。
 CDにはカラオケも収録。短い曲なので2度ほど聞くと、すっかり覚えてしまいました!
 ちなみに、今年のNHK紅白歌合戦で秋山雅史さんが「千の風になって」を歌うようです……。

クリスマス・シーズンに楽しめる本②

2006年12月15日 | Weblog
 お待たせしました! クリスマスがいよいよ近づいてきました…。今回は、特に大人のために書かれた「クリスマスをテーマにした本」を紹介します。

★「クリスマスの短編」(キャサリン・パターソン/すぐ書房)
  クリスマスを待つ家庭へのメッセージが込められた短編集。
本来のクリスマスが持つ暗さが、私たちの現実の中でどのように
慰めと希望を人々にもたらすかを描いています。

★「ロシアのクリスマス物語」(シロリョフ/群像社)  
  寒~いロシアの冬に人々の体を芯から温めてくれる、とって
おきのクリスマスのハッピーエンド・ストーリー13話。

★「ジョパンニの光」(フィリス・セルー/ソニー・マガジンズ)
 小さな田舎町ライランドフォールズを見下ろす山に、木こりの
ジョバンニが独りで暮らしていた。ジョバンニは年に1度だけ、
町に降りて、自分で育てたモミの木をクリスマスツリーとして
売っていた……。
 聖夜に起こる奇跡の物語。私が読んだ数々のクリスマス本の
中でも、最も印象に残る珠玉の1冊です!

★「わが心のクリスマス」(パールバック/女子パウロ社)
 愛の幸せ、愛のまこと、家族を結び、世界を結ぶ愛の力……
など、アメリカを代表する女流作家が心の中にあるなつかしい
記憶をたどりながら綴ったクリスマスの物語集です。

★「戦場のアリア」(C・カリオン/竹書房文庫)
 第1次世界大戦下の1941年。最前線となったフランス北部の
村では、フランス・スコットランド連合軍とドイツ軍が、日夜砲撃を
戦わせていた。兵士たちの心の支えは、クリスマスまでには家に
帰れるという希望だったが、戦局は変わらないまま。死者は
増えていくばかりだった……。昨年公開された感動映画の原作。

 また、子ども向きに書かれたロングセラーの中にある
★「クリスマスまであと九日―セシのポサダの日」
         (マリー・ホール・エッツ/富士房) は、
メキシコの日常生活・文化習慣を伝える貴重な絵本として、
大人でも十分に楽しめます。
 主人公の少女セシのクリスマス前のときめき、日々の出来事や
人々のやりとり、小さな子供の心情が生き生きと描かれています。
中でもメキシコの町中の情景を描写した挿絵が素晴らしいです!
当時(1959年初版)の人々の生活、学校や市場の様子などが
よく分かりますよ。
  
なお、もっと「過激さ」を味わいたい方(特に男性)には、

★「フランス式クリスマス・プレゼント」
     (ジョゼ・ピエール他/水声社)がオススメですよ!
  クリスマスをテーマにしたアンソロジー。大物シュルレアリスト
から元ポルノ女優…まで、おもちゃ箱をひっくりかえしたような
にぎやかさで、現代エロティシズム文学の醍醐味が楽しめます。


 それでは、みなさん、ステキなクリスマスを……☆