THE BOOKハンター!

~〈本の虫〉の痛快読書日誌~

こだわりセレクト!「クリスマス・シーズンに読みたい本」特集②

2008年12月19日 | Weblog
 いよいよクリスマスまであとわずか……。今回は「クリスマス特集」の後編として、クリスマス・シーズンにぴったりの本を紹介します。

①「クリスマス・ボックス」(エヴァンズ・リチャード・P/講談社)
 ひょんなことから、老婦人の住む豪奢な館に移り住むことになった「わたし」は、ある日、屋根裏部屋で美しい小箱を見つける。その箱に隠されていた秘密とは?「人生でいちばん大切なものは何?」永遠の問いへの答が告げられる、まさにその時・・・。雪が降り積む天使像に、世界が涙した感動のベストセラー。

②「賢者のおくりもの」(オー・ヘンリー/富士房)
 短編の名手オー・ヘンリーが残したクリスマス物語の定番。ある若い夫婦がクリスマスに行った心温まるストーリーを、きれいな挿絵とともに楽しめます。

③「クリスマスの子犬」(ロベルタ・グローベル・イントレイター/文教出版社)
 愛犬ティナは、いたずらざかり。家族は、ティナのいたずらにふりまわされる毎日だが、みんな、ティナが大すき。ティナには、うら庭から脱走する悪い癖があって……。そんなある日、ティナは家族の前から姿を消してしまいます。思いがけない結末に「クリスマス」の意味を考えさせられる、心温まる作品です。

④「クリスマス・トレイン」(デイヴィッド・バルダッチ/小学館)
 かつてはジャーナリストとして、第一線で活躍していたトム・ラングドン。40歳を過ぎて若い頃の情熱を失った彼は、今やライターの仕事で細々と生計を立てています。ロスアンゼルスに住む恋人とクリスマスを過ごすため、ワシントンから大陸横断鉄道に乗ったトムは車中で、彼の元を去った昔の恋人、エレノアに再会。長い間、エレノアへの思いを断ち切れずにいたトムの心は揺れます……。この作品は、アメリカのベストセラー作家が描いた初のラブストーリーです。

⑤「もう一人の博士」 (ヘンリー・ヴァン・ダイク/新教出版社)
クリスマス劇で親しまれる「もう一人の博士」とボニファティウスのドイツ伝道「最初のクリスマス・ツリー」の完訳。

⑥「愛の祭典 クリスマス・アンソロジー」(山北宣久編/教文館)
 イエス生誕の日、人は何を祈り、どのような思いを寄せてきたのか。内外の哲学者、神学者、詩人の祈りやメッセージ、古くから語り継がれ、また新たに生まれた詩や物語の数々をまとめた心にしみるクリスマス詞華集。

⑦「クリスマスおもしろ事典」(小塩節/基督教出版局)
 クリスマスはイエスの聖誕を祝う宗教的行事ですが、今や世界中のあちこちで、その土地に根ざしたイベントが展開される行事になりました。クリスマスにつきものと思われているサンタクロースも、実はキリスト教の長い歴史からすればつい最近できあがったイメージのようです。日本で初めてのクリスマスパーティや、「そこに登場したサンタクロースってどんな格好だったの?」などの雑学もたくさん出て、教養を深めることかできます。

こだわりセレクト!「クリスマス・シーズンに読みたい本」特集①

2008年12月04日 | Weblog
 今回は、クリスマス・シーズンにちなんで、「クリスマスの本」を特集して紹介します。書店にはたくさんのクリスマス本(主に絵本)が売られていますが、当サイトでは、私がこだわって探したセレクトしたとっておきの「クリスマス・ブック」を紹介します。
 年に一度のクリスマス。あなたもお気に入りの本を探して、心を温かくしませんか?

①「サンタクロースにインタビュー」(エーリヒ・ケストナー/講談社)
 ドイツの詩人・作家のケストナーは、貧しい生活の中から師範学校へ。第1次世界大戦を経て、大学卒業後、新聞社に勤めました.そして、子ども向けの本「エーミールの探偵たち」で成功を収めますが、やがてナチスによる圧迫を受けます。
本書は、ケストナーが主に「新ライプツィヒ新聞」「みんなのバイエルス」のために書いた「おとなのための子どもの話」を1冊にまとめたもので、新聞や雑誌に発表されたまま本にはなっていない貴重な作品も収録されています。
子どものために書いたケストナーの数多い作品の中にも同じような場面や人物が登場しますが、本書収録作では主人公の多くがひどく悲しい結末に終わっているのが特徴です。
 「子どもの体験することがすべて、子どもが読むのにふさわしいものではない」(「私が子どもだったころ」)とケストナーは晩年著書に記していますが、本書は、詩人のほかに時事評論家・風刺家で、ウイットと鋭い機転を武器とするモラリストだった彼らしい作品が楽しめる数少ない本といえるでしょう。

②「飛ぶ教室」(エーリヒ・ケストナー/岩波少年文庫)
 本書は、ケストナーが残した「クリスマス物語の古典」といわれる名作で、ギムナジウムというドイツの寄宿学校で暮らす個性豊かな少年たちが繰り広げる、涙と笑いがつまった物語。何かにつけて張り合い、いがみ合っている少年たちですが、その中でも友情が生まれていきます。
ケストナーがこの本を書いたのは、1933年。この年のはじめ、ドイツはナチス政権の手に落ち、好ましくない作家とされたケストナーの本は図書館から撤去されました。しかし、ケストナーは不安の中でもドイツの子どもたちに「とびきりのクリスマスプレゼント」を贈りたかったのです。
 ケストナーは、本作の中で登場するクロイツカム先生の言葉を借りて、「平和を乱すことがなされたら、それをした者だけでなく、とめなかったものにも責任がある」と書いていますが、それは戦後、ナチスに協力した人々への批判でもあったのです。ケストナーはナチス時代が始まった時、沈黙する時代へ向け、命がけの警鐘を打ち鳴らしたのです。

③「とっておきのクリスマスキャロル」(長山靖生/いのちのことば社)
 「きよしこのよる」「もろびとこぞりて」など世界中で知られるおなじみのクリスマスキャロル12曲を、人気画家マルティネスの美しい挿絵とともにキリスト降誕の物語や心温まるエッセイをおりまぜなから紹介したビジュアルブック。
 聖書本文で「最初のクリスマス」を読んで知ることができるほか、クリスマスキャロルの楽譜も載っているので、実際に歌うこともできます。子どもの歌声が愛らしいキャロルのCD(英語)も付いており、この1冊でクリスマスを味わいつくすことができます。

④「光の祝祭 ヨーロッパのクリスマス」(小塩節/キリスト新聞社)
 今も、ヨーロッパの人々の心と生活に生き続けるクリスマス――。本書は、著者が長いヨーロッパ生活の中で体験した様々なクリスマスの思い出をエッセイ風に読者に語りかけ、ヨーロッパのクリスマスの底に流れる信仰の真髄に触れています。
 ヨーロッパのクリスマス風景を撮影したカラー写真が豊富で、ビジュアルでも楽しめます。また、著者オリジナル訳の物語抄や詩も収録されています。