映画感想(ネタバレもあったり)

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映画『丘の上の本屋さん』 全ての人間は生まれながらにして

2023-03-11 | 映画感想
丘の上の本屋さん(2021年製作の映画) Il diritto alla felicità/The Right to Happiness 上映日:2023年03月03日製作国:イタリア上映時間:84分
監督 クラウディオ・ロッシ・マッシミ
脚本 クラウディオ・ロッシ・マッシミ
 出演者 レモ・ジローネ コラード・フォーチューナディ ディー・ローレンツ・チュンブ モーニ・オヴァディア


異色作と言っていいのでは。

メッセージはいくつか発せられているけど
本命の特大メッセージはラストにドーンと提示する。
喪黒福造だったらホントに「ドーン!」ってやってると思いますよ。
少年の顔もドーンってやられた表情してたし(してない)。
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人物の背景が極端に薄い。
これはわざとでしょう。
だって主人公である古本屋の店主リベロさんも名前が「自由Libero」って意味であること以外に人物像がない。
相棒となる少年エシエンも移民であること以外語られない。
家族構成や何に困ってるとか何がしたいとかは語られない。
ほぼアイコンのような、記号のような存在。
その分、観客が自分と置き換えることが容易。
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観客は、若者に「知」を伝えるリベロでもあり、「知」を受け取るエシエンでもある。
実際僕はエシエンが最初の方に借りる本、
ピノキオも星の王子さまも白鯨も読んだことはない。。
今年で45歳になりますけど。。
全然エシエン側です。。
年齢的にも、責任的にもリベロ側であらねばならない。
そのためには自分に「知」がないとね。。

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この映画、ラストのドーン!が全てなわけです。
それまでゆっくりと少しずつ積み上げてきて、突然ある出来事が起きてからのドーン!
あれを計画していた側がどんな気持ち(願い)を持っていたのか、
なぜ移民の少年がこの映画のキーパーソンとして登場してきたのか、
あのラストドーンでなるほどと膝を打ちますね。

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かなり寓話っぽい雰囲気ですけどあくまでも現代だし
現実と同じように歴史を積み上げられてきた世界。
戦争も紛争も差別もバリバリ起きている。
この映画では一切出てこないけど。
すぐ外ではガンガン行われてる。
だからこそ人類の、大発明である、アレを。
ラストでドーン!!と。


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