採集生活

お菓子作り、ジャム作り、料理などについての記録

アンズ「信山丸」のケーキ

2010-07-28 | +お菓子(西洋)
今年は結局お店ではアンズを一度もみないままでした。
寂しいなーと思っていたところ、miyakoさんから「信山丸」という品種のアンズを頂いてしまいました。(miyakoさんありがとうございます!)

加工用にピッタリということで、コンポートにしようかとも思いましたが、すぐに食べてみたかったのでケーキにすることにしました。大体この時期、ジャム類が片づいてお菓子が作りたくなる頃なのです。

作り方は以前つくった「あんずのケーキ」と同じです。


2010/07/12アンズケーキ

アンズって、何て綺麗な山吹色なんでしょうね・・・。
前回よりもびっしりアンズを並べてみました。
型は前回と同じステンレスのバット。


焼き上がりは、写真を撮る間もなくぱくぱく食べてしまいました・・・。
あんず「信山丸」は、さすが加工に最適なだけあって、果肉がしっかりしてしかもきめ細かくて、予想以上に美味しいものでした。
あんずって加熱するともっとトロリンとなるかと思っていましたが、品種(や熟度)によってかなり違うのですね・・・。
miyakoさん、美味しいあんずをご馳走様でした!


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あんずって、一度に何種類も手に入ることがないせいか、品種なんて殆ど考えたこともありませんでした(そんな贅沢は言えない)。
それにスーパーで売っているものには品種が書いていないことの方が多いですよね?

アンズの品種について調べてみると、思いの外沢山あるようです。
あちこちのwebサイトを見て、いくつかの品種について特徴をまとめてみました。
収穫時期ごとに並べててみます。

ただし、甘みなどはそもそも栽培方法や収穫時期、測定法法等によって変わってくるでしょうし、収穫期も栽培地によって違うと思います。
あくまで目安ということで。
(苦労した割には役に立たない表だった・・・)

名称 糖度
(必ずしも甘さを意味しない)
酸味
(pH小さい程酸っぱい)
大きさ 加工適性(煮崩れ難さ) 果皮の色 裂果 収穫期 原産/
開発地
その他
平和 Brix 8.0% 強い
pH3.3
50-70g 適する 橙色 収穫時に降雨が多いと裂果が多発 早生:
6月中旬
長野県更植市森の南沢小重太郎氏が発見 自家結実性なし。
酸味が強く生食には適していない
信陽 糖度10-11%   50g 加熱で肉崩れしやすい 明るい橙色。
陽光面やや着色
少ない 早生:
6月下旬
「山形3号」と「甚四郎」の交雑実生
 
山形3号 甘味は中 pH 3.3 60-80g 劣る 橙黄色 裂果ほとんどない。日持ちは良好 早生:6月下旬 山形県滋賀市田川郡山添村東荒屋  
幸福丸 糖度14-16% 70-80g 橙黄色 裂果がやや見られる 早生:
6月下旬
長野県波多腰氏育成品種  
美杏     適する 黄色   早生:
6月下旬
山形県の渡辺氏がオ-プン実生より選抜  
新潟大実(昭和と同じという説もあり) Brix 7~9 pH 3.3
70-80g
      中生:6月下旬~7月上旬 新潟県西蒲原郡巻町 酸味多く生食には適さない
さつき 糖度9-10%   50-60g 優れる 淡橙黄色 裂果の発生は少ない 中生:
6月下旬~7月上旬
長野県北島氏育成品種。「平和」×「昭和」から選抜。 特性は昭和に類似。
信山丸 糖度10%
香気少ない
 

40g

優れる 橙色が強い。
陽光面の  着色少。
裂果は少ない。果実の日持ち性は良好 中生:
7月上旬
  生産数が少なく質が高いことから加工用高級アンズとしても人気
昭和 糖度9-10% 強い 50-60g 優れる 濃い橙黄色 裂果の発生は少ない 中生:
7月上旬
新潟県の藤田勝蔵氏によって発見  
ハーコット Brix 13.1%
糖度15-16%
pH4.2 80-100g     収穫期の降雨によりやや裂果が発生する。日持ち性がやや劣る 中生:
7月上中旬
カナダ 生食用高級品種。
細菌病に弱く結実が不安定
ニコニコット Brix13.0% pH4.3
90g
  橙色 少ない 茨城県で6月下旬(ハーコットと同じ) 農研機構果樹研究所が2009年に発表 生食用としての食味がすぐれている。
自家結実性強で極めて豊産。
サニーコット Brix12.0% pH3.9
110-120g
  橙黄色 極めて少ない 茨城県で6月下旬(ハーコットより数日遅い) 農研機構果樹研究所が2009年に発表 九州から北海道南部までの広い地域で栽培可能。
自家結実性強で豊産
カーチス   65g   橙色   晩生:
7月中旬
   
ゴールドコット 糖度15%   50g   淡黄色 裂果はほとんど発生しないが、日持ち性が劣る 晩生:
7月中旬
 「パ-フェクション」の実生から選抜
 
信州大実 糖度10-11%
完熟すると香気が多い
  80-90g 優れる 橙色。
陽光面着色やや多。
  晩生:
7月中旬
「新潟大実」と「ア-リ-オレンジ」の交雑実生  
信月 甘み中程度
糖度10-11%
香気わずか
 
80-90g
優れる 橙黄色。
陽光面の着色少
  晩生:
7月中下旬
 「新潟大実」と「チルトン」の交雑実生
 


これを読むと、植えるなら自家結実性のある新品種、サニーコットかニコニコットがよさそうです。あ、でも加工適性(煮崩れ難さ)も気になるところです。もし木を植えたら(あてなんてないけど)絶対に生食では消費しきれないはずで、シロップ煮は必須のはず。果樹研究所は加工適性の情報も発表して欲しいものです。

杏の魅力の大きな部分である(と私は思う)香りについては、あまり言及がありませんでしたが、信州大実はとりわけいい香りなのかな?
今度機会があったらじっくり味わって香りも確かめてみたいです。



■参考情報
果樹研究所HP
ニコニコットとサニーコットのプレスリリース
イベント/お知らせ一覧を見るとこれまでに2回フルーツセミナーが開催されているようです。
 第1回カンキツの品種開発最前線(お知らせ報告
 第2回アンズの品種動向を探る(お知らせ/報告) 


杏品種あれこれ
春日果樹園さんのHP。品種説明を参考にさせて頂きました。
杏直売もしているようです。

●miyakoさんは杏5種類を使ってジャムやコンポートを作ってらっしゃいます

●(ブログ)クサマヒサコの野菜ノート
 第2回フルーツセミナー
 あんずいろいろ
 ニコニコット
 サニーコット
 「平和」というあんず

●「糖度」については要注意です: 「糖度計は、砂糖と塩の区別がつかない
コメント (6)
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