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ベトナム奥地の学校-3 (長谷川義春)

2012-05-01 | ベトナム奥地・中部高原地帯の中学校

長谷川義春さんから、ベトナム奥地の学校の様子について、詳しいレポートを教えていただきました。5回に分けて掲載します。『トゥオイ チェ新聞』の翻訳(長谷川さんによる)と、長谷川さんのコメントです。


[3]  トゥオイ チェ新聞 2010年9月7日

筏(いかだ)で学校へ

 この何年もの間、タンホア省(*訳注1)タクタン郡タクラム村に属するビエン集落、ドイ集落、ゲオ集落の何百人もの生徒たちは、自分で筏を引いてブォイ川を渡り、学校に通わなければならない。

 川の両岸を結んだ100メートルぐらいの綱を手繰(たぐ)り手繰り、川の急流を渡っていく。川を渡る者の生命を保証できる者は誰もいない。川を渡る生徒たちが救命胴衣を身に着けているはずもなく、引率する大人がいるわけでもない。毎年、川の水かさが増す季節(*訳注2)になると、生徒たちが水に流されるケースも出てくる。

アン ファム(タンホア省)記

*訳注1:タンホア省はベトナムの中北部に位置し、「ベトナム奥地の学校」-1、2の舞台となったゲアン省の北に隣接する省。ゲアン省同様に、貧しい省とされています。

*訳注2:雨季になって川の水かさが増え、必然的に流れも激しくなる時期を言っているのだと思います。

                                        

 これは、『トゥオイチェ新聞』の読者が投稿した写真記事です。上の写真は、9本の太い竹をしっかり結び付けて作った筏に乗って、数人の若者が川を渡り始めたところ。頭上にロープが張ってあって、先頭の若者がこのロープを手繰(たぐ)り手繰り対岸に渡っていく仕組みのようです。筏は、流されてしまわないように、頭上のロープとロープで結ばれています。この筏にはエンジンもオールも櫓もついていませんから、完全に、ロープを手繰る腕力一本だけで筏を進めるようです。

 もう1枚の写真は、ちょっと見ると若者が水遊びをしているように見えますが、考えてみれば、そんな暢気(のんき)な光景ではありません。おそらく、川幅100メートルぐらいの中ほどまで手繰り進んだときの写真で、岸に近いところでは若者の頭上にあったロープが、ここではたるんで水面につこうとしています。最初は立って軽々とロープを手繰っていた先頭の若者は、今はすでに半身を水中に浸けて片手片足でしっかりと筏をつかみ、もう一方の片手で懸命にロープを手繰っているのです。筏は水流に押し流され、若者がしっかりと握っているロープは、手で握っているところを頂点として大きく三角形にたわんでいるのが見えます。2番目の若者は腹ばって腰を低くし、揺れる筏のバランスを取るのが役目なのでしょう。たぶん3番目は女性で、衣服が濡れるのを嫌い、両足を踏んばって立っています。大きな袋を提げていますが、その中には、先頭や2番目の若者の勉強道具や弁当なども入っているのかもしれません…。



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