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【ラノベ】大図書館の羊飼い overture

2012-09-04 | ライトノベル
大図書館の羊飼い overture (ファミ通文庫) 大図書館の羊飼い overture (ファミ通文庫)
価格:¥ 672(税込)
発売日:2012-08-30

 読了。

 ファミ通文庫から発売した、同作品の前日譚にあたるラノベ。
 や、ちょうど体験版をプレイして購入決定したタイミングだったので買っちゃいました。このへんオーガストの販売手腕は実に見事ですね。しっかりと作品を作り込むこと前提ではありますが、体験版をプレイさせて予約を促し、かつノベライズの前日譚を同時投入して買わせるというのは、ちょっと鮮やかすぎて鼻につくなーw
 ちなみに、作者は『ギャルゲヱの世界へようこそ』シリーズの田尾典丈さん。昔、1巻だけ読んだことがあるんですけど、最初は面白かったのに終盤はまさかのシリアス展開で驚きつつも失笑した記憶があるなあ。それからチェックすることもなくなっちゃったんですけど、十冊近くも続いて完結済みなんですね。お疲れ様でした(遅い)。

 で、肝心の中身がどうだったかというと、それはもう、謳い文句どおりの前日譚でした。本当にそれ以上でもそれ以下でもないため、僕みたいに「体験版をプレイして本編をやりたくなったからもう少しあの世界観に触れていたい」という人にはお薦めです。逆に、単体のラノベとして見た場合には色々と物足りない部分が目につくので、お薦めはできません。
 つーか、「発売していないエロゲの前日譚」というのは、おそらく僕が思っているよりも扱いにくい題材なんだろうなと。どういうことかというと、『大図書館の羊飼い』の体験版をプレイした方はご存じだと思いますが、例えばメインヒロインのつぐみは、作中で「主人公と面と向かって挨拶をするより前から主人公と接点があった」ことを仄めかしていました(電車に乗ったときに気を利かせてくれたとか)。なので、僕はてっきりそのあたりをこのラノベで掘り下げるのだと思っていたんですよ。
 ところが蓋を開けてみると、べつに知らなくてもいいようなキャラクターたちの〝ちょっと過去のお話〟が語られるだけで、本編に絡んできそうなのはつぐみと千莉が出会う前からネット上でレシピのやり取りをしていたことと、主人公と佳奈が(正確には佳奈が一方的にだけど)『耳をすませば』ごっこをしていたという事実のみ。もっともコレは当然のことで、前日譚であるラノベをすべてのプレイヤーが読むわけではない以上、「知っていても知らなくてもいい」内容になることは既定路線であると言えます。
 ただまあ、単体の作品として見ると、これがすっげー足を引っ張ってるんですよね。「知っていても知らなくてもいい」内容ってのは、つまり薄いってことですし、作者の田尾さんも実際にゲームをプレイしたわけではなく、渡された資料を元にキャラクターのイメージを膨らませないといけないので、どうしても台詞などにぎこちなさが出ます。
 一番最初にオーガストの販売手腕は見事と書きましたが、このタイミングで外部スタッフの方にノベライズを依頼するのはやっぱ無理があると思います。同時に、こういう形で発売するのであれば、本編を手がけたシナリオライターさんがノベライズも担当すべきなんだろうなとも思いました。
 まー、最初からあまり期待してなかったので、僕はこれで十分です(^q^)
 一時間分は楽しめましたということで一つ。