健康食品の表示制度確立に向け、日本健康・栄養食品協会傘下の8団体で組織する健康産業協議会(協議会)と意見調整を進めてきた国民新党は6月18日、消費者庁と厚生労働省に『全ての健康食品の表示を含む制度の確立に関する要望書』を提出した。
週間通販新聞 2010年7月1日 |
ここでは国民新党の政策評価が本題ではなく、その中に気になることが書いてありました。
高齢化社会を迎え、国民医療費が30兆円を超えそのうち44%が生活習慣病である。アメリカでは、国策として医療費削減に取組んでおり、サプリメントの医療費削減効果の研究では、5年間でヘルスケアの費用を2兆円相当削減可能と発表している。また、日本においても坂戸市と女子栄養大学が医療介護費削減のために栄養指導を主として栄養素強化健康食品摂取の取組み2年間で22億円の国民医療費と介護費の削減に成功している。 |
全文(PDF) |
ちょうど坂戸市と女子栄養大学の事例が『栄養と料理』2010年5月号に掲載されていました。
これは2009年2月9日に、東大講義「医療経済イニシアティブ」でも取り上げられています。
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2006年に日本の人口はピークを迎え、少子化と高齢化が同時にやってきます。国民医療費は2009年度で7年連続増え続け35.3兆円、その先に介護費が増大するのは、現時点ですでにわかっていることです。この厳しい国家財政をただ削るだけでなく、必要なところには適正配分されなければなりません。上の事例にあるように、栄養改善で健康を増進すれば、医療費と介護費は減らせるのです。平均寿命が長くなっても、ほとんどの人がそのうちの約10%(7~8年)を寝たきりや認知症で過ごすとされています。高齢者が単に健康であるだけでなく、最終臥床期間が短くなり、医療費と介護費を減らすことはもちろん、家族の負担も大幅に軽減できます。今後増えていく『老老介護』も社会的に大きな課題となり、その解決策が望まれます。
しかし政治家が「医療費と介護費を減らす」と口にしたとたん、国民からの支持を失います。「社会保障を切り捨てるとは何事か」との声が必ず出てきます。票を投じる有権者の多くも、健康増進で医療費と介護費が減らせることを正しく理解していないのが問題です。そうではなく予防で必要な財源は確保し、医療費を適正化する必要があります。事業仕分けどころではない巨額な費用が削減できることを、真剣に議論している政治家も政党もありません。行政ですら、既得権益団体に遠慮して手を出しません。 |
健康増進法は、
我が国における急速な高齢化の進展及び疾病構造の変化に伴い、国民の健康の増進の重要性が著しく増大していることにかんがみ、国民の健康の増進の総合的な推進に関し基本的な事項を定めるとともに、国民の栄養の改善その他の国民の健康の増進を図るための措置も講じ、もって国民保健の向上を図ることを目的とする |
国民と国、地方自治体は健康の増進に努めなければならないのです。予防とは、予見できることを未然に対策をして、リスクが最小なにるよう防ぐことです。対策をしないのは怠慢であるばかりか、健康増進法に反しています。
日本はかつて、日露戦争で戦争以外にも多くの兵士が栄養の問題で死亡した経験があります。これからの社会、内容を精査せずに必要な医療費と介護費まで一律カットでは困ります。国家財政のため、何よりも国民のためにも、栄養改善で疾病を予防し、医療費と介護費を適正化させるのは急務であると、広く認知していただきたいものです。
【医薬最前線】第3部 ジェネリック始動(1)医療費削減の“特効薬” 根強い医療関係者の抵抗 医療費削減を迫られているのは国も同じ。国民医療費は19年度で約34兆1360億円。このうちの約4割を公費が占めている。高齢化が進み37年度には65兆円にまで膨れあがるとの試算もある。対策を講じなければ「(全国民が公的医療保険に加入する)国民皆保険制度が揺らぎかねない事態にもなりうる」(厚労省)からだ。 産経新聞 2010/08/14 |