夏は来ぬ
最近の地上波テレビの惨憺たる有様を私は想像したでしょうか。只々時間ばかりやたらに長くなり、2時間3時間は当たり前のバラエティ番組やニュースショーと言った方がぴったりの、それも同じような番組がどの局でも同じように繰り返されているのです。
今日は雑誌正論から今や神の代わりにも成っているが如きテレビのワイドショウをお馴染み高山正之氏に切り捲った記事を取り上げました。ワイドショウに出ているのは学者や評論家ではなく、単なる芸人の一種だと言う事がハッキリ証明される、面白い読み物です。
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月刊雑誌『正論』平成29年 7月号より抜粋
愚紳礼賛 ワイドショー
私は2度、クビになりましたが
ジャーナリスト 高山 正之
◆「北朝鮮が侵攻」もNG
実を言うと昔、2度ほど地上波テレビのコメンティターをやった。最初は
サンスポ芸能部に異動というか、まあ飛ばされたとき。
「他の記者は忙しい。暇なのはあんただけ」とかで週1度、テレ朝で即席エンタメ解説をやったが、芸能は結構奥が深い。川崎真世が男だったとは知らなかったし、美空ひばりの塩梅がそんなに悪いことも知らなかった。
その辺の頓珍漢はテレビ局も鷹揚に対応してくれた。ただ紅白の顔ぶれについてのコメントでは顔色が変わった。
「紅白が終わればゆく年くる年。除夜の鐘が聞こえてくる。紅白はもはや日本の大晦日の景色の一つなのに、こうも韓国人歌手がぞろぞろは可笑しい」それでクビになった。
2度目は定年前の暇なころ、週3回、国際政治学者の浅井信雄と交代で、朝8時半からのワイドショーに出た。
番組には入念な手順がある。スタッフがテーマを決め、映像取材を済ませ、当日は午前3時頃から準備を始める。司会MCがテーマをどう紹介し、誰にどんなコメントをさせる窯で決められる。
こちらはニュースの解説役だからこの早朝打ち合わせには出なかった。だから番組の意図と違う事を喋って、よく混乱を起こした。
番組では善玉の人物を「いや、こいつの方が悪い」とか。MCの顔が引きつり、CMの間にプロデューサーが下りてきて、「CM明けに一言詫びてください」 「いやだ」みたいなやり取りがよくあった。
そして所沢高校事件が起きた。生徒会長が「僕たちで入学式をしたい」と言いだした。その自主性がいいと教職員が応援し、朝日新聞もいい話風に報道した。対して県教委は 「公的行事を生徒の勝手にはさせない」と堅物の好調を送り込んだ。
我が番組も朝日の主張に乗っかって 「自主性が大事」方向だった。女子アナが高校前で立ちレポで 「頭の固い校長にも困ったものです」とコメントした。MC以下が頷く。
意見が求められ、あの生徒会長の親は活動家で、支持している高教組の偏向は知られている。「見かけ通りじゃない。特定の政治勢力が絡んでいる」と言った。今でいうシールズみたいな連中だと。MCの顔が引きつったが、それだけで終わらなかった。
翌日の「赤旗」が社会面のへそで「高山某の暴言」を報じ、同時にテレビ局内のファックスと電話が鳴り続け、赤旗の記事の文言通り「高校生の善意を傷つけた」とか「高山をクビにしろ」の抗議が丸一日続いた。テレビ局はその対応で通常の仕事もできなくなった。
赤旗の背後の、つまり共産党が「あのテレビ局に電話とファックス攻撃を掛けろ」と命令したのだろう。200人がかかればテレビ局を虐め倒せると後で知った。
陰険な威力業務妨害だが、立件は難しい。テレビ局は泣き寝入りするだけ。彼らを怒らしたコメンティターは番組を危うくした罪により間もなくクビになった。そういう例は表に出ないだけで山とある。
NHKの磯村尚徳は「ニュース9」で「北朝鮮が38度線を超えた」と当たり前を言った。途端に総連がNHK攻撃を指令し、同時に社会党の大物にも指令して番組担当者を脅させた。
ほんの小一時間でNHKは麻痺し、磯村は番組の中で平身低頭し、謝った。以後、NHKは今も「北朝鮮が侵攻」の史実は語らない。売れっ子の山口敬之も森友学園絡みで辻本清美の名に触れたら「洪水のような抗議が殺到して仕事にならなかった」という。
こちらは2度のクビでワイドショーには赤旗とか9条の会など「威力業務妨害組織」の監視があって、それに関わる発言を抑え込んでいることを知った。
多分、池上彰でも原発賛成を語ればその途端テレビ局は機能を喪失し、池上は職を失う。ワイドショーとはそういう制限された言語空間に生きている。
◆ 朝日に倣えば生き残れる
しかし何も言えないわけではない。この監視組織と共に歩む朝日新聞に倣えば、あとは倫理観ゼロの放言でも許されるのだ。
例えば支那を語るとき。朝日はいい国と言う。それさえ踏まえればあとはどんな放言も許される。前のパートナー浅井信雄は、例の毒餃子について「日中友好を壊したい日本人が日本で毒を仕込んだに違いない」と言った。
その発言を組織は賞賛した。その意味でコメンティターほど気楽な商売はない。以下、最近のお気楽な彼らの言葉を拾うと。
北朝鮮が高高度ミサイルを発射した日曜日のTBSサンデーモーニング。大気圏再突入もクリアしたミサイルは日本にとって大いなる脅威だ。
文字通りの「気違いに刃物」をリアルタイムでどう語るかと思ったら3分間の生ニュースだけ。関口宏が「余計なことするなあ」で終わった。
どう余計か。北の脅威を口実に安倍が着々軍備を増強し、米との軍事協力も深めている。おそらく番組では「安倍の妄動」をテーマにこっぴどく非難する手筈だった。それが余計なことをやって駄目になったと言う意味だろう。
そのせいか番組はまだるっこかった。「米国では」が接頭語の寺島実郎の意味不明の話はもはや苦痛。韓国人以上に韓国を愛す青木理は「北とは会話で」の一つ覚え。
拉致にテロに核までやり放題の国に話し合いで3億ドルも援助してきた米国でさえ、もはや話し合えないと言った。そんな犯罪国家とどう話し合うのか。コメンティターの空疎さの見本だ。
その前週のサンモニは姜尚中が出ていた。この人は永野鉄男の名も持つが国籍は韓国人。それで「私たちは」とか言う。日本人を装って立憲主義を語り、安倍の憲法改正案の出し方は「違憲だ」と言った。朝日の主張そのまま。
そういう時は「引用です」と言え。それによその国の事を語るときは、その国に敬意をもってしゃべるのが外人のマナーだろう。
ワイドショーの目玉は変わらず森友学園の籠池だ。悪辣な詐欺行為で、もう捜査の手が入る。そんな男の発言を真実です、みたいに持ち上げて何の恥じらいも感じないのか。
「Mr・サンデー」は「安倍昭恵が財務省に圧力をかけて国有地を8億円引きさせた」と言う籠池の言葉を取り上げ、籠池が隠し取った録音をそのまま垂れ流した。まともな人が隠し取りするか。そんなのを抵抗もなく流すことに良心が疼かないのか。
8億円値引きがおかしいと言うが、籠池の北隣の豊中公園敷地はほぼ同じ広さで14億円引きで払い下げられている。南隣の給食センターも同9億円引きだが、テレビも朝日もそれに触れない。
豊中の公園払下げは辻本清美が詳しいと籠池夫人もメールで言及しているが、彼女の名も番組にでてこない。
Mr・サンデーにはトランプ当選を当てて男をあげた木村太郎がでているが、詐欺師の言葉を信用する異様さも豊中公園払下げの絡みも一言もなかった。彼ですら正論を言えばクビになるのだろう。
今村復興相が活動家の挑発に切れて結果的にクビにされた。まともに考えれば反政府活動家が閣僚会見にフリーパスで出ている方が危ういと思うが、ワイドショーでそれを指摘する声はない。
逆に今村批判の中で田崎史郎が「大臣は挑発に乗ってはいけない。記者は怒らせて大臣の器を見るのだ」と言った。
元記者から言えばそれは嘘だ。記者はニュースを取るのが仕事で、相手の器など試さなくともわかる。相手を怒らせて本音を引き出すのは低俗な米国の法廷弁護士の手口だ。
彼が時事の政治記者だったことにあきれる。コメンティターとは「改憲は駄目。原発もだめ。安倍もダメで習近平、韓国、グローバリズムは善」がスラスラ言える人を言う。
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テレビワイドショーのお呼びがかからない。正論を吐く人々は様々な媒体を通して私たちの前に現れだしています。パソコンの動画を通して多くの論客の本音がじかに伝わる番組がいくつも出てきました。
それらの番組を通して、地上波のテレビのニュース関係討論会などは、見たくも無くなって来ています。リベラルなコメンティターなど信頼も信用も無くなり、まさに舛添状態になっています。いい傾向です。