トランプ騒動も一段落していますが、アメリカのメディアも日本のメディアもその多くは予想を外し、その分析さえできていない状況下、渡部昇一教授の、目のすくような解説に、私も別のことを感じました。
日本の中のポリティカル・コレクトネスが、日本の言論界、メディア界に猛威を振るっていて、歪な世界に変わりつつあることです。差別だとかヘイトだとのレッテル張りが市民権を得て、やたらに張り続けるという被害です。
カジノ法という名で呼ばれている事案に対しても、メディア界からはこれに関してパチンコ会を非難することはタブーであるかのように絶対に取り上げません。
また日本中に張り巡らされたホームセンターや大型電気店も、その80%近くがチャイナ製だと言われています。この使っているパソコンもNECですがチャイナで組建てられた製品です。日本で組み立てられた製品は、ケーズデンキには一台もありませんでした。
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(月刊雑誌『WiLL』 2017年1月号より)
総力特集 さぁ、トランプだ 覚悟せよ!
トランプは 天才奇術師ですな
大手マスコミはまんまとトランプ・マジックに引っかかったのです。
上智大学名誉教授 渡部 昇一
一部抜粋記事にして私が、書きやすいように書き綴りました。
・・・・・・・・・・・(前略)
「言論の不自由(ポリティカル・コレクトネス)に対する挑戦
通常の手段ではとてもヒラリー候補に勝てる見込みはないとトランプ氏は考えていたはずです。何しろヒラリー氏は元大統領のファーストレディで、オバマ政権で国務長官を務めた知名度抜群の女性です。
しかもウオールストリートとの関係も深い。そんな強敵に、公職に就いたこともない人間が勝てるはずがない。それで彼は、大胆な手段に出たのだと思います。普通のアメリカ人が口にしたくてもできないことを次から次へと、歯に衣着せず言い放ちました。
マスコミは狙い通り彼の発言を「暴言だ」と片端から報道して宣伝にこれ勤めました。現在のアメリカには言論における閉塞感があると思います。
それを打ち破ってくれたという訳で留飲を下げた人々が彼を熱烈に支持して、泡沫候補から一転、共和党候補となり、ついに大統領選で勝利を収めるに至ったわけです。
今のアメリカは、ポリティカル・コレクトネス(差別・偏見・を許さない表現)が非常に強い社会になっています。わかりやすく言えば、一時期の日本で問題についてほとんど口にできなかったことがあるのと似ています。
しかし、アメリカでは言論統制が人種、性(ジェンダー)、同性愛、すべての分野にわたっています。何であれ差別的な発言と取られたら、つまりポリティカル・コレクトネスで批判されたら、学者は大学を追われる。政治家は辞職せざるを得ない。物書きなら発表の場を奪われる。
アメリカは日本よりずっと言論の不自由な社会になっています。その状況に国民は苛立っていた。トランプはその閉塞感に気が付いて賭けに出たのではないでしょうか。
イスラム教徒は入国させない、メキシコとの国境に壁を作るなどの人種差別発言は、いわば彼が仕掛けたトリックの種だったのかもしれない。マスコミは過去の女性蔑視問題まで掘り出して報道しました。(中略)
政治家はもちろん、大学人や物書きなどのインテリ層は、たとえトランプ支持でも、聞かれればヒラリー支持と言っておいた方が安全だと考えたに違いありません。
ブッシュ(父)元大統領まで、わざわざ「ヒラリーに投票する」と語ったのはポリティカル。コレクトネスゆえだったと思います。 (中略)
国境なき「グローバリズム」
トランプ氏は当選後、「われわれに必要なのはグローバリズムではない、アメリカイムズだ」と明言しました。この「グローバリズム」という言葉には歴史的背景があるので、少し説明しておきましょう。
第二次大戦後、世界の流れは国際化(グローバリズム)の方向に向かいました。その流れをつくったのはユダヤ人です。EUがそのいい例と言えます。
(中略)・・・ロシア革命を主導し、世界恐慌をコントロールして着々とその勢力を伸ばしてきたユダヤ人が二千年来望んできたことは三つあります。一つは国境をなくすこと・・・少なくとも国境の壁を低くすることです。もう一つは能力主義。三つめが契約社会です。
ナチスによるホロコーストのために、第二次大戦後はユダヤ人批判ができなくなりました。下手に批判すると「お前はナチスの味方か」などと言われるので、ヨーロッパではユダヤ人のやることに反対でも「反ユダヤ」と言われる恐れがあって反論できない。 (中略)
EUを動かしている原動力の一つが、今や世界の金融を握るユダヤ勢力であることはだれもが知っている事実です。しかしそれは口に出せない。そこで「反ユダヤ」と言わないまでも、ナショナリズムという形で反動が生まれる。EU諸国の中で今ナショナリズムの傾向が強くなっています。 (中略)
「中国で奴隷制度復活」
私が滞在していた1960年代のアメリカは光り輝くばかりでした。大学で教えるために渡米したわけですが、上智大学の月給が手取り6万円だったのに対し、アメリカでは36万円でした。半年分がひと月でもらえるのかと驚いたことをはっきり覚えています。
治安もよくて、夜に一人で歩いても危なくない。学生たちは自動車でやってきて、キーを付けたまま降りて教室に行くんです。それでも車は盗まれない。
ところがベトナム戦争が長期化して、エスタブリッシュメントに対する反対運動が燎原の火のごとく広がると、たちまち治安が悪くなり、格差がどんどん広がっていきました。それは、一つにはベトナム戦争で膨大な金を使ったからです。 (中略)
ベトナム戦争が終わると、アメリカは中国と手を結ぶことを考えました。キッシンジャーの提案だと言われていますが、彼はユダヤ系ですから、ユダヤ金融界の意思を受けてのことでしょう。当時の中国人の給料なんてアメリカの50分の1にもならない。
アメリカの企業は製造コストを下げるため、競って中国に工場を移しました。資本も機械もノウハウもどんどん移して、安い賃金で作らせたわけです。
20年くらい前、「タイム」だったか「ニューズウイーク」だったかに、「アメリカは中国で奴隷制度を復活させた」という記事が載りました。アメリカ人の資本家は中国人を奴隷のような賃金で使い、低価格の製品を世界中に売りまくって儲けているということです。
そうなると、国内で製造を続けていたアメリカの企業はどんどん潰れていく。その結果、多少の誇張はあるかもしれませんが、現在のアメリカ社会では1億ドル以上の収入がある人が1%。400ドル以下の収入の人が99%と言われています。 (中略)
グローバリズム」の弊害は、先進国の中産階級をつぶしてしまうことです。イギリスからはとっくに消えてしまいました。戦後、ユダヤ人の勢力が強かった国ほど、そして国際化に熱心な国ほど、格差が激しくなりました。 (中略)
〝皆の衆″国家に戻す
歴史と伝統を持たないアメリカは、もともと〝皆の衆″国家でした。アメリカ大陸に最初に移住したプロテスタントの白人たちが自力で町を造り、国を造った。国王という支配者も、人民という被支配者もいなかったから、〝皆の衆″の中からリーダーを選びました。
リンカーン「(英語は略)の演説日本語訳」「人民の人民による人民のための政治」と訳すのはいささか不適切です。これは「皆の衆の、皆の衆による、皆の衆のための政治」と訳す方が正確でしょう。
もっとわかりやすく言えば、「みんなの、みんなによる、みんなのために政治をやろう」ということです。これこそアメリカ民主主義の本質です。 (後略)
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この寄稿文は8ページにわたる、深い意味のあるトランプ次期大統領が当選した分析がなされていますが、そのほんの一部を抜粋したことを、お許し願いたいと思いますが、一字一字写すのはなかなか大変な仕事で、つい略してしまいます。
しかし、日本にもトランプ氏のような人が現れてもおかしくはない状況です。日本のメディアを牛耳る、ユダヤ的存在が。日本の政治や社会に歪みを生み出しています。日本を平気で貶める勢力が、新聞に、テレビに跋扈しています。
多くの日本人も心の奥で鬱積したものを持っているでしょう。昔の日本は、鍵さえ掛けない家が大多数でした。どこが問題か、おおよその見当はついていますが、メディアは報道しません。そこが問題なのです。大問題なのです。大大問題なのです。