映画と音楽そして旅

主に懐かしい映画や音楽について…
時には新しい映画も…

(雑記帳)「追悼…作家吉村昭さん」

2006-08-06 00:07:55 | 読書
 作家吉村昭さんが7月31日に病気のため」逝去されました。
 享年79歳…これからまだまだ活躍して戴けることと、思っていただけに残念なことでした。
 私が吉村さんの作品に初めて接したのは…そう、「空白の戦記」と云う短編集でした。特別にベストセラーになった訳でもでなく目立たない作品でしたが史実を基にして徹底した取材や緻密な考証に、思わず引き込まれていきました。
 これは日露戦争以降…歴史の裏側で、人に知られないないままに空しく埋もれていった、隠された事実に光を当てて描いています。
 
 ベストセラーになった「破獄」…聞いただけでもビビッて仕舞いそうな「網走刑務所」はじめ四箇所の刑務所から四回も脱獄を重ねた受刑者と、看守たちの戦いを描いた作品で当時の刑務所の実情などがよく調べられてありました。
 明治時代に北海道の開拓や道路建設などに、大量の受刑者が従事した事実を描いた「赤い人」と云う作品を読んだことがあります。逃亡を防ぐために又逃げても雪原でもよく目立つように、「赤」の囚人服を着せていたことから名付けられた題名ですが、この方面に大きな関心を持っていられたことがよく判ります。
 外には世界最速の名機の誕生を描いた「零式戦闘機」がよかったです。

 それに私が最も印象的だったのは…あえて申しますと…「海軍乙事件」です。
 太平洋戦争の前後に当時の陸軍大臣(戦後A級戦犯で処刑)名で公布された文書に、戦時下の軍人の心得を示した「戦陣訓」があります。
 この中に「生きて虜囚の辱めを受ける勿れ」と云う語句がありますが、この一句によりどれほどの若い生命が無駄に失われたことでしょうか。
 勿論、海軍軍人は指揮系統が違いますから理論上は、陸軍大臣の布告に拘束されませんが、私たちの解釈はこれは軍人として陸海共通のもの…という認識でした。
 ところで当時の連合艦隊参謀長H中将が、実は南方で敵性ゲリラの「捕虜」になり、機密文書が敵の手に渡ると云う事件がありました。
この時に連合艦隊司令長官の戦死は公表されましたが、この参謀長の捕虜事件を日本軍は体面上必死で隠していたようです。しかし米軍が公表したため結局はバレて世間の冷笑と批判を受ける結果になりました。
 多数の部下を死地に追いやいながら、我が身は戦後も生き延びた訳ですが、この事件の真相を追及した「海軍乙事件」…これは、昭和時代の指導者達の程度を立証する資料として私のオススメです。
 吉村さんの著作がなければこの事件は、おそらく私の目に触れることはなかったのでは…と思いますし、私がノン・フィクション作家としての、吉村昭さんを限りなく尊敬し惜しむ理由でもあります。
 
 謹んでご冥福をお祈り致しますと共に、夫人の津村節子さんも吉村さんの分まで益々頑張って、これからも力作を残して戴くことを期待致します。

   海軍乙事件については ↓
      連合艦隊参謀長  福留繁中将については↓
 

(清水・鞍馬)「叡電鞍馬駅]①

2006-08-06 00:07:24 | 旅 おでかけ
 次の目標は「鞍馬寺」です。
 高台寺から東大路を北へ…前にもお参りした「百万遍」のそばを通りました。でも私に判るのはこのあたりまで…お後はカーナビ任せでござります。
 程なく左折の指示がありました。比叡山の反対向きですから一応は方向は合ってます。するとまた左折…少しおかしいぞ…そして又々左折…当然の事ながら結局は同じところへ戻って来ました。
 そこで一旦は左折しましたが次の左折の指示を無視して直進すると、どうもそれが正解らしく道幅も狭くなり人家も減ってきて寂しい山道になって来ました。何分、お山へ登るのですから悪路も仕方ない…と思いきや、突然に二車線の快適な道路になり…すると今まで走ってきた道は一体なんだ??
 と云う訳で手間取りながらも貴船神社方面と、鞍馬寺方面への分岐点を通過して一安心、道幅も勾配もきつくなって来ましたが、そのうち目的地になんとか到着しました。
 鞍馬寺山門の駐車場へ車を入れて先に叡電鞍馬駅の方へ行って見ました。

(清水・鞍馬)「叡電鞍馬駅]②

2006-08-06 00:06:52 | 旅 おでかけ
 私が鞍馬山を訪れるのもほんとに数十年ぶり…勿論、その頃はマイカーなんてありません。電車しか来る方法はありませんでした。私が鞍馬へ来た時もこの電車に乗ってこの駅に降りたのでは…と思います。
 「終着駅」…昔もこんなのだったのでしょうか。ほんとに「天狗」が出そうな…鄙びた感じのひっそりとした駅ですね。
 以前は「京福電鉄鞍馬線」と云っていたように思いますが、京阪電車の出町柳駅延伸などで、その名も「叡山電鉄鞍馬線」に変っているようです。
 会社名は変わっても…単線のオンボロ電車だけはあまり変りませんね。
 もっと、ええ電車を買うたってえ…親会社の京阪電鉄はん…
 せやけど、このクラシック電車がええねん…と云う人がいやはるかも…?

 その後の調べで…この路線には「路面電車」みたいなこのタイプの電車と、「天井まで窓ばかり見たいな…展望の良い新型電車」が投入されているようです。
 安心しました。