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◇企業システム◇日立情報が仮想化+クラウドの新しいサービスの提供を開始

2009-03-18 11:26:55 | 仮想化

 【仮想化】日立情報システムズは、仮想化関連の商品・サービスを「VSolution」として整備し、品揃えを強化するとともに、パートナーシップ制度として「VPartner」を立ち上げ、仮想化ビジネスを展開するSIベンダーの支援プログラムを開始する。また、「VSolution」を体験、導入相談、検証できる専用施設「Cloud & Virtualization Clinic Center(CVC)」を4月1日から本社内に開設する。CVCでは、日立情報のデータセンタに用意した仮想化基盤「リソースオンデマンド」との接続により、仮想化システムの体験、導入相談、さらに仮想化環境によるクラウドコンピューティングの体験・検証を行うことができる。 (日立情報システム:09年3月3日発表)

 【コメント】仮想化は、09年の企業システムの課題の中でもとりわけ注目すべきテーマになることは間違いないところだ。日立情報では仮想化ビジネスを立ち上げるには今が絶好のチャンスとばかりに今回「VSolution」「VPartner」の提供を開始した。当然仮想化ビジネスが立ち上がれば、SI企業は仮想化技術の提供をユーザーから求められることになるが、今現在、仮想化技術を身に付けているSI企業はというとはなはだ心もとないというのが現実の姿であろう。このような場合、SI企業は、日立情報と「VPartner」契約を結び、「VSolution」をユーザーに提供すればよいというのが筋書きである。問題は日立情報の仮想化技術の実力はということになるが、同社は08年10月に米ヴイエムウエア社が認定する販売パートナー向けの最上位資格である「VMwareプレミアパートナー」の1社に認定されているのであるから問題はないとみていいだろう。

 今回の発表で注目されるのは、単に仮想化ビジネスに特化させるのではなく、クラウドコンピューティングも体験、導入相談、検証できる「Cloud & Virtualization Clinic Center(CVC)」を開設したことだ。仮想化だけに限定して考えると、システム運用管理上の問題に限られてしまい、サーバー数の削減やシステム運用管理の向上だけとなり、ある意味では情報システム部門内部の問題に矮小化されてしまう。これをクラウドコンピューティングと絡めて提案することにより、俄然企業全体の経営に直結する問題としてクローズアップされてくる。SI企業がユーザーに提案する仮想化システムに、日立情報の提供するMSPサービスを付加することもでき、容易にクラウドコンピューティングを構築することができる。

 今、米国で人気なのは、アマゾンの提供するクラウドコンピューティング「EC2」なのだそうだ。これはアマゾンの子会社アマゾン・ウェブ・サービスが、アマゾンのCPU処理能力を開発者が利用できるようにしたサービスで「Elastic Compute Cloud(EC2)」と呼ばれており、アマゾンのその他のサービスとも連携できるようになっている。米国では現在このEC2を使って開発されたシステムを多くの中小企業が導入しているという。簡単にいうと計算センターのWeb版といったところであろう。日本でも経済産業省がこのほどJ-SaaSをスタートさせ、中小企業への普及を見込んでいる。計算センターというと日本でも変長い歴史を有しているが、Webという新しい衣をまとったクラウドコンピューティングが時代の寵児になることもそう遠いことでもないかもしれない。(ESN)