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◇企業システム◇日本オラクル、日立製作所、日立システムがSMB市場向け仮想化ソリューションで提携

2009-10-28 09:19:22 | 仮想化

 【仮想化】日本オラクル、日立製作所、日立システムアンドサービスの3社は、このたび、中堅・中小企業市場(Small and Medium Business市場/SMB市場)向けに、日本オラクルのサーバー仮想化ソフトウェアと日立のローエンドディスクアレイなどを活用したサーバーの仮想化ソリューションの提供に向けて協業していくことで合意した。今回の合意により、日本オラクルは、サーバー仮想化ソフトウェアの「Oracle VM」や「Oracle Database」を、また日立は、ローエンドディスクアレイ「Hitachi Simple Modular Storage 100(日立SMS100)」を日立システムに提供する。日本オラクルと日立との共同での互換性、ならびに相互接続検証のもと、日立システムは、ソリューションを強化していく。(日本オラクル、日立製作所、日立システムアンドサービス:09年10月21日発表)

 【コメント】 企業ユーザーは、仮想化技術を導入することにより、サーバー台数の削減やシンクライアントシステムを導入することによって、コストの削減をはじめ、情報漏えいを防ぐことが可能になるなど、メリットを受けることが可能となる。最近では、大手企業ユーザーを中心に、仮想化技術を導入してプライベートクラウドを構築し、いち早く最新の企業システムの導入に成功しているケースも出始めている。

 しかし、中堅・中小企業ユーザーは、技術者不足や情報化投資の原資を得ることが困難なケースが多く、大手企業ユーザーのように仮想化やクラウド導入は、そう活発化してないのが現状である。しかし、クラウドのようなシステムは、むしろ中堅・中小企業の方が受ける恩恵は多いはずである。基本的には、クラウドは究極のアウトソーシングであり、IT要員不足、情報化投資不足の中堅・中小企業こそが恩恵をうけるべきなのである。

 今回、日本オラクル、日立製作所、日立システムアンドサービスの三社は、このような現状を踏まえ、中堅・中小企業をターゲットに仮想化ソリューションの提供に踏み切ったわけだが、中核をなすのが、オラクルの仮想化ソフト「Oracle VM」である。「Oracle VM」は、オープンソースの仮想化ソフトであるXenをハイパーバイザに採用したサーバー仮想化ソフトウェアで、エンタープライズ向けにオラクル独自の機能拡張を行い、高いパフォーマンスが最大の特長。

 このオラクルのサーバー仮想化ソフト「Oracle VM」を導入することで、中堅・中小企業ユーザーはどのようなメリットが得られるのであろうか。仮想化の導入により、サーバー導入やリプレイスに伴う、環境構築、システム開発・改訂や運用管理に必要なIT投資の最適化も実現できる。また、「Oracle VM」が提供するテンプレート機能は、構築したシステム環境をテンプレートとして保存しておき、新たに環境を構築したい場合、保存されたテンプレートを配布するだけという、極めて簡単な操作で対応でき、環境構築に伴う導入コストを大幅に削減するという。

 さらに、グリッド技術の「Oracle Real Application Clusters」構成と組み合わせることで、サーバー仮想化による集約環境でのリソースの柔軟かつ有効活用だけではなく、システムの拡張性やハードウェア障害などによるシステム停止のリスクを低減する。このほか、「Automatic Storage Management(ASM)」の採用により、ディスクI/Oのボトルネックを解消し、効率的なデータベース用途のストレージ管理を実現することができる。今後、各ベンダーは、自社の得意分を持ち寄り、共同してユーザーの課題解決へと向かうことが考えられるが、今回の3社の提携は、この典型的な事例である。これにより大手企業と中堅・中小企業間にある情報格差解消を目指し、是非とも成功してもらいものだ。(ESN)