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◇企業システム◇EMC、シスコ、ヴイエムウェアの3社、仮想化パッケージ戦略発表

2010-02-17 09:29:23 | 仮想化

 【仮想化】EMCジャパンとシスコシステムズならびにヴイエムウェアは、09年11月に発表した「Virtual Computing Environment(バーチャル コンピューティング エンバイロメント:仮想コンピューティング環境=VCE連合)」の日本における市場開拓と販売戦略を発表した。EMC、シスコ、およびヴイエムウェアは、日本のシステムインテグレータ、サービスプロバイダー、チャネルパートナーがVblock Infrastructure Packageを再販することで、ユーザーによるVblock Infrastructure Packageの採用を拡大する。Vblock Infrastructure Packageは、完全に統合、試験、検証済みで、すぐに利用・拡大可能な基盤パッケージ。EMC、シスコ、ヴイエムウェアによる最高の仮想化、ネットワーク、コンピューティング、ストレージ、セキュリティ、管理技術を結集し、エンドツーエンドのベンダーアカウンタビリティーを実現する。(EMCジャパン/シスコシステムズ/ヴイエムウェア:10年2月9日発表)

 【コメント】企業システムを仮想化する動きは、ますます本格化してきているが、具体的着手に踏み切れないユーザーも少なくない。こんなユーザーに対し、EMC、シスコシステムズ、ヴイエムウェアの米国のベンダー3社は「VCE連合」を結成し、VMwareを中核とした仮想化のパッケージを製品化し、米国で同事業をスタートさせた。今回の発表はこの日本市場版である。VMwareは全世界的に見ても仮想化ソフトのシェアNo1の製品であり、ストレージのトップベンダーのEMCがヴイエムウエアを傘下に収めることで、経営基盤も安定したものとなり、今後も台風の目的な存在であり続けることが予想される。

 しかし、これまでも同様な仮想化システムのパッケージ製品は大手ベンダーから提供されてきている。例えば、日本IBM「クラウドバースト」、日本HP「ブレードシステム マトリックス」、NEC「クラウド・プラットフォーム・スイート」といった製品群である。このほかSI企業から数多くのパッケージ製品が提供され始めてきている。大手ベンダーは、自社ユーザーという市場を持っているため、比較的ユーザー獲得は容易であるが、VCE連合は、代理店の販売網に頼った戦略しか道はない。これをどうVCE連合が克服していけるかが、日本市場での成否を握っている。今回の発表で賛同を表明したパートナーとしては、アクセンチュア、伊藤忠テクノソリューションズ、新日鉄ソリューションズ、東芝ソリューション、日本ビジネスシステムズ、ネットマークス、ネットワンシステムズ、ユニアデックスなどが挙げられる。これらのパートナー企業は、豊富な経験と技術力、それに多くのユーザーを有しているので、フル稼働したら大手ベンダーの前に強力なライバルとして立ちはだかることになる。要は、VCE連合のパートナー戦略「Vblockパートナー エコシステム」が功を奏するかどうかが、「Vblock Infrastructure Package」の成否を握っているといえるであろう。

 また、ここに来てマイクロソフトは、自社運用(オンプレミス)ソフトウェアとクラウドベースのサービスの長所を組み合わせる「ソフトウェア+サービス」の考え方に基づく、IT アーキテクチャ策定と計画立案コンサルティング「ITAP for S+S (IT Architecture & Planning for Software Plus Services) 」の提供を、10年3月1日より開始すると発表した。「ITAP for S+S」は、マイクロソフトが提供するクラウドコンピューティング向けプラットフォームであるMicrosoft Windows Azure Platformや、企業向けオンラインサービスMicrosoft Business Productivity Online Suite(BPOS) を含むクラウドサービス環境の構築、運用ノウハウや全世界の導入事例等を基に、日本市場向けにサービスメニュー化した、企業向けのクラウド導入計画策定支援コンサルティングサービスである。同サービスにより、企業は、自社のビジネス特性とセキュリティ要件に沿ったIT環境をオンプレミスとクラウドの長所を組み合わせることで柔軟に構築することが可能になる。

 このように、今回、マイクロソフトが仮想化+クラウドビジネスに本腰入れ、ユーザーへのコンサルティング事業に本格的に乗り出すことを表明したことにより、市場でのシェア争いは、今後さらに一層苛烈なものになろうとしている。(ESN)