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◇企業システム◇米マイクロソフトと米ノベル、共同開発した仮想化ソリューションの提供開始

2008-09-22 15:46:51 | 仮想化

 【仮想化】米マイクロソフトと米ノベルは、ミクストソース環境を運用するユーザー向けに最適化された、両社の共同開発による、Windows環境とLinux環境の連携用機能を持つ仮想化ソリューションの提供を開始した。同ソリューションには、マイクロソフトの仮想化ソフト「Hyper-V」の仮想化機能を備えたマイクロソフトのサーバーOS「Windows Server 2008」上で稼働するゲストOSとして構成され、ノベルのSUSE Linux Enterprise Serverが含まれる。両社が設立した「インターオペラビリティラボ」において、両社のチャネルパートナーが同ソリューションのテストや検証を実施し、かつ全面的なサポートを提供する。 (08年9月17日発表)

 【コメント】06年11月にマイクロソフトとノベルは電撃的な提携を行い、業界に大きな衝撃を与えた。それは、ちょうどマイクロソフトとLinux陣営とが激しく対立していたときことで、この提携によりWindowsとLinuxの対立の構図というものが、一瞬のうちに消滅したかのような印象を与えてしまうことになった。リナックス陣営の盟主はなんといってもレッドハットで、マイクロソフトも真の敵はレッドハットと認識している。マイクロソフトとしてはレッドハットと正面衝突したのではマイナス面が多すぎる。そこで“敵の敵は味方”の論理に従い、ノベルを取り込むことことによって、マイクロソフトは正面ではなく側面あるいは背面からレッドハットと対決しようとした。

 マイクロソフトはノベルと提携したことにより、労せずにLinuxのノウハウを手に入れられるばかりでなく、LinuxユーザーにWindows関連ソフトを広められる可能性が出てきた。一方、ノベルはこのままいけばLinuxでレッドハットに完全に牛耳られ、将来日の目を見ることはなくなる。そこで、マイクロソフトと手を結ぶことによって、劣勢を一挙に逆転する戦術に出た。つまり「WindowsとLinuxの混在環境のソリューションはノベルが一番」とアピールすることができるからだ。マイクロソフトとノベルは、06年11月に「仮想化」「システム管理の標準化」「識別情報の統合」「文書フォーマットの互換性確保」の4つのテーマで提携し、その後両社は「Moonlightマルチメディアフレームワーク」「アクセシビリティ技術」「Microsoft System Center向けのSUSE Linux Enterprise Server管理パックの新規提供」の3つのテーマを追加している。

 今回両社が仮想化ソリューションを発表した意義は大きいものがある。つまり、今後の100%Windows、あるいは100%Linuxという企業ユーザーは少なくなり、混在環境のユーザーが多数を占めると思われるからだ。この際、Windows環境とLinux環境の統合機能を持つ仮想化ソリューションは大いに威力を発揮するものと思われるからだ。これに対してレッドハットがどのような対抗策を打ち出すのかも興味深い。さらに、既にマイクロソフトが打ち出している「Server Virtualization Validation Program」がどのように拡大していくのかもLinux陣営とのシェア争い上から興味深い。(ESN)