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◇企業システム◇大塚商会、サイオス、ノベル、マイクロソフトが仮想化ソフトで協業

2009-03-16 11:00:49 | 仮想化

 【仮想化】大塚商会、サイオステクノロジー、ノベル、およびマイクロソフトは、中堅企業向けにWindowsとLinuxの混在環境を仮想化で統合するソリューション「OS統合ソリューション(仮名)」の提供で協業した。4社は協力して、Hyper-VとHyper-V仮想化ゲストOSとしてSUSE Linux Enterprise Serverの正式サポートとパフォーマンスの最適化を行い、Microsoft System Centerファミリー製品による混在仮想化環境の一括管理などを可能にした。これにより、WindowsとLinux双方を利用する企業のITシステムにおいて、仮想化によるハードウエア、サーバーOS統合をサポートを含め提供し、導入運用コストの約3割削減を目指すことにしている。 (大塚商会:09年3月5日発表)

 【コメント】マイクロソフトとノベルは、かねてから米国において提携し、WindowsとSUSE Linuxの統合環境の構築に向けた作業を進めている。これらの成果は米国において定期的に発表され、日本法人のマイクロソフトおよびノベルを通じ、発表文の公表という形で成果は明らかにされてきたが、具体的なソリューションの提供という面からは、なかなか見えずらかったのは否定できない。今回の発表は、これまでベールに包まれていた成果を、具体的な形として日本の企業ユーザーに対し明らかにしたインパクトは大きいものと思われる。

 マイクロソフトとノベルの連合体に、今回大塚商会およびサイオステクノロジーが参加した意義はかなり大きな意味づけを持つ。マイクロソフトはネット事業での劣勢を挽回すべくノルウエーの検索大手ソフト企業を買収したものの、本命であるヤフーの買収については頓挫したままで、打開策が見つかれないままの状態で、グーグル追撃作戦の先行きは楽観を許さない状況に陥っている。このような中、ノベルとの協業によるLinux取り込み作戦の方は、仮想化ソフトの市場投入により一挙に具体的動きを促す効果が発揮できる状況へと好転しつつある。

 マイクロソフトは自社の仮想化ソフトHyper-Vについてかなり戦略的意味づけを持たせようとしているようである。既に宿敵レッドハットと仮想化ソフトでは提携にこぎつけている。そして今回日本市場において大塚商会を仮想化ソフト事業という分野で取り込んだことは、グーグルやIBMが最近盛んに打ち上げているクラウドコンピューティングに対する牽制球的役割を演ずることになるかもしれない。グーグルやIBMは
ユーザー側にサーバーを置かないクラウドコンピューティングを次世代型システムと位置づけ、今後普及を図ろうと躍起だ。これは対マイクロソフト戦略としても有効だと信じているように見える。ユーザー側にサーバーが必要なくなれば、ユーザー側のWindowsも必要なくなる。IBMはサーバーをセンターに販売すればサーバー事業の維持は可能だ。こんな動きに対し、マイクロソフトは仮想化ソフトを軸にWinndowsとLinuxを統合させて、サーバーすなわちWindowsのさらなる発展を画策している。

 今後、企業ユーザーはWebやメールサーバーにLinuxを使い、基幹業務システムでWindowsとLinuxの混在環境を選択するケースが増えてくるものと考えられるが、今回の4社の協業はこれらのニーズに対しいち早く対応しようとする取り組みと考えられる。(ESN)