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◇企業システム◇マイクロソフトとノベルのWindowsとLinux連携事業が倍増ペース

2009-06-17 09:16:04 | SI事業

 【SI企業】米マイクロソフト と米ノベルは、両社が提携し取り組んでいるソリューションを採用する企業が増加していることを明らかにした。これはビジネス、法的、そして、技術的な提携に基づくWindowsとLinuxの相互運用性および知的財産権に関するリスクからの保護を提供するソリューション。過去6ヶ月だけを見ても、両社はおよそ100社以上の新規顧客と契約を結んでいる。これは両社が提携してから最初の2年間と比較して2倍のペースとなる。06年11月の提携の時点から、両社は300社以上のユーザーに対して2億ドル以上に相当するNovell SUSE Linux Enterprise Server のサポートと保守の利用証書を販売している。過去6ヶ月における最新のユーザーには、Boise Inc.、Idaho Power Company、 Honeywell Aerospace、La Poste、Procter and Gamble (P&G)、SC Johnson、Sony Pictures Entertainment、Sky TV、St. Jude Medical Center.などの様々な業種と地域の企業が含まれている。 (マイクロソフト/ノベル:09年6月12日発表)

 【コメント】マイクロソフトとノベルの電撃的提携から2年以上の歳月が経ち、その経過発表が今回の内容である。結果はというと「WindowsとLinuxの連携作業は順調に進み、現在ユーザーが倍増のペースで拡大中」という勝利宣言となっている。もともとマイクロソフトは、OSS(オープンソースソフトウエア)のLinuxに対しては敵対視していたわけであるが、それが一転しWindowsとLinuxの連携ソフトを提供し、Linuxユーザーを自社ユーザーとして取り込む作戦に変更することによって、ノベルと提携することになったもの。

 今回の発表の背景には、実はLinuxユーザーの予想以上の拡大という事実があることを見逃すわけには行くまい。もし、Linuxユーザーが増加していなかったのなら、WindowsとLinuxの連携市場などというものは存在しないわけで、今回の勝利宣言の裏には、Linux市場の拡大というマイクロソフトにとっては、あまり歓迎しない状況が生まれるつつあることも事実であろう。

 今回の100年に一度の世界同時不況はOSSの存在意義を再認識させたようである。コスト的に優位に立てるOSSは、今回のような不況時にこそユーザーから熱い視線が送られることはない。以前、OSSはトータルコストでは高くつくといったことが言われていたが、最近ではこの議論はあまり注目されていない。それは、毎年OSSに対するサポート環境が改善され、あまり議論しても意味がなくなってきたことが挙げられよう。むしろ最近ではクラウドシステムなどにユーザーの関心が高まっている。今後OSSにおける問題が起きるとすれば、ユーザーが気がつかないうちに著作権問題に巻き込まれる可能性のある著作権の問題であろう。

 マイクロソフトのLinuxに対する対応は、ノベルとの連携により明確になったが、今後焦点となってくるのがオフィスソフトの対応である。今後、マイクロソフトはビスタの後継OSとして「7」を市場に投入することになるが、一時代前とは異なりOSが市場動向を揺さぶる時代は過去のものになりつつある。インターネットによる処理が拡大するにつれ、OSというよりはブラウザーが前面に立つケースが多くなってきたからだ。また、これまでマイクロソフトのオフィスソフトが市場を独占してきたが、今後はロータス・ノーツやオープンオフィスの市場での普及も見込まれている。ユーザーとしては今後の市場動向を慎重に見守っていかねばなるまい。(ESN)