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◇企業システム◇富士通が米国の有力SaaSベンダー「ネットスイート」と提携

2009-08-12 09:17:04 | SI事業

 【SI事業】富士通および富士通ビジネスシステム(FJB)はこのほど、中堅中小企業向けSaaS型統合業務アプリケーションのリーディング企業であるネットスイート(本社:東京都港区、代表取締役社長:田村 元)と、同社のSaaS型のERPアプリケーション「NetSuite (ネットスイート)」およびCRMアプリケーション「NetSuite CRM+(ネットスイート シーアールエム プラス)」について販売契約を締結した。富士通とFJBは、SaaS型アプリケーション「NetSuite」と「NetSuite CRM+」、導入時のインテグレーション、コンサルティング、サポートサービスを中堅中小企業向けに提供する。富士通グループにおいては、FJBが07年から「NetSuite」を、幅広い業種で販売している。主なターゲット市場は年商100億円以下の中堅中小企業だが、大手・準大手企業の事業部門においても、国内外の販売拠点や代理店の販売・出荷実績などをリアルタイムに把握したい、という強いニーズがあり、今回、富士通からの提供も可能にし、グループとしてラインナップを強化したもの。(富士通/富士通ビジネスシステム:09年8月5発表)

 【コメント】SaaS市場は、米国においては既に多くのベンダーが参入しユーザーへの提供を開始している。例えばCRM分野では、アプリコー、ネットスイート、ライトナウテクノロジー、セールスフォース・コム、シュガーCRMなの、またERP分野では、オールベース、ビースカラー、インタクト、ネットスイートなのである。既にセールスフォース・コムは日本へも進出し販売実績も多く知名度も高い。

 このほか既に日本へ進出しているSaaSベンダーとしては、ネットスイートがあるが、これまで独自な販売活動を地道に展開してきたが、知名度という点からはセールスホース・ドットコムに一歩及ばなかった。今回大手の富士通と販売提携したことにより、一挙にその存在感が表面化することが予想され、今後はSaaS専業ベンダーとしては、セールスホース・ドットコム vs ネットスイートという構図が描かれる可能性が高くなってきた。

 セールスフォース・ドットコムは、CRMに特化したSaaSベンダーであるが、ネットスイートはCRMに加え、ERPとeコマース分野もカバーする点が強みだ。両社がターゲットとする中堅中小企業あるいは大手企業の事業部門は、今後ERPやeコマースは必須の機能となることが予想され、その意味ではネットスイートが将来セールスフォース・ドットコムと互角以上の戦いを展開することも不可能ではなくなる。その意味で、今回FJBに加え富士通がネットスイートと提携した意義は大きいものと見られる。

 富士通とFJBは、これまで培ってきたERP分野の業務知識や、パッケージビジネスで整備した業種ごとの各種テンプレート、ビジネスノウハウを活用して、次のサービスを提供する。また、両社は、「NetSuite」の開発フレームワーク上で設定・開発したプログラムをテンプレート化できる機能「SuiteBundler(スイート バンドラー)」を活用した、IT業界向けテンプレートなどの各業種向けテンプレートを約10種整備し、短期間かつ効果的なサービス導入を実現することにしている。①ERP SaaSアプリケーション「NetSuite」、CRM SaaSアプリケーション「NetSuite CRM+」の提供 ②導入時の設定やデータの取り込み・保存などのインテグレーションサービス ③導入時のコンサルティングサービス ④追加機能の開発サービス ⑤導入後のサポートサービス。このほか、FJBが07年より展開している、米国ネットスイート社のノウハウを活用した「Web」と「コールセンターシステム」を組み合わせた「ハイブリッド営業モデル」をいっそう強化し、今後3社でユーザーに最適なサービスを提供していくことにしている。

 いよいよ今後本格的SaaS時代が本格到来することになるが、今後、ネットスイートが富士通と提携したことが市場にどのようなインパクトを与えていくことになるか、その動向を注意深く見守る必要があろう。(ESN)