縁側でちょっと一杯 in 別府

東京から別府に移住してきました。
のんびり温泉に浸かり、美味しい魚で一杯。
夢に見た生活を楽しんでいます。

男と女の違い ~ 松田聖子の場合

2007-04-17 00:01:19 | 最近思うこと
 “Precious Moment”を聴きながら書いている。これを見て「あー、あのCDね」と即座にピンと来たあなたは立派な聖子ファンだ。1989年発売の松田聖子のCDである。
 僕は彼女のファンではない。一応CDは4枚持っているし、一度武道館のライブに行ったこともある。が、彼女の熱烈なファンを見ると、自分をファンというのはおこがましい気がする。

 先週、偶然付けたテレビで松田聖子の特集を見た。NHKスペシャル『松田聖子・女性の時代の物語』である。デビュー27周年の彼女の生き様を振り返るとともに、彼女の現在の姿、生の声を伝える。そして、彼女を熱烈に支持する女性達。聖子ファンは9割方女性である。それも30から40代の、彼女と同年代の女性達。
 番組は彼女のファンには2種類あると言う。一つは成功した働く女性。聖子と同じように、自ら時代を切り開いてきた男女雇用均等法世代の女性。苦労を共にした同士として共感し、支持する。もう一つは何事にも中途半端な生活・人生に疲れ、悩む女性。自分にない強さや成功を聖子に求める。
 うーん、さすがNHK。立派な、もっともそうな分類、分析だ。だが、本当にそれだけなのだろうか。

 松田聖子は、老若男女問わず誰もが知っているという意味で、おそらく最後のアイドルではないだろうか。僕が物心付いてから、日本のアイドルといえば天地真理、山口百恵、そして松田聖子。音楽の優劣は別として、世の中の認知度、浸透度では、宇多田ヒカルも浜崎あゆみも足下にも及ばない。
 彼女がデビューした1980年は歌番組の全盛期。TBSのザ・ベストテンに、日テレのトップテン。テレビを付ければ、毎日のようにそこには歌う彼女の姿があった。若い女性はこぞって“聖子ちゃんカット”にした。そんな時代である。
 デビュー当時、聖子のファンは同年代の男性が中心だった。多くの女性は「あんな、ぶりっ子」と言ってはソッポを向いていた。それがいつからだろう。男性の人気がなくなり、逆に女性の人気が高まって行ったのは。

 男性の人気が無くなった理由は大きく二つだと思う。一つはファンも彼女も年を取ったこと。男が就職したり、結婚した後、女性アイドルにうつつを抜かすことは少ない。そんな余裕がないのである。一方で彼女より若い男性は、自分より若い、新しいアイドルを求めた。もう一つは彼女のスキャンダル。実際にどこまでが本当で、どこからが作り話かはわからない。が、普通の男性だと、あれだけ騒がれるともう沢山だ、いい加減にしてくれ、ということになる。
 これに対し女性ファンが増えた理由。バッシングに負けず自らの信念を曲げない、やりたいことをやり、欲しい物は全て手に入れる。そんな彼女の生き様が女性の共感を呼んだ、あるいは目標に、憧れの的になった。番組の言うように、そういう面もあると思う。
 でも、本当のところはもっと単純なのではないだろうか。ただ“かわいい”から、松田聖子がかわいく、けなげな女心を歌っていたからではないだろうか。聖子ちゃんの歌を歌えば、素直な気持ちになれる、かわいい自分に会える、それが女性に人気のある理由なのだと思う。

 少し古いが、『小さな恋のものがたり』という漫画があった。僕は何もおもしろいと思わなかったが、ウチの姉が大のお気に入りで、新しいのが出る度に買っていた。男にはよくわからないが、女は“かわいい”ものに弱い生き物なのである。