縁側でちょっと一杯 in 別府

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京都議定書の目標達成に向けて

2006-04-11 23:16:00 | 環境を考える
 最近よく“チーム・マイナス6%”のロゴを見る。6%とは京都議定書におけるわが国のCO2排出量削減の目標である。ところが、実際には6%減らすだけでは目標達成に届かない。今の試算では目標達成のためCO2の排出量を12%削減することが必要だとされる。
 これは既にスタート地点が高くなっているからである。即ち、削減の基準となる1990年のCO2排出量は1,237百万トン、これに対し足下の排出量は1,300百万トンを超え、なんと8%以上も増加している。よって2010年に1,163百万トンという目標達成には14%の削減が必要であり、現行対策で2%の削減を見込むほか、新たな対策で12%の削減が必要との計算になる。
 この12%を、省エネや新エネルギー、代替フロン対策等で6.5%削減、森林吸収源で3.9%削減、そして残る1.6%を京都メカニズムで削減、というのが政府の計画である。

 最初の二つは何となくわかると思うが、最後の一つ「京都メカニズム」は説明が必要だろう。「京都メカニズム」とは、京都議定書で定められたCO2排出量削減のための仕組みであり、①共同実施(JI)、②クリーン開発メカニズム(CDM)、③排出量取引(ET)の三つからなる。
 JIとCDMは、協同でCO2排出量削減のためのプロジェクトを行い、その効果を資金や技術を援助した国とプロジェクト実施国とで分け合う、というものである。JIは先進国(主にEU)による他の先進国(主に東欧諸国)への支援、CDMは先進国(元々はアメリカ)による発展途上国(主に中南米)への支援、を想定したものであった。三つ目のETは目標を達成できなかった国が達成した国から余裕枠を買い取るというもので、これはロシアを参加させるためのインセンティブだったとも言われている。

 さて、京都議定書の不備については種々指摘されている。その最たるものは、米国(CO2排出量1位)や、中国(同2位)・インド(同5位)等発展途上国が対象になっていないという点である。現在の参加国の排出量は世界全体の3割程度に過ぎない。
 また、各国に課せられた削減目標が実態を反映していない点も問題と考えられる。例えば、ロシアのように91年のソ連崩壊による経済低迷からCO2排出量が減少し既に目標を軽くクリアーしている国もある。一方、わが国のように既に世界最高水準の省エネを行っているにも拘わらず、更に大幅な削減を求められている国もある。
 これらは京都議定書が純粋な環境問題への対策の結果というより、政治上の駆け引き、妥協の産物だった結果であり、いずれも次の目標を考える際の課題といえる。

 再びわが国のCO2排出量削減計画に戻る。疑問が二つ。一つは計画の具体性、効果への疑問。文字通り、計画が絵に描いた餅で終わらず本当に出来るのかという疑問。乾いた雑巾を絞ることになるので、削減はかなり難しいと思われる。
 もう一つは「京都メカニズム」の地球全体の環境に対する効果について。日本が目標達成の面子にあくまで拘れば、最悪、それはお金で買うことができる。これが京都メカニズムの意味するところである。しかし、ロシアから排出権を買うのでは何の意味もない。つまり、上述のようにロシアの排出権にはCO2排出量削減の裏付けがないので、日本が目標オーバー相当をロシアから買う事態になれば、その分地球全体のCO2排出量は増加してしまう。又、発展途上国での新設プロジェクトへの投資はCO2排出量抑制にはなっても削減にはならない。したがって、京都メカニズム自体、単なる辻褄あわせの仕組みに思える。

 京都議定書の問題ばかり書いてしまったが、私は世界の国々が地球環境について考える、その最初の一歩としては意義があると考えている。わが国のハードルは極めて高いが、一人一人が省エネを心がけ、真に地球全体でのCO2排出量削減に繋がる形で目標達成に近づけると良い。
 まずは自分に出来ることから始めよう。例えば会社で残業せず冷暖房の電力削減に協力するなど。あれ、それなら昔からやっているって?